オートバイの未来を考える S1000RR vs V-Strom650ABS

アヘッド BMW S1000RR

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今年から国内販売されたということを除けば、ジャンルや排気量、価格帯までもが異なるこの2台のバイクを“VS”と括るのは、いささか無理があるように思えるだろう。

text:神尾 成 [aheadアーカイブス vol.113 2012年4月号]
Chapter
S1000RR vs V-Strom650ABS

S1000RR vs V-Strom650ABS

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『BMW S1000RR』(2012)
「スーパーバイク世界選手権」に参戦するために開発された、いわばホモロゲモデル。出力特性の選択が可能で、レース用のABSやオートシフター、パワースライドやウイリーを制御する「DTC」と呼ばれる電子デバイスを装備する。

初期型と同じに見える外装は細かく変更され、ジオメトリーも見直すなど、あらゆる部分に手が入り熟成の域に達したといえる。

水冷DOHC 並列4気筒999cc
最高出力 193ps/13000rpm(日本仕様156ps/10000rpm)
装備重量 206.5kg (RaceABS
PremiumLine
車両本体価格 ¥1,990,000

●問い合わせ
BMW カスタマー・センター
TEL:0120 (269) 437
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新型のBMWは、熟成された電子デバイスを装備し、フルパワーで200馬力近い出力を発揮するリッタースーパースポーツ、Vストロームは、アルプスを駆け抜ける目的で開発された中間排気量のアドベンチャーツーリングバイクだからだ。

一見すると比較しようのないこの2台だが、見方を変えれば40代以上のライダーが購入するに相応しい、小手先感のない、どちらも“ホンモノ”であるという共通項がある。

本誌でも何度か登場しているBMW S1000RRは、昨年末にモデルチェンジして各部が煮詰められ、日本製スーパースポーツを凌駕した高性能さが注目されている。しかしそれ以上に、「BMW」というブランドが持つ独特のジェントルさや高級感、何に乗っているのかと聞かれたときの優越感がもうひとつの“売り”といえるバイクだ。

またそのステイタスを裏切らないコーナリング性能や、電子デバイスによる取っ付きやすさと安心感は、二輪専門誌やウェブでも絶賛されている。要は、イイ大人になってもコーナーを攻め込むバイクに乗る「もっともな理由」が得られるのだ。

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『SUZUKI Vストローム650ABS』

「スポーツエンデューロツアラー」として欧州、北米を中心に‘03年より販売が開始される。今回のモデルチェンジでカウル形状が一新。低中速域を扱いやすくして6kgの軽量化も実現。山岳路、高速道路、市街地での運動性能が向上した。

カウル付きのネイキッドと変わらない気楽さがあり街中での普段使いにも最適。フロント19インチの懐かしさを感じるハンドリングは、試乗してみる価値が充分にある。


水冷DOHC 90°V型2気筒645cc
最高出力68ps/8800rpm
シート高835mm/タンク容量20ℓ
車両重量 214kg
車両本体価格 ¥1,008,000

●問い合わせ
スズキワールド新宿
TEL:03 (3368) 1020
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一方のVストローム650ABSは、ツーリングバイクといっても、主なマーケットであるヨーロッパで夫婦がタンデムしたまま国境を越えて旅に出るために作られたかなりの本格派だ。

メインステージに想定されたアルプス山脈は、補修がされないまま石畳と化した滑りやすい路面が多く、元は階段だったのかと思えるような急勾配の中でUターンに近いカーブが続くという。

そんなアルプスの雨の下り坂から確実に生還するための最新型ABSや、トレンドよりも実をとったフロント19インチタイヤ、見栄を排した質実剛健ともいえる650㏄Vツインを備える。

いうなれば、「あえてこの仕様のバイクを選びました」的、かつ中間排気量の逆輸入車(輸出モデル)であることから、「分かる人には分かる玄人の少数派」を演出できるのだ。

一般的には、バイクを購入する際、使用目的や排気量、価格帯などが基準になると思われている。だが、年齢を重ねるとそれよりも「このバイクは、売れ線を狙ったニセモノか、作り手の魂を宿すホンモノなのか」、「このバイクを買ったら自分はどう見られるのか」などの方が、キャリアに関わらず“お金を出す”重要なポイントになってくるはず。

ジャンルも価格帯も異なるこの2台は、買いに値するホンモノであるという点で拮抗していることは間違いない。
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