ディスクブレーキの寿命はどれくらい?車の速度との関係は?

ディスクブレーキとは

現代の車のほとんどは「ディスクブレーキ」を採用しています。タイヤを交換するときに、車からホイールごとタイヤを外すと画像の様な部品を確認する事が出来ます。これがブレーキの全体像です。銀色の円盤部分はタイヤと同調して常に回転し続けます。鉛色の塊はドライバーがブレーキペダルを踏み込むことで銀色の円盤を左右から挟み込み、回転を止めようとします。

回転するものを挟んで止める…とてもシンプルですが、これが一般車からレースカーまで採用されているブレーキの考え方です。ぜひマイカーの点検時などには一度こちらを覗きこんで、どのような仕組みになているのか確認してみてください。

ブレーキの構成部品

ブレーキは円盤部分の「ブレーキディスク」と鉛色の塊の「ブレーキキャリパー」。さらにキャリパーの中でディスクに直接接触する「ブレーキパッド」から構成されています。

1トンを超える重さをたったこれだけの部品で停車させる…回転しているディスクをキャリパーとパッドが挟み込むことで摩擦させて車を止めるのです。街中を走行する速度でもブレーキ部品は200℃前後まで加熱されます。これらの部品は主に金属で構成されるので摩擦で生まれる熱の量は大変なものです。 

パッドとローターは常にお互いを削り合って止まっているので、これが一定基準以上で摩耗してしまうと「要交換」となりブレーキのメンテナンスが必要となります。日本車は法定速度が時速100㎞ですので乱暴に言うと「100㎞までの作動を想定したブレーキ」と言っても良いでしょう。

これに対してスポーツカーを始め、輸入車はそれ以上の速度を想定したブレーキとなります。ドイツのアウトバーンのような超高速道路をコンパクトカーで、走行することが現実としてあり得るので「時速200㎞以上を想定したブレーキ」となっています。

では、速度によって一体ブレーキはどの様に異なってくるのでしょうか?

車の速度とブレーキの温度の関係

一般道でのブレーキ温度が200℃、と書きましたがサーキットで走るレースカーは、実にその温度が1000℃近くにも達します。画像はF1のブレーキの様子ですが、昼間でも目視で真っ赤に熱されている様子がわかり、非常に高温になる部品なのです。

タイヤやブレーキには「作動温度」という考え方があります。人間に当てはめると、ウォーミングアップの様なものです。人間もただ歩くだけでは準備運動は不要ですが、全力疾走をする前には入念に体を温めないとケガをしてしまいます。

車のブレーキも一般道ではペダルを踏んですぐの0℃から街中で暖まりだす200℃程度までの温度をカバーしてますが、レースカーは下限が400℃以上など非常に高温に設定されています。その分、上限も1000℃となり時速200~300㎞からの制動を2時間繰り返しても耐えられる様な構造となっているのです。

もしブレーキパッドやローターの作動温度が200℃までの品だったらそれ以上の温度では分かりやすく言うと「溶けて」しまい、いくらブレーキペダルを踏みつけても車は止まらなくなってしまいます。逆にレース用のブレーキは400℃以下では正常に機能せず、全く止まらないブレーキなのです。また、それぞれの用途に達したときに最も制動力と耐久性を発揮するため、摩耗する程度も作動温度により大きく異なるのです。

ディスクブレーキの寿命は?

ブレーキキャリパーとローターは概ね10万kmは持つ設計になっています。また、ブレーキパッドに関しては、何度も急な制動を繰り返したり、ブレーキの使用頻度が極端に多い場合を除き、8万km〜10万km程度は持つ設計です。とはいえ、こちらは2万〜3万kmに一度はチェック・点検した方が無難でしょう。

ディスクブレーキの寿命…高級車は異なる?

高級車や高性能車は車も重く、またエンジンも非常にパワフルなので必然的に高速度になり、また止める車体も2トン近くやそれ以上といったことも珍しくありません。レースカーとまでは言えませんが、おおむねこれらの車は作動温度を0~500℃程度に設定している様です。街中の冷えた状態でも十分な制動力を確保しながら、一般車の倍以上の温度までカバーする様に作っているのです。

これらの性能を有する車は早ければ2万㎞から3万㎞でブレーキパッドの交換時期を迎えます。また4~5万㎞程度でブレーキローターも削れてしまい、交換となります。筆者の経験の中では特に乗車する人への気遣いを重視するジャガーにおいてはリアブレーキが1.5万㎞で交換となったりすることもあります。

ローターに関しても実際に手で触ってみると数㎜の段差を指先で確認できるほど削れて摩耗してしまうので、交換が必要であるとの判断に疑う余地はありません。ローターが削れて段差がついてしまうとパッドとの接地面積も少なくなりその性能を十分発揮できないばかりか、すり減ったパッド・ローターが互いに傷つけ合い、その寿命をさらに短くさせる原因ともなります。

パッドやローターがどの程度削れるかの目安としてはホイールの汚れで認識する事が出来ます。明るく光るアルミホイールがまるで鉛色に変色したようになるのは削れたブレーキが付着しているからです。これに関しては洗車する時にホイールを高圧洗浄などできれいにしておく事で確認の意識を高める事が出来ます。

もちろんブレーキの消耗とは「摩耗」ですから走行距離が長くてもブレーキを踏む機会の少ない高速道路を主に使う人は数万㎞走ってもパッドすら変えないという場合もありますし、峠道の下り坂の様にブレーキを踏み続ける時間が長いほど高温になるので一概に距離だけでは決められません。特に下り坂などで長時間ブレーキを踏み続けるとパッドの作動温度を超えるだけでなく、ブレーキに圧を生むブレーキオイルも沸騰してしまい全くブレーキが利かない状態にもなります。

車の基本性能は「走る・曲がる・止まる」の3つです。ブレーキは安全な制動を発生するだけでなく、加速や旋回においても安全な姿勢を作り出す大切な部品です。たとえ自分で整備はしなくてもその意味を理解し、安全に車を運行できる様に点検を心がけたいものです。

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