AWD車は雪道やオフロード以外でもメリットはあるのか?

1972 レオーネ 4WDエステートバン

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AWD(全輪駆動。おもに4WD)車は、雪国やオフロードで重宝されます。しかし、雪が降らない、もしくは少ない土地で、舗装路だけを走るならAWDは必要なのでしょうか?

Chapter
かつてのAWDのイメージ
フルタイムAWDの登場
電子制御の発展による、AWDでの運転支援
現代のAWDの進化は安定走行にあり

かつてのAWDのイメージ

最近は四輪駆動車のことをAWD(all-wheel drive)と呼ぶことが増えました。かつては、4WD(four-wheel drive)と言っていましたが、これは日本独自の表現で、世界標準はAWDなんだそうです。とはいえAWDは、その文字の示すとおりすべての車輪が駆動するという意味ですから、6輪、8輪でもAWDということになります。

さて、そのAWDですが、もともとはジープや日本陸軍の95式小型乗用車(くろがね四起)といった軍用車両や、それをベースとした無骨な車両のみでした。

ところが1970年、東北電力からの依頼でスバルがff-1 1300G バン4WDを開発。それがレオーネ 4WDに繋がって行きます。このAWDは、乗用車と同じ快適性を持ちながら、雪道や悪路の走行性能を求めたものでした。

パートタイム式で、必要の無いときは2WDとして走行するものでした。そうなると通常走行では、AWD機構は重たいだけで不要なもの。結果、年に何度も雪道や凍結路面を走らず、オフロードにも縁が無いユーザーにとっては、AWDのメリットは特に無かったのです。

フルタイムAWDの登場

1980年のアウディ クワトロから始まり、日本では1985年のマツダ ファミリアから採用されたフルタイム4WDにより、AWDは舗装路面でもハイパワーを効率的に路面へ伝える手段として新しいステージに突入しました。

単純に考えて、前輪または後輪の2輪にのみパワーを伝えるより、4輪すべてにパワーをかけたほうが、安定性は飛躍的に向上します。おもにラリー用などのスポーツ用途としてハイパワーのフルタイム4WDが広まった後、通常は2WD、駆動輪が空転するなど状況に応じて4WDに変化するオンデマンド式の生活4WDや電子制御4WDが登場しました(ただし、手動切り替えを行わないものは、たいていフルタイム4WDと呼ばれます)。

しかし、2WD車に比べると機構が複雑で重く、燃費でも劣るとして、雪国でもオフロードに縁があるわけでも無ければ、AWD車の必要性は相変わらず薄かったのです。

電子制御の発展による、AWDでの運転支援

AWD車にさらなる変化が起きたのは、クロスオーバーSUVの登場と、ほぼ同時期に発展が始まった自動車の総合的な電子制御化によってでした。

クロスオーバーSUVのほとんどは、AWD(一部FFあり)でありながら走るステージの大半が舗装路で、趣味や嗜好性の高いジャンルとはいえ、ユーザーからは乗用車並の燃費性能を求められました。

クロスオーバーSUV以外でも、おもに高級車やスポーツカーでのAWDの採用において、前後だけでなく左右の駆動力配分までを、エンジンやブレーキも統合して積極的に電子制御を行うシステムが登場します。かつて「進む」「止める」ことには秀でていたのAWDに、凍結路面や雨に濡れた路面などの悪条件でも「曲がる」要素が加わったのです。

これによりAWDは、状況の悪い路面を走破するための駆動方式ではなく、状況に応じて効率的に走らせるための運転支援システムに進化したのでした。

現代のAWDの進化は安定走行にあり

AWDには相変わらずシステム重量というハンディはあるものの、それまでスリップで失われていたエネルギーを無駄なく路面に伝えるというメリットのほうが上回るようになってきました。

車種によっては4輪の駆動力を積極的に操作し、直進でもコーナリングでも安定して走行できるため、ストレスの少ないドライブを可能とし、実燃費の向上にもひと役買っていると言えるでしょう。

昔のAWDのようにタイトコーナーブレーキングなど小回りの利かなさに悩まされることも無く、あくまでも自然にドライバーをサポートし、安定して走らせてくれる、それが現代のAWDです。
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