小沢コージのものくろメッセ その27 スマホと自動運転の共通性

アヘッド 小沢コージ

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最近ケータイショップ、いやスマホショップでイラ付いたり怒鳴ったりする年配が多いという。しかし、今回はその批判ではなく逆だ。その気持ちもよく分かる。最近のスマホを見て、買って、使って腹が立ったり、無力感を感じることは多いからだ。

text:小沢コージ [aheadアーカイブス vol.163 2016年6月号]

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その27 スマホと自動運転の共通性

その27 スマホと自動運転の共通性

まず料金がよく分からない。なんとかプランだ〜、何ギガだ〜、何とかシムだ〜、MNPだ〜、通話何回まで定額だ〜、アンドロイドだと機種代無料だがアイフォンなら月々1000円だ〜なんとか保証パックだ〜キャッシュバックだ〜とか、月々2980円とか言っておきながら結局5000円かい!

「1ギガならお安いですが、やはり3ギガぐらい必要ですよ」ってだったら最初っからそんなプラン用意するな。まあ、複雑怪奇で落とし穴だらけ。

最終的に月々いくらかよくわからないし、最初の数ヵ月だけ入って後は外していいという、実に怪しげな有料コンテンツなんてものも多い。こんなのフツウ外すの忘れるって。

「結局、世の中は頭のいいヤツの都合良いように作られてるんだと」とうそぶいてた友人がいたけどまさにその通り。

例のリーマンショックのきっかけになった北米サブプライムローンってヤツがあるが、あれは信用度の低い、リスクたっぷりローンを複雑怪奇に組み合わせた金融商品だった。そこに家が欲しい愚かな平民が誘惑されたのだ。

スマホもそうだ。最初のひと月では支払5000円かもしれない。だが1年使って6万円、2年使って12万円。月々ってことは当たり前だが毎月かかるということだ。

昔、なるべくローンは使わないというクソマジメな友人がいた。だが、スマホは基本ローンで買う物だ。機種代と月々の使用料が複雑に組み合わされた実にやっかいなシロモノ。

先日海外出張に行った月、ケータイの明細が2万円になっている時があったが何に余計に使い、何が問題だったかよく分からない。

「俺は電話に騙されているのか!?」と怒りたくなる気持ちは他人事じゃない。ショップで頭の悪さ、回転の悪さを指摘されているようだ。なぜに、こんな屈辱を受けなければならないのか。

スマホ自体もよく分からない。若い奴らは設定だのアプリだのを便利にダウンロードしたりしてスイスイ使いこなしているが、こちとら5コぐらいしか使っていない。

それどころか肝心の電話に出ようとして、間違ったスイッチを押して切っちゃう事がある。もっとイラ付くのは重要なインタビューをスマホで録音し、終わった瞬間、間違って消去ボタンを押しちゃったときだ。

なにが便利なんだこのクソスマホ!! と一瞬思う。同時に直感的に閃かない我が頭を呪う。私は携帯ショップはいつでもたたけるパンチングボールを置くべきだと思っている。

話は長くなったが、ってクルマの自動運転だ。賛否両論いろいろだが、私はもし自動運転が可能になり、所有概念が変わった時、クルマがスマホ化する日は近いと思う。

というか、クルマは将来間違いなく「発電機能付き巨大移動スマホ」に変わるのだ。おそらく今以上に便利になるが、それと引き替えに、なんらかの耐えがたいフラストレーションを抱えるようにもなるであろう。ほぼ、間違いなく。

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text:小沢コージ/Koji Ozawa
雑誌、ウェブ、ラジオなどで活躍中の“バラエティ自動車ジャーナリスト”。自動車メーカーを経て二玄社に入社、『NAVI』の編集に携わる。現在は『ベストカー』『日経トレンディネット』などに連載を持つ。愛車はロールスロイス・コーニッシュクーペ、トヨタiQなど。
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