BMW イセッタとはどんな車?車両の前から車に乗っていた!?

BMW イセッタ

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自動車は、サイドの前後にドア、後方もしくは前方にトランクがあるというのが常識ですよね。しかし長い歴史のなかには、正面がドアパネルになっており、乗車していた車がありました。今回は、そんなちょっと変わった車をご紹介します。
Chapter
正面ドアの代表車種「イセッタ」
イセッタのドアはどう開く?
じつは偉大なコンパクトカー

正面ドアの代表車種「イセッタ」

正面に設けられたドアから乗り込む車として有名なのが、BMWの「イセッタ」です。(正確にはイタリアのイソ・イセッタのライセンス生産になります)

コンパクトで可愛らしい外観を持つイセッタが登場したのは、1955年と半世紀以上も前のこと。250ccという現在の軽自動車よりもはるかに小さいエンジンを搭載していました。

このエンジンは、BMWのバイク(R25)に搭載されていたものでした。しかし動力性能に問題があったのか、同年には排気量を298ccにボアアップしたイセッタ300に進化しています。

乗車定員は2名で、リアのトレッドが極端に狭い4輪車でしたが、イギリス向けには3輪モデルもありました。

1957年には582ccエンジンを搭載し、大型になった4人乗りのBMW 600も発売されています。

イセッタのドアはどう開く?

気になるのがそのドアの開き方ですよね。イセッタは、フロント左側のハンドルをひねると、画像のように車両前面が家のトビラのように開きます。車体後方のトランクに見えなくもありませんが、こちらが前。

ステアリング機構やメーターパネルは、開いたドア側に付いてきますので、乗り降りでステアリングポストが邪魔になるということもありません。2名乗車の場合は、運転者が先に乗り込み、次に同乗者が乗り込む、そんなイメージですね。

絶対的なパワーはさすがにありませんが、単気筒エンジンの小気味よいサウンドと、コンパクト軽量な車体は当時の移動の足として大活躍したのでしょう。現在でも、近所の買い物用に使いたくなりますね。

じつは偉大なコンパクトカー

1950年代は、もっと車らしいかたちが主流だったのでは?と思う方もいるかと思いますが、イセッタは当時としても異端な存在でした。

現在、高級外車の定番として人気の高いBMWですが、当時は経営難に陥り窮地に立たされていました。倒産もやむを得ない状況でダイムラー(メルセデス・ベンツ)に買収されるという話も出ていたほどです。その危機的状況を救ったのが、このイセッタでした。

イセッタの登場がなければ、現在のBMWはなかった、もしくはダイムラー傘下の車として販売されていたかもしれません。気負わず乗れるコンパクトな車体は当時の人々の的を得ていたのでしょう。

スバル 360、フィアット 500、ビートルなどと同様に、イセッタも歴史に名を遺す偉大なコンパクトカーなのです。

2018年、そんなイセッタがスイスのマイクロ・モビリティ・システムズというメーカーから復活する予定です。動力源はモーター、つまり電気で走る現代らしい車です。車名は「マイクロリーノ」。気になる方は、こちらまで!

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