初代エボは最高出力250馬力…ランエボはなぜあそこまで速かったのか?

コンパクト・高性能の日本車の代表格

三菱 ランサーエボリューション1

ランサーエボリューションの原点はやはり「ラリー」です。路面のコンディションを問わず「速い」事が要求されます。速度域もサーキットとは少々違うのもラリーであり、こうした条件下で速いクルマというのは、「公道でも速い」特性をおのずと持つことになったと考えます。

初代ランエボはWRCのホモロゲーションを取得するために中東仕様(車体強度が高かったそうです)のランサーGSR1800にギャラン用の4G63型ターボエンジンを強引に移植したもの。この点はラリーマシンにはよくあるケースですね。かのランチア・デルタも同じように小型車に無理やり大型エンジンを詰め込んだものです。

ランエボIVまでは5ナンバー規格に収まっている小型車でした。車両重量もモデルチェンジするたびに上がっていきましたが、通常モデルでも1350kgほどであり、そこに国内自主規制280PS(エボIVより)を発揮させていたのですから、パワーウェイトレシオでいえば上位車種よりも優れていたと言えます(あくまで自主規制の範囲の中、での計算ですが)。

際限なきパワーアップこそランサーエボリューション

実際、初代エボIの最高出力250PS/6,000rpm、最大トルク31.5kg-m/3000rpmから、4G63搭載最終モデルのエボIXでは280PS/6,500rpm:41.5kg-m/3,000rpmとパワーアップを繰り返しています。

特に最大トルクは、車格が上のGT-R R34が「40.00kgf·m/4,400rpm」でしたから、それよりもさらに低い3,000rpmで同等以上のトルクを2.0Lで叩きだしていたのもランエボの特性、といえそうです。

2.0リッター4気筒エンジンで、ボア×ストロークは85×88mm。ロングストローク型で低中速からトルクの出る特性を持っているため、WRCをはじめラリーシーンでの活躍につながったといわれています。

また鋳鉄製シリンダーブロック採用が功を奏し、チューニングに適しています。ですので現在のダウンサイジングターボ車のように小型のタービンでマイルドにパワーアップをするのではなく、純正でも大型のタービンを使用し、過給でパワーを稼ぐ仕様となっていました。

これにクロスレシオのミッションと4輪駆動が相まって、立ち上がり加速が非常に良い車に仕上がっていたといえます。

「曲がる四駆」を実現したAYCシステム

ラリーの頂点に立つため、時代の先進テクノロジーが採用されていたのもランエボ。独自の技術が「アクティブヨーコントロールシステム(AYC)」です。4WDは曲がらない、というイメージを覆した画期的な技術。

ハンドル角やヨー、車速、さまざまな情報から車輪駆動、制動力を制御し、車両挙動を最適に制御出来る事から、高い旋回性能を得られるデバイス…。これが搭載されたのもランエボの「強さ」に繋がりました。

ランエボはなぜGT-Rと比較されるのか?

どちらかと言えば同時期にWRC参戦していた同じカテゴリでもある「インプレッサWRX」の方が直接のライバル、といえるわけですが、車格が上のスカイラインGT-Rと比較されることもあるランエボ。「公道最速」という事に関心が集まった事もあるかもしれませんね。

もちろん公道でどちらが速いか、という事を語るのはナンセンスな話。ただしゴーストップの多い町中を「法定速度」で走っても軽快に加速できるのがランエボ、と言えるかもしれません。

さておき、レースシーンでは「スーパー耐久」シリーズにて、カテゴリは違えど混走していた為に「ランエボとGT-Rがバトル」していた事実もあります。この辺りがGT-Rとの比較に繋がる遠因かもしれません。

スーパー耐久でのランエボの活躍…

SUPER GTとは違い、スーパー耐久は市販の量産自動車に対し「小規模の改造」のみ施したマシンが出走する為、市販車に近い、多様なクルマが走る事で知られています。

ランエボはターボ係数の関係で「ST2クラス…排気量が2,001 - 3,500ccの四輪駆動車」カテゴリになります。対して(スカイライン)GT-Rは「ST1クラス…排気量が3,501cc以上(駆動方式は問わない)」となっています。

混走であるので、総合優勝は必然的に上位カテゴリが…、という事になりますが、上クラスを喰ってしまう事もあるのがランエボ、インプレッサというST2マシンでした。2007年のスーパー耐久シリーズ第1戦においては、ランエボを駆る木下隆之/中谷明彦組が総合優勝を果たしています。もちろん降雨の激しい悪天候だったため、4WDがプラスに働いたといえますが、それでも立派な成績といえるでしょう。

こうしたレースシーンでGT-RやBMW等を追い回す姿も、ランエボのイメージに繋がっているのだと考えます。それだけにモデルライフ終了が残念でなりませんね…。

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