1990年代に起こったRVブームとはなんだったのか?
更新日:2024.09.12
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従来の実用性や性能重視のクルマ文化から、より生活を豊かに彩るためのアイテムに昇華しつつあった90年代の自動車。そのなかでも象徴的なのは、四輪駆動車をはじめとしたいわゆる『RVブーム』ではなかったでしょうか。このRV車というカテゴリー、いったい私たちになにをもたらしたのでしょうか。いくつかの例から探ってみたいと思います。
ヘビーデューティ&高級化路線を巧みにミックス
三菱 パジェロは、もともと過剰にヘビーユースに傾かない、実生活を過不足なく共にできる四輪駆動車として人気を博していました。
初代にはガソリンターボエンジン搭載車や、その最後期には3リッターV6エンジン搭載車も追加され、いわゆる「RV」の気運に拍車をかけます。
続く2代目では、より乗用車的な設えをセールスポイントとし、したたかな走りと乗用車の快適性や日常性、また本革内装などの高級な仕立てなどで顧客層を広げることに成功するのです。
このクルマが人気を高めたのは、ユーザーが従来のセダン型乗用車に食傷していたことや、豊かな生活感をクルマで表現するという風潮も高まり、こうしたクルマで別荘地に出かけるとか、キャンプに行くとか、そうした使い方を想定させるものが備わっていたということが大きな要因だと言えるでしょう。
その意味で、パジェロは当時のニューコンセプトであり、新しい自動車の流れを作り出した張本人だったとも言えそうです。
初代にはガソリンターボエンジン搭載車や、その最後期には3リッターV6エンジン搭載車も追加され、いわゆる「RV」の気運に拍車をかけます。
続く2代目では、より乗用車的な設えをセールスポイントとし、したたかな走りと乗用車の快適性や日常性、また本革内装などの高級な仕立てなどで顧客層を広げることに成功するのです。
このクルマが人気を高めたのは、ユーザーが従来のセダン型乗用車に食傷していたことや、豊かな生活感をクルマで表現するという風潮も高まり、こうしたクルマで別荘地に出かけるとか、キャンプに行くとか、そうした使い方を想定させるものが備わっていたということが大きな要因だと言えるでしょう。
その意味で、パジェロは当時のニューコンセプトであり、新しい自動車の流れを作り出した張本人だったとも言えそうです。
四駆+ターボ+ステーションワゴンの定番
当時、RVというカテゴリーはまだ創出されたばかりで、その定義は曖昧でした。それゆえに、レガシィ ツーリングワゴンもRVのカテゴリで括られていた記憶があります。
たしかに、ただの乗用車ではなく、ラゲッジスペースに旅の荷物を積んで長距離ドライブをするためのクルマとして考えれば”レクレーショナルビークル”に違いありませんから、それでも良かったとは言えるでしょう。
クルマになにを求めるのか。経済も潤い、生活も豊かになっていた当時の日本人にとって、自動車には実用品以上の”なにか”を求める気運が高まっていたことだけは確かです。
その要求に対して、レガシィツーリングワゴンもまたロングツーリングという「非日常」の生活感を提供する、時代にマッチした商品だったと言えるでしょう。
そう考えるとあの頃、日本は時代の変革期にあって、新しい価値観や人生観が人々の心のなかに芽吹き始めていたことを見て取れます。
そして、イメージ商品としての”RV”が、本格的に形成され始めたきっかけが…?
たしかに、ただの乗用車ではなく、ラゲッジスペースに旅の荷物を積んで長距離ドライブをするためのクルマとして考えれば”レクレーショナルビークル”に違いありませんから、それでも良かったとは言えるでしょう。
クルマになにを求めるのか。経済も潤い、生活も豊かになっていた当時の日本人にとって、自動車には実用品以上の”なにか”を求める気運が高まっていたことだけは確かです。
その要求に対して、レガシィツーリングワゴンもまたロングツーリングという「非日常」の生活感を提供する、時代にマッチした商品だったと言えるでしょう。
そう考えるとあの頃、日本は時代の変革期にあって、新しい価値観や人生観が人々の心のなかに芽吹き始めていたことを見て取れます。
そして、イメージ商品としての”RV”が、本格的に形成され始めたきっかけが…?
ライトクロカンの先駆
1994年デビューのトヨタ RAV4は、軽快、かつ軽便であるというところに魅力がありました。
贅沢志向や過剰な品質の追求は、バブル崩壊後合理的に是正される方向に世のなかは動きつつありましたから、クルマづくりにおいては贅沢装備やハイパフォーマンスを誇ることより、よりカジュアルで身軽な印象のものを好む傾向に移っていったように思います。
木村拓也さんが出演していたCMを覚えている方もいらっしゃると思いますが、このクルマは明るく若々しいイメージの構築に成功していました。
クルマとしての成り立ちは横置きFFベースの4WDで、必ずしも四駆としては本格派ではないし、車体もラダーフレームではなくモノコック。しかしヘビーユースはしないし、むしろ軽く作れて日常生活で扱いやすいほうが良いと、いさぎよく判断したトヨタの賢明な判断がありました。
このあたりからイメージ商品としての”RV”が、本格的に形成され始めたように思います。
贅沢志向や過剰な品質の追求は、バブル崩壊後合理的に是正される方向に世のなかは動きつつありましたから、クルマづくりにおいては贅沢装備やハイパフォーマンスを誇ることより、よりカジュアルで身軽な印象のものを好む傾向に移っていったように思います。
木村拓也さんが出演していたCMを覚えている方もいらっしゃると思いますが、このクルマは明るく若々しいイメージの構築に成功していました。
クルマとしての成り立ちは横置きFFベースの4WDで、必ずしも四駆としては本格派ではないし、車体もラダーフレームではなくモノコック。しかしヘビーユースはしないし、むしろ軽く作れて日常生活で扱いやすいほうが良いと、いさぎよく判断したトヨタの賢明な判断がありました。
このあたりからイメージ商品としての”RV”が、本格的に形成され始めたように思います。
これに味をしめたホンダ
世の中にRVの流行りを見て取ったホンダは、既存のシビックシャトルをベースにRVカー風の装いを施して、シビックシャトル ビーグルを発売します。
すでに償却の済んでいる、しかもシビック本体は次世代型へ移行しているにも関わらず、この旧モデルをベースに仕立てられたRVカー。ところがどっこいこれが意外なほど好評を博し、売れてしまうのです。
そもそもカンガルーバーというのは、オーストラリアで大自然のなかを走行中に不意に大型動物に衝突した際、クルマの側を保護するためのものでしたが、これがついているだけでなにやらオフロード車的な見え方をしてしまうわけですね。
このクルマも完全にイメージ商品でしたが、ホンダはこれに味をしめ、続くCR-Vなどはこのクルマのアイデアをさらに昇華させたものでした。
生活感の変化でクルマに求められる要素が急速に変化しつつあった90年代の前半。軽快な踏破性という心強さをどこかに感じさせるRVカーというのは、景気後退により「この先どうなるのかわからない」という先行き不透明な情勢のなかで、クルマが人々に与えたささやかな安心感だったのかもしれません。
これ以降にハリアーなどが登場し、ふたたび高級化路線を歩んだり、さらには高級スポーツカーメーカーも四輪駆動に参入するなどの動きを見ていると、当時の日本のRVブームというのはある種のさきがけになっていたと捉えることもできそうです。
すでに償却の済んでいる、しかもシビック本体は次世代型へ移行しているにも関わらず、この旧モデルをベースに仕立てられたRVカー。ところがどっこいこれが意外なほど好評を博し、売れてしまうのです。
そもそもカンガルーバーというのは、オーストラリアで大自然のなかを走行中に不意に大型動物に衝突した際、クルマの側を保護するためのものでしたが、これがついているだけでなにやらオフロード車的な見え方をしてしまうわけですね。
このクルマも完全にイメージ商品でしたが、ホンダはこれに味をしめ、続くCR-Vなどはこのクルマのアイデアをさらに昇華させたものでした。
生活感の変化でクルマに求められる要素が急速に変化しつつあった90年代の前半。軽快な踏破性という心強さをどこかに感じさせるRVカーというのは、景気後退により「この先どうなるのかわからない」という先行き不透明な情勢のなかで、クルマが人々に与えたささやかな安心感だったのかもしれません。
これ以降にハリアーなどが登場し、ふたたび高級化路線を歩んだり、さらには高級スポーツカーメーカーも四輪駆動に参入するなどの動きを見ていると、当時の日本のRVブームというのはある種のさきがけになっていたと捉えることもできそうです。