私のSAFETY POINT vol.5 三ナイ主義

vol.5 三ナイ主義

アヘッド 私のSAFETY POINT vol.5三ナイ主義

ダッシュボードの上にモノを置きっぱなしにするなど言語道断で、ドアポケットやセンターコンソールにもできれば置きたくない。なぜなら、急制動を強いられたり、衝突事故に遭遇したりした際に、モノが飛んで自分や同乗者に危害を加えるようなことがあってはイヤだからだ。

モノを載せたくない理由のみっつ目は、クルマを重くしたくないから。F1マシンは10㎏重くなるとラップタイムが0・3秒遅くなると言われている。自分のクルマで速さを競っているワケではないが、重くなればなるほど、エンジンの負担は増え、燃費は悪化する。

使うアテのないモノをかごに入れたまま自転車に乗る人がそう多くないのは、重量の増加は漕ぐ力にダイレクトに響くことを体験的に理解しているからだ。クルマも同じ。重ければ重いほど、余計な燃料を消費してしまう(その前にオマエがやせろ、という話なのだけれど)。

という意識から、エアゲージだけは積んでいる。空気圧が過度に低下すると危険だし、燃費が悪化することを重々承知しているからだ。音の静かな12V電源のコンプレッサーがあれば、「圧が足りない」とわかったときにすぐ充填できるよう、重量増のハンデを押しのけても載せたいと思っている。

「置かない」「載せない」ついでに触れておくと、「聴かない」主義でもある。オーディオはめったに使わない。やはり、運転に集中したいからだ。クルマを動かしていると、エンジンが発する機械的な音や、排気音や、電動ファンが動き始めた音などが室内に入ってくる。普段と異なる音がすればそれは不調の合図で、そうした合図も聞き逃したくない。

というのは優等生的な発言で、クルマが出す音を聴くのがいちいち楽しいというのが本音。窓越しに飛び込んでくる周囲の種々雑多な音がクルマの音と重なり、移動の実感を濃密に味わわせてくれる。自己分析すればそれが、集中力を高めると同時に、心身のリラックスにつながっているようだ。

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text:世良耕太/Kota Sera
F1ジャーナリスト/ライター&エディター。出版社勤務後、独立。F1やWEC(世界耐久選手権)を中心としたモータースポーツ、および量産車の技術面を中心に取材・編集・執筆活動を行う。近編著に『F1機械工学大全』『モータースポーツのテクノロジー2016-2017』(ともに三栄書房)、『図解自動車エンジンの技術』(ナツメ社)など。http://serakota.blog.so-net.ne.jp/

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