ポルシェ911購入のチャンス。自動車雑誌の偉い人から誘われた?!ポルシェ 911 Sデラックスを振り返る

ポルシェ 911

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「中村さん、僕のポルシェ買わない?」そんな唐突な話が来たのはもう30年以上前のこと。当時創刊から1年ほどの名前を書けばすぐにわかってしまう、とある自動車雑誌の編集局長からの話である。クルマは1974年式ポルシェ911。ビッグバンパーになったとはいえ、ナローポルシェだ。当時は今と違ってまだまだ911の値段はこなれていた。個人売買だったこともあってかなり格安のお値段でのオファーだった。

文/写真・中村孝仁
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突然もらったチャンス、「僕のポルシェ買わない?」
10年落ち(当時)でもポルシェの中古は超が付くほど丈夫
もし、アナタもオーナーになる場合があるときには押さえておきたい注意点
ポルシェ911といえばこんな動画も!ポルシェ 911を新旧乗り比べ!土屋圭市 × 河口まなぶ(LOVECARS!TV!) 70分徹底解説!

突然もらったチャンス、「僕のポルシェ買わない?」

この先、ポルシェ911が自分のものになるチャンスなって滅多に無いぞ。今ある古いやつを処分すれば買えるじゃないか。それに愛情こもった扱いを受けてきたポルシェであることもわかっているし、状態もすこぶるいい。

こんなの滅多に手に入らないぞ!等々、心の中の悪魔だか天使だかが、耳元で囁く。当時は一人もんで気楽な生活を楽しんでいたから、クルマは身一つのくせして2台持っていた。1台は日常の足。そしてもう一台はドライブを楽しむためのクルマで、この時は60年代の年季の入ったセミクラシックを持っていた。

そいつを手放せば確実に買えるということがわかっていたので、ほとんど悩まずに…とはいっても二つ返事ではなく、とりあえずその処分するクルマの売り先を確保したた上で、「譲ってください」…となったわけである。

10年落ち(当時)でもポルシェの中古は超が付くほど丈夫

さて、購入したポルシェは前述したように1974年式で、当時はグレード的にSデラックスと呼ばれていたモデルだ。だから、ダッシュボードの下端に斬新なエアコンの吹き出し口が付いていた。

それにオーナーがショックをすべてコニ製に入れ替え、さらにカレラRS用のいわゆるダックテールというやつを装備していたのだが、外観はホンモノのRSの場合リアに若干のオーバーフェンダーが付き、ノーマルとは確実に異なる。

それに僅かなのだろうがフード自体が重く、エンジンルームを覗き込もうとすると、ダンパーが弱っていたのか自重でフードが落ちてきてしまう。というわけで速攻でノーマルのエンジンフードに交換。ダンパーはそのままでもフードは落ちなくなった。

確か新車時から12~13年落ちの中古と呼ぶには年季の入り過ぎたモデルだったが、ボディの立て付けはすさまじくしっかりしていて、カチリと締まるドアの感じから、乗った時の剛性感の高さなど、それは素晴らしかった。

だから、911の場合、古くても手入れさえ行き届いていれば、何年たっても乗れるだろうな、というのが偽らざる印象で、事実、今(2019年)だって元気に走り回る911より古い356がいくらでもいる。

もし、アナタもオーナーになる場合があるときには押さえておきたい注意点

今となってはナローポルシェの値段など天文学的になってきているから、おいそれと手に入れられるモデルではないかもしれない。でも、もし、その意思があるなら出来るだけ来歴のしっかりとしたモデルを選ぶことをお勧めする。僕の場合は個人売買で、その方自らが並行輸入をしたモデルだったから、日本に入ってからは事実上のワンオーナー。

それにいじった箇所やら、修理歴などもすべてわかっていた。こうした部分がわかっていてなおかつ綺麗なら文句なし。

仮にきれいでなくても、そうしてクルマの履歴さえわかっていれば、どこをどう手入れすればよくなるかがわかるので、そこを手入れすればクルマは確実に良くなる。今でこそ、ポルシェ911は大型化してラグジャリーの範疇にも入る高級スポーツカーになっているが、当時のモデルは質素だし何より軽量で、抜群に優れたエンジンのピックアップが最大の魅力。
僕のクルマはパワーこそ低かったが車重が僅か1080kgしかなく、たった150psだったパワーを補って余りあった。同時期に持っていたボルボと共に、当時のJARIに持ち込んで最高速テストを行ったが、確か230km/hくらいは出たと記憶する。フラット6の排気量は2.7L。

この時代のポルシェはハンドスロットルとチョークレバーが装備されていて、ハンドスロットルというのはアクセルを踏む代わりにそのレバーでアクセルペダルを少し踏んでやるのと同じ効果を持つ機能。

ただ、気をつけなくてはいけないのは、チョークを引かずにハンドスロットルだけで寒い朝などにエンジンをかけると、当時のKジェトロニック燃料噴射はバックファイアを起こしてマニフォールドを吹き抜く危険があるので要注意。
実は一度こいつをやらかして、結構な修理費を払ったことがあるが、その卓越した精度の高さで、およそ3年弱の間故障はこの1度だけ。空冷エンジンだからオイルには常に気を使う必要があるし、911のオイル量は確か8㍑ほど。普通のクルマに比べるとほぼ倍は入る。粘度などにも注意をする必要がある。
あともう一つ注意。空冷故に、いくら強制空冷とはいえ、渋滞になるとエアコンなどの効きは弱くなるし、何よりも熱によるエンジンブロックの変形は超要注意。

勿論普通の渋滞ならどうってことはないが、真夏炎天下の帰省などの大渋滞は注意が必要ということである。そのあたりさえきちんとすれば、ほぼメンテナンスフリー。911は最高のスポーツカーだ。

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