車のエンジンのクランクシャフトが逆回転しない理由とは?

エンジン回転のしくみ

クランクシャフト

クランクシャフトとは、シリンダー内で発生した爆発エネルギー(往復運動)を、コネクティングロッド(コンロッド)を介して回転エネルギー(回転運動)に変換するクランク状のシャフトです。

ピストン上部で発生した爆発エネルギーを受け、1分間に何千回転と高速回転します。「エンジン回転数=クランクシャフト回転数」であるため、回転バランスはもちろん、強度、剛性、耐摩耗性が必要となります。クランクシャフトを作る原材料には、特殊鋼や特殊鋳鉄などが使用されています。

クランクシャフトのパーツ

クランクシャフト

クランクシャフトは以下のパーツで構成されています。

1、コンロッドの大端部と連結する:クランクピン
2、クランクシャフト本体をシリンダブロックとともに支える:クランク(メイン)ジャーナル
3、クランクピンを支える:クランクアーム
4、回転時のアンバランスを取り除くためにクランクアームに設けられている:バランスウェイト(カウンターウェイト)

クランクシャフトは、1分間何千回転という運動をします。わずかな重量バランスの狂いが、エンジン振動や回転抵抗となりうるのです。クランクシャフトは、製造時において重量バランスが確認され、質量の調整が施されています。

クランクシャフトの回転方向は世界統一

ホンダ バモス

車のエンジンは回転方向が決まっています。クランクシャフトの回転方向(エンジンの前から見て)は、通常は右回転(時計回り)です。唯一最後まで左回転だったのは、日本ではホンダの軽自動車でした。

クランクシャフトの逆回転はあり?

クランクシャフトは右回転が基本ですが、逆回転することはありえるのでしょうか?答えはNO。エンジン始動はピストンからでなくクランクシャフト側から行われます。

ピストンが停止している=エンジンが停止しているという状態ですから、そこから始動する時はスターターでクランクを所定の方向に回転させますので、逆回転が起きることは絶対にありえません。

しかし、2ストロークなら「圧縮爆発」と「吸気排気」の組み合わせとなるため、坂道発進の時にノッキングした弾みでエンジンが逆回転することはあります。以前、2ストロークエンジンを搭載するスズキアルトで話題になりました。

4ストロークでは物理的に不可能

吸気-圧縮-爆発-排気を行う4ストロークエンジンを逆回転させても、排気-爆発(出来ない)-圧縮(空気だけ)-吸気(ガスを吸うが)-排気(ガスを吐きだす)という行程になるため、ガスを吸って、ガスを吐いて、空気を圧縮して、プラグを点火したところでなにも起きません。

4ストロークエンジンが逆回転で回り続けることは物理的に不可能です。

そもそも最初からエンジンが逆回転の車

ホンダ S2000

かつてホンダ車は、エンジンの回転方向についてこだわりや設計上の理由から、V6を除くエンジンはN360以来、回転方向が逆転(左回転)でした。

しかし、メーカーの間でエンジン供給などがあたり前になってきた1990年代以降、ホンダは他メーカーにエンジンを供給することが困難となり、逆にホンダが他社のトランスミッションを採用しようとしてもエンジンの回転方向が反対になるため採用が難しい…という状況が問題となってきました。

そのため1999年発売のS2000以降に開発されたエンジンは、すべて正転(右回転)に統一されています。ちなみに三菱のエンジンも逆転でしたが、ホンダと同様に現在は正転に変更されています。

エンジンの回転方向には、その時代のメーカーの思惑があったのですが、補機類やミッションの共用、他メーカーにエンジン供給を行う際に不利になるなどの理由から、現在では正回転(右回転)が主流になっています。

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