実は石油が毎年増えているって本当?今後のガソリン車はどうなる?

ホンダ ヴェゼル

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ずいぶん前から、「石油資源は、あと○○年で枯渇する」とか「原油の埋蔵量はどれくらい」などという話がされてきました。皆さんも耳にしたことがあると思いますが、実際には増加しているようなのです。それは一体どういうことなのでしょうか?また、そうだとするとガソリン車の今後にも影響があるのでしょうか?
Chapter
石油資源は減っていない!?
次世代自動車の将来的な普及
エコカーは本当にエコなのか?
ガソリン車の将来は?

石油資源は減っていない!?

地球上にある天然資源は、基本的に無限ではありません。皆さんは、現在のペースでガソリンや石油を消費した場合、石油資源が枯渇するまであと何年くらいだと思いますか。

1970年代にオイルショックが発生し、石油資源の枯渇問題が深刻に懸念されました。1980年代以降も、石油資源の可採年数は40年程度と言われ続けています。

ところが、実際には年々減っていくはずの石油資源の可採年数は減るどころか増えているようなのです。その可採年数は2015年末時点で、なんと50年。1980年代から30年を経て、約3割の増加です。(BP統計2016より)

その理由は、技術進歩による資源回収率の向上や新たな石油資源の発見があるからなのです。

世界の原油生産量は、この40年間で1.6倍になり、今後も増加傾向が維持されそうです。ちなみに、2015年時点で世界最大の確認埋蔵量を保有しているのはベネズエラと言われています。

次世代自動車の将来的な普及

それでは、ここで次世代車と言われている車の普及状況について見てみましょう。

現在、日本で圧倒的にシェアを伸ばしているのがHV車です。トヨタプリウスがヒットして以降、各社もHV車(PHV含む)をこぞって投入し、急激に販売台数が増加しています。2015年時点では乗用車に占めるHVの販売台数は約8%に達しました。

クリーンディーゼル車も、マツダ車の人気が市場をけん引し、増加傾向です。しかし、それらの車は低燃費車であるものの、石油資源を利用した車です。現状では、EV、FCV等の燃料に石油資源を使用しない車のシェアは、ほぼゼロに近い状態です。

そういった中で、国は次世代自動車の普及についてどう考えているのでしょうか。

ちょっと古い話になりますが、2010年に経済産業省・次世代自動車研究会が発表した「次世代自動車戦略2010」によると、2020年時点でHV、PHEV、EV、CDV、FCVなどの普及目標は20〜50%、2030年時点で50〜70%という数字を掲げています。それを踏まえて考えると、2017年現在から13年後の2030年でも純粋なガソリン車が全体の30%から半数を占めているということになります。

※HV:ハイブリッド自動車、PHV:プラグインハイブリッド自動車、EV:電気自動車、FCV:燃料電池車

エコカーは本当にエコなのか?

こうしてみると次世代自動車の普及というのは、案外ペースが遅い気がしてしまいます。

FCVは、インフラの整備や車両自体のコストの面で、簡単には普及させることができません。そこまで苦労して普及させたい理由は何なのでしょうか。

その根本には、脱石油燃料によるエコ意識というものがあるかと思いますが、次世代車両は本当の意味でエコなのでしょうか?少々乱暴ではあるかもしれませんが、エコであることの1つの指標としてCO2排出量を基準に考えてみましょう。

まずHVですが、こちらは基本的にガソリン車の燃費改善を、モーターを併用することで行うものになりますので、走行時のCO2排出量は燃費の改善に比例して少なくなります。単純に燃費性能が向上すればするほど環境負荷が下がり、お財布にも優しいということになります。これは純粋なガソリン車やCDVでも同じことですね。

続いてEVです。EVはゼロエミッションビークルなどとも呼ばれ、基本的に走行時にCO2を排出しませんが、CO2排出という点で本当に環境負荷は無いのでしょうか?なかなか皆さんも改めて考える機会は少ないかと思いますが、EVを走らせるための電気は発電所で作られています。

なかでも火力発電は、石炭、重油、原油、LNG等をおもに使用していますので、EVでも走行をするためには間接的にCO2排出をしているわけです。そして、その電気を発電するための方式によってEVの環境負荷は大きく変わってしまいます。

東日本大震災以前は、電力の約30%を原子力発電が、約60%を火力発電が担っていました。しかし、震災以降はそれが一変します。2014年には原子力発電はほぼ0、火力発電が約90%という状況です。

したがって荒っぽい計算をすれば、同じ1kWhの電力を作るのにCO2排出量は約1.5倍になってしまいました。この現状でざっと計算すると、CO2排出量は代表的なEVとHVで1~2割しか違わない可能性が高くなります。

EVはその時の電力供給環境によって、エコロジー度が大きく左右されてしまうのです。

最後にFCVです。現時点ではもっともクリーンというイメージがもたれていますが、こちらは水素精製の過程で石油資源が使用されるうえ、まだまだ普及段階にないため、ライフサイクル全体での正確なCO2排出量などは未知数です。

ガソリン車の将来は?

このように次世代車両も多くの課題を抱えていることがおわかりいただけたでしょうか。インフラ構築などのコストも必要なく、現時点で一番効率のよいのはHVということになりそうです。

ただし、HVも日本では普及しているものの、世界規模でみれば携帯電話同様のガラパゴス製品と言ってもいい状況です。

世界規模では、ガソリン車やディーゼル車で9割以上を占める状況が当分続くと思われ、また、ガソリンエンジンならではのフィーリングを世界中の車好きがそう簡単に諦め、手放すこともないでしょう。

燃費志向の流れは今と変わらず続くと思われますが、ガソリン車が主流の時代は、まだしばらく続きそうですね。
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