4駆に比べて2駆の走破力が低いとは限らない!?
更新日:2024.09.09

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今シーズンは豪雪となり、福井などでは多くの車が立ち往生しました。この様子を見て「やっぱり雪は4駆だな」と思った方もいらっしゃるでしょう。ですが、必ずしも2駆が4駆に比べて走破性が低いとは限らないのです。
最低地上高という走破性の目安
昨今、車高の高いSUVが大ブームとなっています。その魅力は、スペースユーティリティの高さや乗降のしやすさなどいろいろあると思いますが、悪路走破性の高さが大きいのではないでしょうか。
セダンやミニバン、ステーションワゴンではなかなか行けないような悪路でも、ロードクリアランスが十分にあるSUVであれば安心して走ることができます。
一般的に4駆は悪路に強いと言われています。これは間違いではありません。ですが、それよりもこのロードクリアランスが十分にあるかということが、走破性を確保する上で重要です。
ロードクリアランスとは、地面から車両下部の一番下までのことを言います。これは主要諸元表で「最低地上高」の項目を見れば分かります。
大抵の車の場合は、ディファレンシャルギアの入ったデフケース、もしくはミッションケースが下に突き出ていることが多くなっています。SUVやオフロード4WDでは、この突き出しをできるだけ少なくしています。
悪路走破性を示すもうひとつの数値に、「3アングル」というスペックがあります。3アングルとは「アプローチアングル」「ランプブレークオーバーアングル」「デパーチャーアングル」という3つの角度のことです。これは、凹凸のある不整地をどれだけ乗り越えられる能力があるかという目安になっています。
この3アングルを決めているのは、前後バンパーの張り出しなどのオーバーハング、そして車両下部のロードクリアランスなのです。
つまり、最低地上高の数値が低い車両は、一般的にあまり悪路走破性が高いとは言えないわけです。例えば、岩が突き出た平らな道を真っ直ぐに走った場合、最低地上高が高い車なら、その岩を股下にくぐらせて走ることができます。
セダンやミニバン、ステーションワゴンではなかなか行けないような悪路でも、ロードクリアランスが十分にあるSUVであれば安心して走ることができます。
一般的に4駆は悪路に強いと言われています。これは間違いではありません。ですが、それよりもこのロードクリアランスが十分にあるかということが、走破性を確保する上で重要です。
ロードクリアランスとは、地面から車両下部の一番下までのことを言います。これは主要諸元表で「最低地上高」の項目を見れば分かります。
大抵の車の場合は、ディファレンシャルギアの入ったデフケース、もしくはミッションケースが下に突き出ていることが多くなっています。SUVやオフロード4WDでは、この突き出しをできるだけ少なくしています。
悪路走破性を示すもうひとつの数値に、「3アングル」というスペックがあります。3アングルとは「アプローチアングル」「ランプブレークオーバーアングル」「デパーチャーアングル」という3つの角度のことです。これは、凹凸のある不整地をどれだけ乗り越えられる能力があるかという目安になっています。
この3アングルを決めているのは、前後バンパーの張り出しなどのオーバーハング、そして車両下部のロードクリアランスなのです。
つまり、最低地上高の数値が低い車両は、一般的にあまり悪路走破性が高いとは言えないわけです。例えば、岩が突き出た平らな道を真っ直ぐに走った場合、最低地上高が高い車なら、その岩を股下にくぐらせて走ることができます。
4駆なのに最低地上高が低い?
SUVやオフロード4WDの場合、この3アングルを十分に確保するために、まず車高(最低地上高)を上げます。さらに車両下部の突起物をできるだけ少なくするのです。例えば、アメリカ軍の代表的な軍用車「ハマー(ハンヴィ)」の車両を下を見ると、真っ平らになっています。これは路面にある障害物を難なくやり過ごし、凹凸のある不整地で腹を擦らないようにという配慮からです。
では、すべての4駆が2駆よりもロードクアランスがあると言えるのでしょうか。実はそうとは言えないのです。一例として、スズキ・ハスラーを取り上げてみましょう。ターボXの最低地上高を見てみると、FFは180㎜なのに対して、4WDは175㎜なのです。これはリアのデフケースが下にさがっている分の数値差なのですが、車内空間などの設計の都合から、このようなことになってしまったようです。
もちろん、4輪の駆動力を考慮すれば、大抵の場合はFFよりも走破性が高いわけですが、たった5㎜の差で超えることのできない障害もないとは言えません。このように4駆の方がロードクリアランスがない…という車種が、希有ではありますが存在しているのです。
さらには、4駆はトランスファーやディファレンシャルギアといったシステム上の構成物が増えるため、当然ながら2駆よりも重量が重くなります。こうした重量増も、深雪や凍結路、砂地などでデメリットとなることもあるのです。
車を購入する場合は、自分のライフスタイルを考え、こうした諸元表の数値をチェックすることも大切です。
では、すべての4駆が2駆よりもロードクアランスがあると言えるのでしょうか。実はそうとは言えないのです。一例として、スズキ・ハスラーを取り上げてみましょう。ターボXの最低地上高を見てみると、FFは180㎜なのに対して、4WDは175㎜なのです。これはリアのデフケースが下にさがっている分の数値差なのですが、車内空間などの設計の都合から、このようなことになってしまったようです。
もちろん、4輪の駆動力を考慮すれば、大抵の場合はFFよりも走破性が高いわけですが、たった5㎜の差で超えることのできない障害もないとは言えません。このように4駆の方がロードクリアランスがない…という車種が、希有ではありますが存在しているのです。
さらには、4駆はトランスファーやディファレンシャルギアといったシステム上の構成物が増えるため、当然ながら2駆よりも重量が重くなります。こうした重量増も、深雪や凍結路、砂地などでデメリットとなることもあるのです。
車を購入する場合は、自分のライフスタイルを考え、こうした諸元表の数値をチェックすることも大切です。
最近は4駆なみの走破力を持つ2駆も
話は元に戻りますが、なぜ4駆は2駆よりも走破性が高いのでしょうか。2駆の場合、FFは後輪、FRは前輪が走行中に駆動力(エンジンからのパワー)が伝わっておらず、空転しているだけです。
ところが、4駆は4つのタイヤにエンジンの力が25%ずつ伝わり、すべてが前に進もうとします。2駆が一人で荷車を引いたり押したりしているのに対し、4駆は二人で協力して、引くと押すを同時に行っているのと同じです。
2駆よりも4駆が走破性が高いのは、簡単に言うとこういう仕組みなのですが、でも実際はここに「トラクション」という要素が加わります。トラクションとは、タイヤが路面をグリップし、前に進ませようという性能です。
例え4駆と言えども、タイヤがトラクションを発揮できなくなると空転して、前後対角線の車輪が2輪空転してしまった場合は、まったく前に進まなくなります。これを対角スタックと言います。昨今の4WD車ではこの対角スタックを防ぐため、電子制御で各輪の駆動力、センターデフの差動をバリアブルにコントロールしています。
そもそも2駆が走破性が低いのは、駆動輪の左右どちらかが空転してまったら、もう一輪も止まるというディファレンシャルギアの特性ゆえ。では、常にタイヤがトラクションを得られるようにコントロールできたらどうでしょうか。プジョーのSUV「3008」や「5008」はFF車です。
もちろんSUVとして十分なロードクリアランスを確保していますが、これに加えて「アドバンストグリップコントロール」という電子デバイスを採用しています。このシステムはエンジンやブレーキ、左右輪の駆動力配分を統合制御し、4駆にも負けない悪路走破性を実現させているのです。
今後も各社がこうした電子デバイスを2駆に採用するでしょうから、やがては必ずしも4駆でなければ雪道やオフロードは走れないというセオリーがなくなっていくことでしょう。
ところが、4駆は4つのタイヤにエンジンの力が25%ずつ伝わり、すべてが前に進もうとします。2駆が一人で荷車を引いたり押したりしているのに対し、4駆は二人で協力して、引くと押すを同時に行っているのと同じです。
2駆よりも4駆が走破性が高いのは、簡単に言うとこういう仕組みなのですが、でも実際はここに「トラクション」という要素が加わります。トラクションとは、タイヤが路面をグリップし、前に進ませようという性能です。
例え4駆と言えども、タイヤがトラクションを発揮できなくなると空転して、前後対角線の車輪が2輪空転してしまった場合は、まったく前に進まなくなります。これを対角スタックと言います。昨今の4WD車ではこの対角スタックを防ぐため、電子制御で各輪の駆動力、センターデフの差動をバリアブルにコントロールしています。
そもそも2駆が走破性が低いのは、駆動輪の左右どちらかが空転してまったら、もう一輪も止まるというディファレンシャルギアの特性ゆえ。では、常にタイヤがトラクションを得られるようにコントロールできたらどうでしょうか。プジョーのSUV「3008」や「5008」はFF車です。
もちろんSUVとして十分なロードクリアランスを確保していますが、これに加えて「アドバンストグリップコントロール」という電子デバイスを採用しています。このシステムはエンジンやブレーキ、左右輪の駆動力配分を統合制御し、4駆にも負けない悪路走破性を実現させているのです。
今後も各社がこうした電子デバイスを2駆に採用するでしょうから、やがては必ずしも4駆でなければ雪道やオフロードは走れないというセオリーがなくなっていくことでしょう。
山崎友貴|Yamazaki Tomotaka
四輪駆動車専門誌、RV誌編集部を経て、フリーエディターに。RVやキャンピングカー、アウトドア誌などで執筆中。趣味は登山、クライミング、山城探訪。小さいクルマが大好物。