ランドローバーが人気な理由とは?世界最高峰のSUVと言われる理由とは
更新日:2024.09.09
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オフロード4WDやSUVのファンにとって、「ランドローバー」のブランドは垂涎の的。大戦直後に生まれた同ブランドは、四輪駆動車専門メーカーとして、常に世界に君臨してきました。今回は、その魅力を探ります。
ランドローバーは戦争が生んだ名門ブランド
大戦中のイギリスは、物資が非常に不足していました。そのため軍事物資や兵器の類いも同盟国に頼り、アメリカ軍からの武器供与がイギリスの戦況を支えていたことは確かです。
戦後のイギリス国内には、戦争で使われた中古Jeepが多く走っていました。1948年、ローバー・モーター社はアメリカ軍のJeepを参考に、その構成部品の一部を流用してランドローバー・シリーズⅠを開発。鉄不足のためにアルミボディを使い、4WDシステムも構造がシンプルなサブトランスファー付きのフルタイム4WD式を採用していました。
ちなみにこのクルマの開発時のコンセプトは「あらゆる仕事に対応する農民のメイド」。当時の物品購買税の課税対象外だったこともあり、発表からわずか3年で1万6,000台を達成しています。
そしてこのシリーズⅠこそが、後に脈々と続くランドローバーの系譜の原点となります。'49年にはイギリス軍が制式採用したことから、ランドローバーは国内で確固たる地位を築きます。また世界に多くの植民地を持っていたイギリスは、このランドローバーを僻地に続々と送り、イギリスの覇権の象徴となっていったのです。
戦後のイギリス国内には、戦争で使われた中古Jeepが多く走っていました。1948年、ローバー・モーター社はアメリカ軍のJeepを参考に、その構成部品の一部を流用してランドローバー・シリーズⅠを開発。鉄不足のためにアルミボディを使い、4WDシステムも構造がシンプルなサブトランスファー付きのフルタイム4WD式を採用していました。
ちなみにこのクルマの開発時のコンセプトは「あらゆる仕事に対応する農民のメイド」。当時の物品購買税の課税対象外だったこともあり、発表からわずか3年で1万6,000台を達成しています。
そしてこのシリーズⅠこそが、後に脈々と続くランドローバーの系譜の原点となります。'49年にはイギリス軍が制式採用したことから、ランドローバーは国内で確固たる地位を築きます。また世界に多くの植民地を持っていたイギリスは、このランドローバーを僻地に続々と送り、イギリスの覇権の象徴となっていったのです。
ランドローバー・シリーズⅠはその後シリーズⅢまで進化する一方で、1970年に同車から画期的なクルマが登場します。それは「レンジローバー」です。
ランドローバーは頑丈で悪路走破性が高く、貴族層や富裕層にも狩猟などで愛用されていました。ですが、’66年に投入された2.6リットルガソリンエンジン(シリーズⅡ B)は、ライバルであったJeepブランドのクルマの比べるといかにも貧弱で、乗り心地も快適とは言えませんでした。
それを覆したのがレンジローバーです。3.5リットルV8という強力な心臓を持ち、サスペンションは四輪ともコイルスプリング式リジッドアクスルを採用。オンロードからオフロードまで、流れるように走りました。また内装も安全性の高い樹脂パネルや毛足の長いをフロアカーペットを奢り、それまでの四輪駆動車のイメージを一新したのです。
レンジローバーの登場は、それ以降の世界の市場に大きく影響を与えました。ステーションワゴンと四輪駆動車の融合というカテゴリーは、すでにJeepのワゴニアなどが確立していましたが、これに「高級」というエッセンスを加えたのはレンジローバーが最初です。
これに触発され、メルセデス・ベンツはゲレンデヴァーゲンを、トヨタ・ランドクルーザーは60系を世に送り出しています。
ランドローバーは頑丈で悪路走破性が高く、貴族層や富裕層にも狩猟などで愛用されていました。ですが、’66年に投入された2.6リットルガソリンエンジン(シリーズⅡ B)は、ライバルであったJeepブランドのクルマの比べるといかにも貧弱で、乗り心地も快適とは言えませんでした。
それを覆したのがレンジローバーです。3.5リットルV8という強力な心臓を持ち、サスペンションは四輪ともコイルスプリング式リジッドアクスルを採用。オンロードからオフロードまで、流れるように走りました。また内装も安全性の高い樹脂パネルや毛足の長いをフロアカーペットを奢り、それまでの四輪駆動車のイメージを一新したのです。
レンジローバーの登場は、それ以降の世界の市場に大きく影響を与えました。ステーションワゴンと四輪駆動車の融合というカテゴリーは、すでにJeepのワゴニアなどが確立していましたが、これに「高級」というエッセンスを加えたのはレンジローバーが最初です。
これに触発され、メルセデス・ベンツはゲレンデヴァーゲンを、トヨタ・ランドクルーザーは60系を世に送り出しています。
ランドローバーから次々と打ち出される新機軸
※写真は70周年記念限定モデル
ランドローバー・シリーズⅢは'83年に「ディフェンダー」と名を変えて、同時にリーフスプリングをコイルに変更。90インチ、110インチモデル、ピックアップトラックなどバリエーションを増やし、そのブランド力を確固たるものにしていきました。
一方で、母体であるローバ−社の経営は思わしくなく、次々と組織を改編します。
さらに追い打ちをかけるように、’80年代から日本製の四輪駆動車が市場に大攻勢をかけてきました。パジェロやランドクルーザープラドといったリーズナブルで高性能なモデルです。
ランドローバー・シリーズⅢは'83年に「ディフェンダー」と名を変えて、同時にリーフスプリングをコイルに変更。90インチ、110インチモデル、ピックアップトラックなどバリエーションを増やし、そのブランド力を確固たるものにしていきました。
一方で、母体であるローバ−社の経営は思わしくなく、次々と組織を改編します。
さらに追い打ちをかけるように、’80年代から日本製の四輪駆動車が市場に大攻勢をかけてきました。パジェロやランドクルーザープラドといったリーズナブルで高性能なモデルです。
こうした日本勢に押され気味だったランドローバーは、それに対抗すべく'89年に「ディスカバリー」を投入。シャシーはレンジローバーのものを使い、これに3.5リットルV8と2.5リットルディーゼルターボを積んでいました。
当時のアウトドアブームを十分に研究したディスカバリーは日本でも人気を博し、それまで富裕層のブランドだったランドローバーを一般に広い浸透させることに成功しています。ちなみに初代ディスカバリーは、ホンダから「クロスロード」の名を冠したバッチモデルで販売されています。
当時のアウトドアブームを十分に研究したディスカバリーは日本でも人気を博し、それまで富裕層のブランドだったランドローバーを一般に広い浸透させることに成功しています。ちなみに初代ディスカバリーは、ホンダから「クロスロード」の名を冠したバッチモデルで販売されています。
そして世の中がライトクロカンブームになると、すかさず「フリーランダー」を1997年から発売。CR-VやRAV4といったライバルとは、似て非なるキャラクターを打ち出していったのです。
一方で、屋台骨であるレンジローバ−は迷走していました。シェアの大きい北米からの要望は高級化路線でしたが、開発陣は伝統のヘビーデューティ路線を譲らないという状況の中で生まれた2代目(1995〜2002年)は、ある意味エポックメイキングでした。堅牢性と信頼性を何よりものの身上とするオフロード4WDにおいて、電子制御のエアサスペンションとトラクションコントロールを採用したからです。
ですが、この英断こそが、今日のすべてのSUVのメカニズムに大きな影響を与えた原点となり、ライバルたちもそれに追随していったのです。
一方で、屋台骨であるレンジローバ−は迷走していました。シェアの大きい北米からの要望は高級化路線でしたが、開発陣は伝統のヘビーデューティ路線を譲らないという状況の中で生まれた2代目(1995〜2002年)は、ある意味エポックメイキングでした。堅牢性と信頼性を何よりものの身上とするオフロード4WDにおいて、電子制御のエアサスペンションとトラクションコントロールを採用したからです。
ですが、この英断こそが、今日のすべてのSUVのメカニズムに大きな影響を与えた原点となり、ライバルたちもそれに追随していったのです。
ランドローバーは新しいのに伝統的、これが何よりも魅力的
その後、レンジローバーはさらに先鋭化し、3代目で高級SUVとしてのひとつの形を確立させました。日常的に走行する割合の多い舗装路、つまりオンロードに性能の比重を置き、同時にオフロードではイージードライブ化を突き進めます。
一時は泥臭さがランドローバーブランドの魅力となっていましたが、レンジローバーが初代モデルで標榜した、オンオフ優れたバランスを持ったマルチパーパスなクルマとして、正常進化をしていくことになります。
一時は泥臭さがランドローバーブランドの魅力となっていましたが、レンジローバーが初代モデルで標榜した、オンオフ優れたバランスを持ったマルチパーパスなクルマとして、正常進化をしていくことになります。
4代目レンジローバーはオールアルミモノコック化という革新性に挑戦し、世間を驚かせました。またディスカバリーやフリーランダーの他に、2009年にレンジローバー・イヴォーグ、2015年にはディスカバリースポーツというクロスオーバー車を投入。ランドローバーワールドをさらに広げつつあります。
'80年代までは一部ユーザーだけのクルマだったランドローバーは、経営母体の移行と共に、裾野を大きく広げてきました。その一方で、源流であるシリーズⅠが持っていた“質実剛健”“実用本位”という香りは決して失っていないのです。ここまでユーザーの「冒険心」をかき立てる自動車ブランドは、他には存在しないのではないでしょうか。
SUVが好きでたまらないという人は、ぜひ一度ランドローバーのハンドルを握ってください。車窓の外に、他のクルマとは違う景色が見えるはずです。
'80年代までは一部ユーザーだけのクルマだったランドローバーは、経営母体の移行と共に、裾野を大きく広げてきました。その一方で、源流であるシリーズⅠが持っていた“質実剛健”“実用本位”という香りは決して失っていないのです。ここまでユーザーの「冒険心」をかき立てる自動車ブランドは、他には存在しないのではないでしょうか。
SUVが好きでたまらないという人は、ぜひ一度ランドローバーのハンドルを握ってください。車窓の外に、他のクルマとは違う景色が見えるはずです。
山崎友貴|Yamazaki Tomotaka
四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。