現代の車は、なぜFFレイアウトが多いのか?

FFを世に広めた「ミニ」

BMW MINI FFレイアウト

現代のFFレイアウトの元祖といわれているのが、1959年に登場したBMC ミニです。それまでエンジンは縦置きが主流で、FFの駆動方式を採用するクルマでも、縦置きエンジン+縦置きミッションという配置になっていました。

ミニが横置きのFFを採用できたのは、エンジンの横置きと同時に駆動系部品をエンジンの下に横置きで配置するという、エンジニアの技術力と発想力があったためです。この方式は、ミニの開発者であったアレック・イシゴニスから名前をとって、イシゴニス式と呼ばれています。

ちなみに、現代のFF車に見られるエンジンの横にミッションを配置する方式を初めて採用したのは、1969年のフィアット128で、この方式は開発者ダンテ・ジアコーサから名前をとって、ジアコーサ式と呼ばれています。

いずれにしても、ミニの登場以後、世界各国のメーカーで”横置きFF方式”の開発が進むことになりました。

FFが持つ利点

フロントエンジン・フロントドライブのFFレイアウトには、多くのメリットが存在します。

まず、FRレイアウトよりも部品点数を少なくすることができます。FRでは必須となるドライブシャフトが不要となり、それにともなうジョイントや遮音材なども減らすことが可能です。

部品数が少なく済むということは、「車体の軽量化」につながります。クルマが軽くできれば、燃費の向上が期待できますし、エコカーの開発にも有利です。また、そもそも部品数が少ないことがエコに繋がり、クルマの環境問題が叫ばれる時代にもマッチしている構造と言えるでしょう。

エンジンと駆動系をまとめることで、「車内スペースの拡大」も期待できます。ドライブシャフトが不要なことで室内の床をフラットにすることが可能になり、くわえてエンジンルームを小さくできるので、そのぶん車室を広くすることができます。

BMC ミニは、3.05メートルという全長に大人4人がしっかり乗車できる空間を確保できました。現代のミニバンに代表される広大な車内スペースを作り出すためにも、FFレイアウトは欠かせないものです。

ちなみにリアエンジン・リアドライブのRRレイアウトでも部品数は同程度となりますが、RRでエンジン冷却に水冷式を採用する場合、さまざまな制約により、セダンなどの乗用車にはそれほどメリットがありません。

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走行安定性にもつながる

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FFレイアウトのメリットとして、直進安定性の良さがあげられます。フロント駆動でリアを引っ張る方式は、リア駆動で後ろからクルマを押す方式に比べて、直進安定性に優れます。

FFは安定して真っ直ぐ走ってくれるので、ドライバーは運転操作が楽になって疲れにくくなります。コーナリング時はクルマが外に膨らむアンダーステアが出やすくなりますが、反対にスピンモードに陥りにくくなり、事故予防の観点からも利点があるのです。

日産 ノート e-POWER

FFレイアウトが多くなったのは、エコ、快適な室内空間、運転しやすいという要素に加え、メーカーにとってエンジン&ミッションのモジュール化は、さまざまな車種に搭載可能になるというメリットも持っています。

共通のプラットフォームにモジュール化されたパワートレインを搭載する車種が増えたとき、ブランドや車種、車格の違いによる差別化をどうやってつけてゆくのか、自動車メーカーの課題といえるでしょう。

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文・赤井福
大学卒業後、金融業に従事。その後、6年間レクサスの営業マンとして自動車販売の現場に従事する。若者のクルマ離れを危惧し、ライターとしてクルマの楽しさを伝え、ネット上での情報発信を行っている。

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