なぜクラッチの「遊び」が少なくなるのか?クラッチの摩耗との関係は?

クラッチの遊びとは?

クラッチペダル

正確には「クラッチペダルの遊び」のことで、クラッチペダルの踏み始めから実際にクラッチが動き切れるまでの「何も起きない領域」のことです。

クラッチペダルを踏み込むと、レリーズフォークと呼ばれる部品が動きます。このレリーズフォークの先には、レリーズベアリングと呼ばれる部品があり、クラッチカバーに付いていてクラッチディスクをフライホイールに圧着しているダイヤフラムスプリングを押し込みます。

これにより、ダイヤフラムスプリングがクラッチディスクをフライホイールに圧着させてる力を弱め、半クラッチ、あるいは圧着を解除して「クラッチを切る」状態を生み出します。クラッチの遊びとは、レリーズがダイヤフラムスプリングを押し込み始め、圧着力が弱まるまでの間隔を指すわけです。

ダイヤフラムスプリングの劣化

クラッチ

新品状態でのダイヤフラムスプリングは、しっかりとクラッチディスクに圧力をかけているわけですが、スプリングゆえにいずれは劣化していきます。そうなると、レリーズベアリングが反発されなくなり、クラッチペダルの位置が奥に引っ込んで行きます。

当然、クラッチペダルの遊びも少なくなっていくのですが、ワイヤー式の場合は調整である程度遊びを出したり、無くしたりすることができます。

ただし、ダイヤフラムスプリングの劣化はクラッチディスクの圧着力を弱めることにもなるので、常に半クラッチのような状態になります。そうなると、クラッチディスクやフライホイールの摩耗に関わらず、”クラッチ滑り”が発生します。

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レリーズベアリングの劣化

過去には、レリーズベアリングの強度不足で、すぐに鳴き出したり潰れたり、焼け付いて割れたり粉々になることがありました。

そうなると、ダイヤフラムスプリングを押し込む役に立たなくなるので、クラッチを切ることができなくなるだけでなく、最悪は破損した部品が高速回転するクラッチ一式や、それに繋がっているミッションにまで破壊を誘発することもあるのです。

このレリーズベアリングが破損した場合も、クラッチペダル自体が奥に入って、ほとんどストロークしなくなる、遊びが少ない状態となります。

クラッチディスクやフライホイールの摩耗

前述したトラブルとは別に、クラッチディスクの摩材が消耗し、どれだけ圧着力が残っていてもなかなかクラッチが繋がらなかったりします。

そうなると、クラッチペダルを踏んでクラッチを切れるポイント(クラッチミートポイント)がどんどん手前に来るので、クラッチペダルを少し踏むだけでクラッチが切れてしまい、逆にクラッチペダルをどれだけ緩めても、なかなかクラッチが繋がりません。

これも「クラッチペダルの遊びが少なくなっている状態」。先に説明した状態とは、クラッチペダルの位置が異なることで、クラッチディスクやフライホイールの摩耗と判断できます。

クラッチディスクのひずみによる遊びの変化

特にメタルクラッチで激しいスポーツ走行を行った場合に起こりやすいのが、熱によりクラッチディスクが反り返ってしまい、フライホイールと部分的にしか接触しなくなる「ホットスポット」という現象です。

この場合は、反り返ったディスクそのものがスプリングのような役割を果たしてしまい、圧着力が弱まります。また、クラッチディスクとフライホイールが部分的にしか接触しないので伝達力も弱まり、クラッチが滑りやすくなります。

クラッチペダルの遊びにはあまり影響は出ませんが、繋がっているはずの領域で半クラッチが続いてみたり、違和感は少なからず出るはずです。

クラッチの摩耗もいろいろ

いくつかのケースを紹介しましたが、ひと口にクラッチの摩耗と言っても、単純にクラッチディスクの摩材が消耗して滑るだけではなく、さまざまな部分が破損や劣化する対象になります。

また、問題が起きた部品によって、遊びが少なくなってクラッチが繋がらないこともあれば、逆にクラッチを切れないケースもあります。それらは消耗が一部分のみ急速に進むというより、全体的に進行するので、たまたまどれかの症状が先に現れただけということも多いです。

特に、圧着力に優れる分だけ耐久性で劣るメタルクラッチや強化ノンアスベストクラッチなど、競技用部品ではその傾向が強く、一般的なクラッチでは摩耗&劣化した部品だけを交換することも多いのに対し、強化品ではクラッチディスクの摩耗で全体を交換することが多くなります。

そのため、現在では社外品の強化クラッチに関しては、クラッチディスクのみなど、保守パーツ単位で販売されることが少なくなっています。

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