理想の重量配分はやはり50:50?重量配分がドライバーに与える影響とは?

ややフロントヘビーの方が操舵の安定感はある

舵に安定性を求める場合は前輪の重量配分がやや多めの方が良いと言えるでしょう。
実際、FFなどは駆動も操舵も前輪が担うので、前輪にしっかりと荷重が掛かっていると安定性が高いです。一般的なドライブの場合、ややフロントヘビーのほうが安定性に貢献しているケースが多いのです。但し、極端なフロントヘビーはリアの荷重不足となり、緊急時の挙動は不安定となります。

また、FF・FR等のフロントエンジン車両の場合、フロントヘビーだとブレーキング時の前輪の負担が大きくなります。やや前輪寄りの重心が減速時に前へ移動するので、フロントタイヤの負担が強くなりがちです。

「50:50」といっても色々

前後重量配分「50:50」とはあくまでも静止時の状態での話。

車両の構成にも大きく影響し、特にスポーツ走行を目的としている場合「重心の高さやマスの集中化」に大きな影響を与えます。
これにホイールベースの長さや左右トレッド幅が含まれるので、「なんとしてでも50:50に仕上げれば素晴らしい」とは限らないのです。

50:50を生かし切る車両構成は?

スポーツ走行において「低重心化」は重要項目です。あらゆる重量物を低い位置に配置することで、直進・旋回のコーナリングに貢献します。
ロールやピッチングが減り、更なる限界域でも挙動を乱しにくくなります。
さらに、50:50を生かし切るには「マスの集中化」が重要だと言えます。マスの集中化とは、重量物を中心に集めることを指し、旋回中心軸に重量物を集めることで、ローリング(ロール・バンク)、ピッチング、ヨーイング全てに影響を及ぼします。これらの設計が優秀なら優秀なほど、50:50の重量配分は生かされるでしょう。

ブレーキングでは前に重心が移動し、加速時にはリアに荷重移動するセッティングです。これら全ての状況において万能というわけではありませんが、旋回性能を含めてバランスが良い走りが可能です。

具体的な構成は前後オーバーハング(ホイールベースより外)の重量物削減や、車体中心にエンジンを寄せる「フロントミッドシップ」などが挙げられます。
S2000やRX-7は、ただ50:50にするだけでなく、沢山の努力で実際の走行性能を向上させました。

リア寄りの荷重になっている車両がスーパーカー等に多い?

MRエンジン車やRR車では、ややリア寄りの重量配分の車両が存在します。
リアに重量物があるので、ブレーキング時に前方へ荷重移動し、4輪でガッシリと路面をつかむ様なブレーキングが実現可能です。
特にポルシェ911のブレーキングは、重量バランスやブレーキシステム(冷却含む)の完成度が高く評価されています。

しかし、疑問となるのがフロントの接地感。加速時には後輪にしっかりとトラクションが掛かりますが、操舵を担当するフロントはトラクションがあまり掛かっていない状態になります。これは高速域での安定性をスポイルする原因となります。シンプルなサーキットを走行する際はともかく、ニュルブルクリンクのような加速と同時にコーナリングを繰り返す場合は危険であり、デメリットと言えるでしょう。

しかし、これには解決方法があります。フロントエアロ形状によるスポイラー効果により、強大な力で前輪を接地させ、高速域で加速する際の前後輪の接地感を最適化するのです。
近年は市販車(スーパーカー・スポーツカー)でも、積極的にダウンフォース向上が狙えるバンパー等を開発・採用しています。

理想的な前後重量配分は、シチュエーションにより異なる

前後重量配分は走行時に変化し、それを見越してブレーキや空力パーツを設定する必要があります。
自動車の走行性能の世界は、無限にも近いセッティングがあり非常に奥深いのです。
F1では走行するシチュエーションにより、バラストの設置場所変更による重量配分セッティングやフロントウイングのセッティング変更を行います。これは、「重量配分は走るシチュエーション等により異なる」ことを的確に示しています。

しかし、それがわかっていても市販車で「50:50」を目指しているメーカーがあるのも事実。それは、メーカーごとに考え方やフィーリングに違いがあるからでしょう。フロントエンジン車の場合、安定性を重視するならやや前輪寄り、低速域からもキレの良いドライビングフィールを目指しているのなら「50:50」を選択するのが良いでしょう。


結論としては、自動車を使うオーナーによっても、好みのフィーリングの違いにより最適な前後重量配分が変わってくるということです。
一般的に自動車を購入する際は、重量配分の数値よりも「乗ってみて自分に合うフィーリングかどうか」という方がより重要ではないでしょうか??

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