新生ドーン、ロールス・ロイス唯一無二のコンバーチブルで復活

ロールス・ロイス ドーン 2015

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現行ロールス・ロイス唯一にして無二のコンバーチブルモデルであるDawn(ドーン)。工業製品の枠を越え、工芸品の域にまで高められた各パーツとそれらが織りなす完成度は、ライバルが見当たりません。そんなドーンを、モータージャーナリスト小野泰治が解説します。
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由緒あるネームがコンバーチブルで復活
優雅で華やいだ雰囲気はドーンだけのもの
仕立てのすこぶる良い外出着のようなキャラクター

由緒あるネームがコンバーチブルで復活

カタカナで表記すると多少間の抜けた印象もありますが、夜明け(dawn)を意味する「ドーン」は、ロールス・ロイスにとって由緒あるネーミングのひとつです。

ゴーストやレイス同様、かつてはシルバーという単語を組み合わせてシルバードーンと名乗っていましたが、1949年に登場した初代はフォーマルな4ドアセダンのボディ形態を採用。直列6気筒エンジンを搭載し、1955年まで生産されました。

また、1997年にはSZシリーズと呼ばれるシルバースピリットから派生した2代目シルバードーンが発売。こちらは短命に終わりましたが、エンジンは戦後のロールス・ロイスで長年主力だった6.75リッターのV型8気筒ユニットを搭載していました。

そんな“シルバー時代”と比較すると2016年に登場した新生ドーンは完全な別モノになっています。

優雅で華やいだ雰囲気はドーンだけのもの

ボディ形態は、4ドアセダンから4シーターコンバーチブルへと転身。つまり、レイスのオープン版という位置付けになったわけですが、その華やいだ風情は現行ロールス・ロイスのなかで随一。

4人乗りオープンカーといえば、2ドアのパーソナルカー市場でもとりわけ優雅さ、あるいは乗る人の“豊か過ぎる”ライフスタイルを演出するツール的キャラクターが期待されるものですが、まさに現行ドーンはそうしたニーズにピッタリな選択肢のひとつに仕上げられています。

それを象徴するのが、もはや工芸品の域にある細部の作りです。全体から発散される漲らんばかりの質感の高さは、ありきたりな自称プレミアムブランドなど寄せ付けない超高級車のそれ。

たとえば、英国ブランドの内装といえばウッドトリムとレザーの組み合わせが定番ですが、初めて見る人は華やぎと上品さを兼ね備えた仕立てに目を奪われること請け合い。超高級車としてその名を轟かせてきたロールス・ロイスらしく、アイテムの選択肢も膨大と呼べるものです。

ウッドトリムだけでも組み合わせはデフォルトで2万通りもあり、熟練技術者のハンドクラフトによって組み上げられるそれには2つとして同じものが存在しません。

また、ファントム以降の新生ロールス・ロイスに共通する美点のひとつとして挙げられるのが、随所にモダンなデザイン手法を採り入れている点です。

メーターやスイッチ類、そして自慢のフードマスコットであるスピリット・オブ・エクスタシーなど、ディテールには往年のモデルに通じる造形を与えつつ、それらと組み合わせる各部の仕立ては単に上質なだけでなく、現代のクルマだからこそ可能な手法をミックス。

結果として、伝統のブランドでいながら新しさも意識させる作りは今世紀になって袂を分かったライバル、ベントレーにはない新生ロールス・ロイス固有のキャラクターに昇華されているのです。

仕立てのすこぶる良い外出着のようなキャラクター

そんな工芸的な内外装のボディは、全長が約5.3m。車重は2,640㎏に達していますが、走りのパフォーマンスも上品そのもの。

搭載するエンジンは6.6リッターのV型12気筒ツインターボで、最高出力が420kW(570ps)、最大トルクは820Nmに達するだけに前述の車重など一切苦にしませんし、その気になれば優雅な佇まいに不釣り合いな速さも実現可能です。

しかしながら、その本領を実感できるのは、何気なく走らせた際に胸を打つ一種の軽さ。十二分な高級感と適度な軽快感を両立するテイストは、まさにお金持ちのカジュアルな「外出着」に相応しいキャラクターと言えるでしょう。

もちろん、3,740万円から、という代物をカジュアルに扱う感覚など庶民には想像しがたいものではあるのですが…。
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