「アキラ」が「デジモ」で手に入る!?

アヘッド 「アキラ」が「デジモ」で手に入る!?

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放課後に駄菓子屋でスーパーカー消しゴムを買って、友達とレートを決めて交換したり、BOXYのボールペンでレースしたり。今思えば「ま、カウンタックっちゃあカウンタックだけど」くらいのちゃちな消しゴムだったけど、当時は夢中になって遊んだものだ。

text:山下敦史 [aheadアーカイブス vol.115 2012年6月号]
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「アキラ」が「デジモ」で手に入る!?

「アキラ」が「デジモ」で手に入る!?

本誌でも何度か紹介ずみの無料iPhoneアプリ、「digimo」は、あの楽しさを、大人になった今味わえないかと始まったプロジェクトだという。これは精巧なバーチャルミニカーを軸に、GPS機能やSNSと連携する《ソーシャル・トイ》アプリだ。

digimoを立ち上げると、さあ遊ぼうぜ、という声が聞こえてくるようだ。スマートフォンという、いい大人が夢中になるオモチャがあって、そこにクルマを絡ませたら見たことない遊びができないか? というわくわく感。ただミニカーを集めるだけじゃなくて、持ち歩く携帯なんだから外の世界とリンクさせれば、もっと遊べるんじゃない? と。

結果として、digimoは今のIT界で最重要のキーワード「ソロモ」=ソーシャル×ロケーション×モバイルマーケティングを体現するアプリとなった。だがそんなこと抜きにしても、まず第一に楽しいのだ。

行楽地などでdigimoを起動すると、思わぬスキンが手に入ったり、近くに入手スポットがあるよ、と示されたりする。先頃東京で行なわれた漫画家・大友克洋氏の原画展では、「AKIRA」に登場する《金田のバイク》が会場限定車種として提供され、それ目当てで展覧会に行ったり(行きました)、逆にそこからdigimoを知った、という人もいたことだろう。

この5月、新型メルセデス・ベンツBクラスが発表と共にdigimoに加わり、併せてアプリ本体もアップデートされた。目玉は、撮影機能でカメラ画像を背景にできるようになったこと。アプリの中の愛車を、現実の風景をバックに撮影できるのだ。これは楽しい。スキンをゲットした場所で記念撮影するもよし、アングルを工夫して手のひらに乗っているような写真や、愛車に寄り沿っているような写真も撮れる。つい写真を誰かに見せたくなる新機能だ。

さらにはこの秋を目標に、待望のアンドロイド版や、スキンやパーツを交換する機能を実装すべく開発が進められているそうだ。
初めてクルマに乗ったとき、世界が広がったように感じたはずだ。大げさに言えば、digimoはそんな風に外へと向かうきっかけをくれる。スマホの中で完結せず、現実とネットの両方で、何かに出会える機会をくれる。その意味で、digimoは正しく《クルマ》らしいアプリなのだ。

現状のdigimoはまだまだ成長中で、ユーザーと一緒に育てていく段階にある。でもそれがいいんだ。無料だからというのではなく、遊びなんだから、完成したらつまらないじゃないか。あーだこーだと声を寄せて、もっと面白くするのもユーザーの、いや、遊び仲間の役目だ。
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