アイドリングストップのデメリット|エコで燃費に良いのに不評な理由

アイドリングストップ

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燃費向上、環境に優しいという理由で、近年広く普及している「アイドリングストップ機能」。しかしこの機能を好まないというドライバーも多いようです。各メーカーが広く採用しているのに嫌われてしまうのは、どんな理由があるのでしょうか。

文・吉川賢一
Chapter
アイドリングストップ機能とは?
アイドリングストップ機能のデメリット
アイドリングストップ機能の進歩

アイドリングストップ機能とは?

低燃費競争が激化している近年、自動車メーカーはマイルドハイブリッドシステムや動力伝達効率の高いCVT、多段ATや直噴エンジンなど、燃費向上に役立つ最新技術を次々に投入しています。なかでも「アイドリングストップ機能」は、多くの車種に搭載される装備です。

その効果は、駐停車時や信号待ちなどのあいだ、ある条件下でエンジンを自動で停止させることにより、燃料節約と排出ガス削減が期待できます。

一般財団法人省エネルギーセンターによると、1回の停車で5秒以上アイドリングストップを行うと、燃料節約につながるということがわかっています。

車種によって制御に違いはありますが、車速の低下をセンサーが検知してタイヤが完全に止まる前にエンジンが停止(条件によります)、運転手の発進操作を検知すると再始動します。

大半の車種は通常のエンジン始動と同様にスターターモーターを用いて再始動を行いますが、この機能によって使用回数が格段に増えるため、通常よりも耐久性の高いスターターモーターが採用されています。

また、最近ではスターターモーターではなく、オルタネーター(エンジンの回転を利用して発電する発電機)をモーターとして駆動させ、再始動を行うものもあります。この機構は、再始動時の音が静かでスムーズという特徴があります。

アイドリングストップは、乗用車だけでなくトラックやバスなどにも採用されるようになってきていますし、後付けでアイドリングストップ機能を取り付ける装置なども販売されています。

そんなエコで燃費に良いアイドリングストップですが、なぜ嫌う方がいらっしゃるのでしょうか?

アイドリングストップ機能のデメリット

燃費向上や環境への配慮に効果を発揮する良い技術なのに、装備を嫌うユーザーも少なくありません。なぜなのでしょう。

まず多いのは、アイドリングストップにともなう“ギクシャク感”です。前述したように、車速が低下したとき(完全に停止していない状態)でも条件が揃えばシステムがエンジンを停止させてしまうため、交通の流れが鈍くなってきたときや、コインパーキングのチケットを取るタイミングなど、ちょっとした時間でもエンジンが停止してしまい、自分が発進したいタイミングとの「ズレ」が生じてしまうのです。

本当にわずかな時間なのですが、このズレが頻繁に起こると、ドライバーはストレスに感じます。慣れてしまうと、気にならなくなることもありますが、やはり人間の感覚と機械の制御に食い違いが生じるのは事実です。

また、アイドリングストップ中に「エアコンが効かなくなる」ということも問題。

最近では、改善された車種もありますが、車種によっては、エンジンの動力を使ってエアコンのコンプレッサー(圧縮機)を作動させているので、エンジンを停止しているあいだは「送風」になってしまうことがあります。炎天下での停車中に、ぬるい風が頻繁に出てくると不快ですよね。

さらに、エンジン再始動時の音を嫌うドライバーも多いようです。

遮音性能の向上により、エンジンの作動音を車内で気にすることは少なくなりましたが、スターターモーターの音は意外に大きいもの。同時に再始動時の振動も身体に伝わってきます。停車のたびにそれが繰り返されることが不快に感じるようです。

この他にも、アイドリングストップ機能が装着された車のバッテリーやスターターモーターの部品代が高価であることや、補機類、電装系への負担増によるメンテナンス費用の増大を理由に挙げる方もいます。

アイドリングストップ機能の進歩

アイドリングストップが嫌だと感じるユーザーの声に応えるべく、エンジン停止中もエアコンから冷たい空気を送り続けることができるよう保冷剤を使ったり、再始動時の不快な音や振動をなるべく減らすようクランク角をコントロールするなど、メーカーはさまざまな技術を投入して、少しでも快適になるよう努力をしています。


今後は、より自然な形かたちで、違和感のないドライブを楽しめる「アイドリングストップ機能」に進化することを期待したいですね。

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