クルマ作りがこだわり続けたヒストリーガレージの10年 vol.1 歴史が生きる場所 お台場メガウェブ構想

アヘッド vol.1 歴史が生きる場所 お台場メガウェブ構想

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たとえ興味がなくても、純粋な情熱や意気込みを感じとったとき、人は惹きつけられてしまうものだ。東京・お台場にある「ヒストリーガレージ」は、買い物のついでに足を踏み入れた客ですら、思わず足を引き止めさせてしまうチカラがある。

text:村上智子 photo:渕本智信 [aheadアーカイブス vol.116 2012年7月号]
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vol.1 歴史が生きる場所 お台場メガウェブ構想

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1999年3月、東京・お台場にトヨタによるクルマのテーマパーク「メガウェブ」が開業した。パークは「過去」「現在」「未来」の3つをコンセプトとした3施設と、それらをつなぐ試走コースで構成され、ヒストリーガレージは、過去(=歴史)をテーマとした施設としてつくられた。

当時、すでに若者のクルマ離れが叫ばれており、トヨタも若者や都市部に住む人々、つまりどちらかといえばクルマに関心が薄い層にいかにアプローチするかを目的としていた。

だが、ヒストリーガレージは逆を行く。ビジネスの観点を一旦捨て、新規顧客でなく、コアなクルマ好きたちに魅力的な空間であることにこだわったのである。

例えば、お堅い博物館のようにクラシックカーや文献をただ置いておくのではなく、建物をモーテルに見立てそのクルマにあった街並みを再現、ストーリーを軸に一つの世界観を構築している。まるで歴史が今も生きているかのように。 

オープン当初は、もちろんのこと、現在もスタッフは、クルマに対する人一倍の情熱を持ち続けながらヒストリーガレージの企画・運営に携わっている。始めた最初だけ盛り上がり、その後の来場者が減少の一途をたどるテーマ施設が多い中、個人的にもクルマが好きだという人間が、訪れる人以上の知識と愛情でこの場所を進化させている。開業から10数年がたった今も、「展示内容が溜池になっていないか、常に水が流れているか」と日々自分たちに問いかけているのだ。

クルマ好きにとって心地よい場所を作ろうと拘り続けてきた想いが、さまざまな人までをも引き付ける空間を生み出した。

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