独特のフィーリングが魅力!空冷エンジンを搭載していた車5選

トヨタ スポーツ800

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自動車に限らずエンジンを冷却する方法は、大きく分けると水冷式と空冷式の2つ。なかでも水冷式は、エンジンの温度管理がしやすく、性能を安定して発揮させることが容易なことから、現代のスタンダードになっています。しかし、かつては空冷式のエンジンを搭載していたクルマもいくつかありました。今回は、代表的な空冷エンジンのクルマを紹介しましょう。

文・立花義人
Chapter
空冷エンジンとは?
フォルクスワーゲン タイプ1
トヨタ スポーツ800
シボレー コルヴェア
ホンダ 1300
ポルシェ 993
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空冷エンジンとは?

エンジンを水で冷却する方式が水冷式、空気で冷却するのが空冷式というのは、その表記から読み取れることですが、空冷式は水冷式のように水を循環させるためのポンプや、熱くなった水を冷却するためのラジエーター、エンジンブロックにウォータージャケット(水の通り道)などを設ける必要がないため、構造がシンプルで軽量にできるのが特徴です。

冷却の方法としては、シリンダーブロックやヘッドの周囲にフィンを設け、空気に触れる面積を増やして冷却効率を上げ、クーリングファンによる風と走行風によって冷却します。

前述のとおり構造がシンプルなため低コストで製造できる一方、冷却効率が悪いことや騒音が大きい(水の壁がないので音が大きい)こと、エンジンの温度管理が難しく、排ガス規制に対応しにくいといったデメリットも多く、現代では一部の二輪車を除いて、空冷式は採用されなくなりました。

では、かつてその空冷エンジンを搭載していたクルマの代表例を見ていきましょう。

フォルクスワーゲン タイプ1

1938年に生産が開始されて以来、2003年まで半世紀以上にわたって生産され、累計生産台数が世界最多の2,000万台以上という、まさに大衆車の代表とも言えるVW タイプ1は、リアに空冷式の水平対向エンジンを搭載していました。

「ビートル」や「カブトムシ」の愛称で親しまれてきたこの小型車は、1933年に当時のドイツ首相、アドルフ・ヒトラーが国民車構想を打ち出したことによって開発が始まったもので、後にポルシェを創業するフェルディナント・ポルシェに大衆車の設計を依頼する際、条件のひとつに空冷エンジンの採用を挙げました。

空冷式の水平対向4気筒エンジンを車体最後部に置き、後輪を駆動するRR(リアエンジンリアドライブ)方式のタイプ1は、水平対向、そして空冷エンジンのバタバタという音が特徴的なクルマでした。

トヨタ スポーツ800

トヨタ スポーツ800は、1965年に発売されたトヨタの小型2シータースポーツカーです。ヨタハチと呼ばれ、空冷2気筒790ccのエンジンは非力でしたが、580kgという超軽量の車体と空気抵抗の少なさで、レースで大活躍しました。

もともと販売される予定のなかった実験的な車両であったにもかかわらず、1962年の東京モーターショーへの出品で思わぬ反響があり、製品化されることになったという異色の経緯を持つモデルでもあります。

シボレー コルヴェア

1960年から69年まで製造されたアメリカゼネラルモーターズ社のコンパクトカーです。アメリカ車としては珍しい空冷エンジンを採用しています。フロントエンジンのクルマが一般的であった時代にリアエンジンを採用、大きな室内空間とフラットなフロアを実現しています。

新設計の空冷水平対向6気筒エンジンは革新的で、2代目のターボ装着モデルでは180psを発揮しました。

セダンやクーペ、派生モデルのステーションワゴンなど多彩なラインナップで人気を博しましたが、初期モデルにおけるハンドリングの欠陥疑惑についての社会活動家による告発キャンペーンが影響し、早々に生産を切り上げることになりました。

ホンダ 1300

ホンダが1969年に発売した小型乗用車が、1300です。水冷よりも空冷に徹底的にこだわったホンダ創業者、本田宗一郎の信念が詰まったクルマともいえます。

DDACという独特の構造の空冷方式を採用しましたが、これは水冷式のウォータージャケットのような空間をシリンダー周りに作り、そのなかに冷却ファンで起こした風を強制的に送り込むことによって冷却する構造です。

DDAC採用による構造の複雑さによって前軸重量が増加、これが操縦安定性に悪影響を与えてしまいました。またコストも高くなったため、空冷エンジンを採用するメリットが薄れ、商業的には失敗を喫してしまいました。

ポルシェ 993

空冷エンジンにこだわったクルマといえばポルシェの名前が必ず出てくるほど、空冷エンジンは911の代名詞的な存在でした。空冷最後のモデルとなった993型は、1993年に発売されました。

エンジンは3.6L 空冷水平対向6気筒で285psを発揮。そのシャープなレスポンスと独特の乾いたエンジンサウンドは、現代のクルマでは決して味わえない魅力的なものです。

大衆車ではなくスポーツカーとして空冷エンジンにこだわるということは、コスト削減ではなくスポーツカーの魅力を生かすということ。ポルシェ993は空冷エンジンを極めたモデルともいえるでしょう。

残念ながら、通過騒音規制などの高いハードルをクリアするのが困難となり、空冷モデルは絶滅してしまいましたが、中古市場ではいまだ、空冷モデルが高い人気を誇っています。


空冷エンジンを搭載したクルマを見かけることは非常に少なくなってしまいましたが、その独特のフィーリングを好む愛好家の方は、いまなお多くいらっしゃいます。イベントなどで空冷エンジン搭載車を目にする機会がありましたら、ぜひそのエンジンサウンドを味わってみてください。

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文・立花義人
フリーライター。5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。

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