小沢コージのものくろメッセ その26 日本のタクシーと「Uber(ウーバー)」の関係性

その26 日本のタクシーと「Uber(ウーバー)」の関係性

アヘッド 小沢コージ

7年ほど前に始まったシステムで、昨今は「ライドシェア」とも呼ばれ、ネットやスマホ普及と相まって爆発的に世界に広まった。去年末は遂に、発祥の地サンフランシスコで大手タクシー会社を破産に追い込んだほどだ。

正直、コイツの便利さは使ってみないと分からないが、凄いのはスマホ上で行うタクシー配車サービス以上に、運賃の安さと支払いの安心感がある。なにしろコイツの本質は前代未聞の「白タク安心利用システム」でもあり、だから日本で普及しないのだ。

論より証拠。小沢が使った場所はサンフランシスコ。ネットで予約した安モーテルに泊まることになり、しかも飛行機出発は翌朝8時。余裕を持って6時には空港に着きたいが、ネットで調べても電車やバスは近くを通ってないし、となると移動はタクシーしかない。

しかしモーテルの受付に人はロクにいないし、早朝5時台に路上で流しのタクシーを確実に捕まえられるとも思えない。すると現地人が言うのだ。「Uberしかないわよ」

使い方は簡単。専用アプリをダウンロードし、名前や連絡先、ここがポイントだがクレジットカード番号を入れるとIDが取得でき、アプリ上で近くを走っているクルマを呼び寄せ、目的地まで行くことが出来る。凄いのは目的地を入れた時点でおおよその運賃が判明することで、普通のタクシーより大抵安い。

なぜなら場所にもよるが海外ではまず正規のタクシーではなく、民間人がマイカーでやってくる。Uberの基本は白タク、つまり素人ドライバーの発掘&利用なのだ。

だから安いわけだが、となると当然気になるのが乗車リスク。ドライバーは日本でいう2種免許を持ってないし、客を拉致しての強盗やら最悪レイプもありうる。実際そういう事件が全くないわけではない。

しかしUberドライバーはクレジットカード保持者しかなれないから、ある程度身元が判明できる上、ドライバーの実名、車名、自動車ナンバーが表示されるし、ドライバー採点システムもある。よって意外と普通の人が来るし、実際のところ安心なのだ。

知り合いのシスコ勤務の日本人女性は「何十回と使ってますけど全然大丈夫ですよ」と言うし、小沢が何度使っても恐そうな人は一度も来なかった。それどころか海外では正規タクシーでも平気でメーターを止めて走るし、料金をボる。Uberの方が安心なくらいだ。

その点、日本は一応Uberはあっても普通のタクシーをアプリで呼べるだけなので料金的な旨みがないし、元々正規タクシーが割高だが安心なのでメリットがほとんど享受できない。よって普及は進んでいない。

日本でも、過疎地区だけでも白タクを認可し、Uberを導入すれば凄く便利なはずなのだ。しかし、先日富山で行われるはずだったUber Japanの実験は見送りになった。実は安部政権は普及促進側で、問題は仕事を失う昔ながらのタクシー業界だ。気持ちが分からぬわけではない。が、こうやって日本はまた1つ世界とズレていく。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の “バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタ iQなど。

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