浅間ヒルクライムの未来

アヘッド バイク

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浅間ヒルクライムの名をご存知だろうか。公道を封鎖しコースとして利用する、日本では珍しいタイムトライアルイベントで、二輪四輪合わせて約170台のスペシャルマシンが、山間にエキゾーストノートを木霊させ、ワインディングを駆け登る。こう書くと、まるで米国パイクスピークか英国マン島TTのようなレースイベントに思われるかも知れないが、さにあらず。ふれあいに満ち、希望と悩みをはらんだモータースポーツイベントだった。

text:高城一磨 photo:浅間ヒルクライム [aheadアーカイブス vol.176 2017年7月号]
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浅間ヒルクライムの未来

浅間ヒルクライムの未来

▶︎現行インディアンのスカウトは、クラシカルな雰囲気ながら水冷DOHCエンジン搭載の現代的なメカニズムを持つ。


今回、縁あってインディアンモーターサイクルの水冷モデル、「スカウト」で初参加することになった。アメリカンクルーザーながら、標高差を一気に駆け上がる浅間のワインディングでも十分にスポーティな走りを楽しめる、できのよいバイクだ。

そのスカウトの上から眺めたこのイベント、観客とエントラントの距離がとても近い。クルマやバイクに詳しくなくても、観客が肌でモータースポーツの楽しさを感じることができる、その距離感が絶妙なのである。
▶︎ギャラリーゾーンでは、クルマもバイクもサイドカーも、観客と一体に。この、観客との距離感が最大の魅力だ。


観客席は登坂車線や道路脇の展望スペースを利用するため、手の届く距離で車両が走るのを見ることができる。メイン会場では、貴重な車両を囲うことなく、誰でもすぐそばに寄り、眺め、オーナーと会話を交わせる。

コースが非日常のサーキットではなく、日常的な一般公道ということもあるだろう。走行後のクールダウンゾーンでは、沿道から手を伸ばした観客とバイクのエントラントがハイタッチを交わすシーンが何より印象的だった。

そこには、サーキットのレースのように閉鎖されたエリアを遠巻きで見るような隔絶された感じはなく、貴重で希少な数々のクルマやバイクとそのオーナーたちが、隣の家のおじさんのような気さくさを持って観客とふれあう姿が各所で見られた。

その延長線上に見えたのは、欧州のモータースポーツイベントだ。カッコよくて、楽しい。それがとても身近に存在する。それら数々のシーンを目にし、浅間ヒルクライムは日本にモータースポーツを浸透させる力を秘めたイベントではないか、と感じたのである。
▶︎メイン会場では、懐かしく貴重なクルマやバイクがズラリ。計測区間では2車線をフルに使い、アタックする。
インディアンモーターサイクルの問い合せ先:ホワイトハウスオートモービル www.indianmotorcycle.co.jp


一方で、課題もある。エントラントが如何に自制を働かせ、スポーツしつつも限界を超えず、観客にアピールできるか。公道を閉鎖した特設コースが目の前に拡がるため、その誘惑は大きい。

今年も1台のクルマが限界を超え、アクシデントを起こした。単独で、搭乗者もほぼ無傷だったので大事には至らなかったが、一歩間違えればイベントの未来を潰す危険性もはらんでいる。

主催関係者は、小諸市や地元警察、地元旅館施設等を巻き込み、未来への道を作っている最中だ。モータースポーツを文化として根付かせる挑戦。同好の士であるわれわれ参加者が、その意志を試されているイベントにも感じられた。

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