M900、RSV4の次は“グッツィ・カリフォルニア”

アヘッド California 1400 Custom

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モト・グッツィのVツインエンジンがもたらす鼓動感は、時にその代名詞的な存在であるアメリカ製ビッグツインのフィーリングを大きく凌いできた。そこに自信を持っているからか、すでに40年以上も前から「カリフォルニア」という直接的なネーミングのモデルをラインアップ。大陸をイメージさせるクルーザーカテゴリーにイタリア的解釈を盛り込み、モト・グッツィは新たなマーケットを切り開いてきたのである。

text:伊丹孝裕  [aheadアーカイブス vol.135 2014年2月号]
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M900、RSV4の次は“グッツィ・カリフォルニア”

M900、RSV4の次は“グッツィ・カリフォルニア”

そんなカリフォルニアがフルモデルチェンジを受け、カリフォルニア1400カスタムとしてデビュー。昨秋から日本へも導入され始め、これまでにない注目を集めている。

その理由は明白で、なによりも洗練されたスタイルにあるのは間違いない。

チーフデザイナーは、20年前にドゥカティの初代モンスターで名を馳せ、現在はアメリカを拠点に活躍するミゲール・ガルーツィだ。

まずガルーツィは、完全新設計の縦置きVツインエンジンの造形を引き立たせるため、その周りに燃料タンクやマフラー、シートを効果的に配置していった。両側に突き出たシリンダーヘッドを美しく見せようと、燃料タンクを削ってでも、全体が隠れないように気を配っているところからも、その強い思いを伺い知ることができる。

エンジンには、1380㏄というモト・グッツィ史上、最大の排気量が与えられた。そこから溢れ出る96HPというパワーと12.24㎏-mのトルクは、この巨漢に対して十分なものであり、装備重量318㎏の車体を粛々と走らせる。

最大トルクは、わずか2750rpmで発生する。そのため、発進時のクラッチ操作はディーゼルエンジン車のようにイージーで、走行中に高いギヤのままラフにスロットルを開けても、むずかることなく車速を上げてくれる。

秀逸なのは、やはりエンジンのゆらぎだ。カリフォルニアのエンジンは、マウント方式も一新され、弾性のあるアームを介してフレームに縣架されているが、これによって、アイドリングや極低速域では縦置きクランク特有の心地よい左右の揺れを伝える一方、速度が上がるにつれて、アームがそれを相殺。やがてフレームとの間で吸収され、矢のような直進安定性だけを残すのだ。

ゆらぎの強弱に身を任せ、ただ走る。

カリフォルニアの価値のほとんどは、そこに集約されていると言ってよく、夢のような乗り心地を提供してくれるサスペンションの仕事も素晴らしい。

もちろん、他の部分にも手抜かりはない。グリップヒーターやABSはもちろん、特に電子デバイスの充実は目を見張るものがあり、ベローチェ(スポーツ)・ツーリズモ(ツーリング)・ピオッジア(レイン)の3種に切り替えられるエンジンモードの他、3段階のトラクションコントロールなど、最新スーパースポーツ並の装備も備えているのだ。

モンスターの時と同様、ガルーツィの作品によって、クルーザーに新たな流れが作られようとしているのである。

California 1400 Custom
車両本体価格:¥1,948,000 
排気量:1,380cc
エンジン:空油冷4サイクル90°V型2気筒SOHC4バルブ
最高出力:96hp(71kW)/6,500rpm
最大トルク:120Nm/2,750rpm
ピアッジオ グループ ジャパン www.piaggio.co.jp
▶︎ミゲール・ガルーツィの名前を一躍有名にした「ドゥカティ・モンスター」(上)。ストイックなイメージしかなかったドゥカティのファン層を広げる大ヒットモデルとなった。アプリリアRSV4(下)は、スーパーバイク世界選手権でタイトルを獲得したスーパースポーツ。これもガルーツィのデザイン。

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text:伊丹孝裕/Takahiro Itami
1971年生まれ。二輪専門誌『クラブマン』の編集長を務めた後にフリーランスのモーターサイクルジャーナリストへ転向。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク、鈴鹿八耐を始めとする国内外のレースに参戦してきた。国際A級ライダー。
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