ピラーアンテナからルーフアンテナへ…なぜピラーアンテナは少なくなったのか?

ピラーアンテナ

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車載ラジオのアンテナといえば、ルーフ後端に設置するショートロッドタイプやシャークフィンタイプが主流です。しかし、ひと昔前ならオートアンテナ、それより前ならピラーアンテナでした。なぜ姿を消したのでしょうか?
Chapter
ピラーアンテナとは?
ピラーアンテナ絶滅寸前の理由
現在も製造されているピラーアンテナ車

ピラーアンテナとは?

自動車にラジオが標準装備され始めた1960年代後半、ラジオアンテナは運転席側のAピラー外側に取り付けられていました。

その後、1980年台になるとピラーアンテナはAピラーの内部へと移され、ルーフにアンテナ先端だけを突出させ、ラジオ聴取時にアンテナを伸ばしていたものです。

そしてラジオアンテナは、オートアンテナの時代を経て、ウインドウプリント式、ルーフ上のショートロッド式、ルーフ後端に設置するシャークフィンタイプへと別れていきます。ショートロッド式は設置場所が車種によって、ルーフ前方中央、ルーフ後端中央、ルーフ中頃で左右どちらかにオフセットなどがあります。

ラジオのアンテナは、長いほうが電波の受信性能が上がります。なのになぜ、長いピラーアンテナから短いショートロッドやシャークフィンに移行しているのでしょうか。

ピラーアンテナ絶滅寸前の理由

近頃、めっきりお目にかからなくなったピラーアンテナ。絶滅寸前の理由を考えてみました。

その①:歩行者保護の観点

ピラーアンテナは、Aピラーに設置されます。もし歩行者がAピラー付近に衝突した場合、アンテナが曲がり、折れ、鋭い凶器となって歩行者を傷つける可能性もゼロではありません。

その②:デザイン上の観点

埋め込み式になったとはいえ、Aピラー上に突起物があるよりは、ショートロッド式やシャークフィンのほうが、デザイン的、設置場所的に自由が効き、車両全体含めアンテナ部のスタイリングもクールに決められます。

その③:空力性能上の観点

Aピラー上の突起やAピラー外部にアンテナが露出していることで、風きり音が発生します。ドライバーに近い場所ですから、小さい音でも気になるもの。

1980年代に外装のフラッシュサーフェイス化が進み、ピラーアンテナは外部から内部取り付けに、そしてルーフ上のアンテナへと場所と姿を変えています。

その④:破損による交換費用

多いのが、アンテナを伸ばしたまま、屋根の低い駐車場などに進入してアンテナを折るケース。立体駐車場も増え、そのリスクは1980年代よりも格段にアップしています。

アンテナの構造が簡単なので、それほど高価なパーツではありませんが、都度交換となるとそれなりに痛い出費になります。

その⑤:製造コストの観点

後述する現役ピラーアンテナ設置車両の多くは、商業車です。メーカーの製造コスト、事業者の車両導入コスト的にも、熟成した技術のピラーアンテナは安価であると考えられます。

その6:ラジオ技術の観点

自動車だけでなく、ラジオの技術も進歩しています。アンテナの受信感度の向上、受信電波のノイズレスブースト化、ラジオ局の出力電波が高出力化など、ラジオ技術も進化し、そもそも長いアンテナを必要としなくなった。

また車両のもっとも高い場所に設置されていることからも、ルーフアンテナの受信感度は良くなっていると考えられます。

現在も製造されているピラーアンテナ車

その①:スズキ ジムニー

1998年より販売されている現行型スズキ ジムニーは、日本の乗用車では最後のピラーアンテナ車かもしれません。埋め込みタイプで、運転者が手動で伸縮させます。

空力性能を重視しない本格オフローダーならではの装備です。ジムニーも、そろそろモデルチェンジです。2017年は、走るシーラカンスのような現行型ジムニーを新車で購入する最後のチャンスです。

その②:ホンダ アクティバン

ホンダ アクティバンは、1999年から生産される長寿車。兄弟車のバモスがショーロットアンテナを装備しているので、アクティバンにはコスト対策でピラーアンテナを装備したと考えられます。

その③:トヨタ サクシード/プロボックス

トヨタ サクシード/プロボックスは、2014年にモデルチェンジしたかのように見えましたが、じつはビッグマイナーチェンジで、設計は2002年にデビューしたときのまま。製造開始からもうすぐ16年目になります。

アンテナは埋め込み式のピラーアンテナを採用します。
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