AT車がエンストするのはどのような場合なのか?その原因は?

engine stall(photo ACより)

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教習所時代にクラッチ操作で苦労した頃から「AT車ならクラッチも無いからエンストしなくていいな」と思っている方は多いかと思います。しかし、実際にはAT車でもエンストすることはあります。
Chapter
AT車でのエンスト経験
AT車のエンスト原因No.1は「急坂」
エンストしても慌てない
そもそもエンジンがかかっていない事もある

AT車でのエンスト経験

かつてATのトヨタ・マークIIで走行中にいきなりエンストした経験があります。

夜中の峠の下り道でエンストしたので、一歩間違えれば大惨事になるところでしたが、幸い急坂でも急カーブでも無く、緩いカーブの下り坂でエンストしたので、大事にはならず、シフトレバーを「N」に入れてからエンジンを再始動し、その後は普通に走りました。

それからしばらくして、今度は交差点で青信号になり、発進しようとした瞬間にストン、とエンストしたのです。

さすがに後ろに車が待っている状況で少し慌てて、シフトレバーを「N」に入れたつもりが誤って「P」に叩き込んでしまい、僅かに動いていた車のミッションから「ギャギャ!」と盛大な音を立ててしまいます。

低速とはいえ走行中にシフトレバーを「P」に入れる事など普通の人なら一生体験しないと思うので、そういう意味では貴重な経験だったかもしれません。

さて、そのエンストの原因はといえば、エンジン不調でした。その当時は、エンジンオイルが滲むどころか結構漏れていた事に全く気づかず、そのまま走らせているうちに不調をきたしてエンジンが止まってしまったのです。

2回目のエンストではいよいよエンジンが限界だったようで、何とか再始動はしたものの、6気筒のうち2気筒の圧縮が抜けてしまい、廃車まで「事実上の4気筒エンジン」な車に乗るという、これまた貴重な経験をしました。

そのマークIIでは他にもガス欠でエンストした事もあるので、油断しているとATでもいくらでもエンストの種はあると言えるでしょう。

AT車のエンスト原因No.1は「急坂」

国土交通省がAT車のエンスト原因の統計を取った事があるのですが、実に7割以上が「坂道でのエンスト」とのこと。

MT車で車速とギアが合っていない時や、発進時のクラッチミートの失敗でエンストしてしまう事はよくありますが、実はAT車でも同じ事は起こります。

もっとも、MT車のような手動式(足踏み式)クラッチの無いAT車ではクラッチミートの失敗などありませんし、DCTやAGSのような自動クラッチ車ではエンストする前にクラッチを自動で切ります。

CVTなどは車速に合わせて最適なギアを無段変速で選び続けますし、AT限定免許で乗れる車では、どのようなミッション形式でもMTのようなエンストはしなさそうに思えるのです。
ただし唯一の例外が「急坂で、進行方向とは逆向きのギアを指定した場合」です。

急な下り坂で「R」レンジに入れて前に下がったり、急な登り坂で「D」レンジに入れたまま後ろに下がってしまうケースの事なのですが、もちろんその状態でもアクセルを踏めばエンジンの力が及ぶ限り、ギアで指定した方向に進めます。

エンジンの力では無理なほどの急坂や、あるいはアイドリングの回転数だとその場にとどまれないほどの坂だと、ズルズルと滑り落ちるように下に向けて下がってしまうのです。
多段式ATやCVTなどトルコンがついている車種ならある程度は吸収しますが、それでもやがてMT車と同じようにエンストしてしまいます。

エンストしても慌てない

エンストする事自体は、車という機械の構造上仕方ないところがあるのですが、問題はその後のドライバーの行動です。

パワーステアリングやブレーキブースターはエンジンがかかっている時に作動するもので、エンストすると止まるものと考えなければいけません。油圧式ではなく電動式のパワステであれば、エンストしても動くものもありますが、いざという時の備えとしては最悪のケースを想定した方が無難です。

とにかく落ち着いて、エンストしたらブレーキを力いっぱい踏み込み、ズルズル滑り落ちる程度の低速ならば、パーキングブレーキを使ってでも車を止めるのが第一です。この時油圧のブレーキブースターが全く効いていないので、「ブレーキが効かない!」と錯覚するかもしれませんが、補助装置が作動していないだけで、目一杯踏めばブレーキは効きます。

止まってしまえば後は問題無く、シフトレバーを「N」または「P」に入れて、エンジンを再始動しましょう。その後はアクセルをきちんと踏んで坂道を登るか、あきらめて坂を下りてしまうかのいずれかです。

そもそもエンジンがかかっていない事もある

古い車やチューニングカーに乗っている人が現代のノーマル車に乗っていて必ずやってしまう失敗に、エンジンがかかっていない事に気づかずキーを捻ってスターターに悲鳴を上げさせたり、スターターボタンを何度も押してはエンジンがかからないと首をひねる光景があります。

それだけ最近の車のエンジンは静かですし、そもそもアイドリングストップ車やハイブリッド車だと走り出そうとするまでエンジンがかからない車も多いのです。

そこで問題になるのが、普段からその車に乗っているオーナーの方で、エンジンがかかっている、あるいはスターターボタンが押してあると思い込み、パーキングブレーキを解除してしまうのです。

当然エンジンはかかっていないので、そこが坂道なら車が動き出します。アクセルを踏んでも何も起こりませんし、ブレーキもハンドルもやたらと重く、自力で動かせないような錯覚に陥ります。結果、パニックになって事故につながるケースが、案外多いようです。

「~だろう」で考える「だろう運転」は交通事故の原因と言われており、「エンジンがかかっているだろう」も事故の元になるため、気をつけましょう。
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