ミラーに忍者が!?バイクのすり抜け運転にご用心
更新日:2025.06.19

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渋滞や信号待ちで、バックミラーに“忍者”が映ったようにバイクが車列をすり抜けていく場面に遭遇したことはないでしょうか?車と車の隙間を縫うこの「すり抜け運転」は一見器用に見えますが、実は非常に危険です。
バイクのすり抜け運転とは?法律上の扱いと実態
渋滞時に車列の脇や間をバイクが前方へ抜けていく「すり抜け運転」は、法律で明確に禁止されてはいないものの、状況によって様々な交通違反に該当しかねない危険な行為です。このとき、すり抜け運転が「追い越し」にあたるのか、それとも「追い抜き」にあたるのかで、適用される交通ルールが異なる点に注意が必要です。「追い越し」とは、進路を変えて(車線変更をして)前方の車両の側方を通過し、その前方に出る行為を指します。一方、「追い抜き」は、進路を変えずに(車線変更をせずに)前方の車両の側方を通過する行為を指します。
すり抜け運転が危険な理由とは?接触事故と死角のリスク
すり抜け中はバイクが車の死角に入り、ドライバーに認識されないことがあります。特に左折時は巻き込み事故が起きやすくなります。さらに狭い隙間をすり抜けると、ミラーを擦ってバイクが転倒したり車に傷がつくことがあり、また、転倒によりライダーには命取りになることもあります。
バイクと接触したら?すり抜け事故の違反適用と注意点
例えば、追い越し方法の違反が挙げられます。道路交通法では、車両を追い越す場合、原則としてその右側を通行しなければなりません(道路交通法第28条)。ただし、前方の車が右折するため道路の中央や右端に寄っている場合は、その左側を通行して追い越します。また、進路変更を伴わない「追い抜き」であれば、前方の車の左側を通過すること自体は直ちに違反とはなりませんが、安全な方法で行う必要があります。これらのルールに反した危険な左側からの追い越しや、追い越しが禁止されている場所(交差点手前など、道路交通法第30条)での追い越しは「追い越し違反」に問われる可能性があります。その他にも、車列への「割込み違反」(道路交通法第32条)、周囲に危険を及ぼす運転と判断された場合の「安全運転義務違反」(道路交通法第70条)などに問われる可能性があります。なお、一度の事故で複数の違反が同時に適用される場合もあります。
これって当て逃げ?バイク事故で立ち去るとどうなる?
軽い接触でも走り去れば「当て逃げ」(人が負傷した場合は「ひき逃げ」)となり、免許停止や懲役・罰金など厳しい罰則の対象です(道路交通法第72条、第117条、第117条の5)。事故に遭ったら物損程度でも必ず警察に通報し、相手のナンバーやドラレコ映像など証拠を確保しましょう。軽微な事故でも報告義務があり、その場を去れば被害者でも違反に問われかねません。相手が逃げても警察が当て逃げとして捜査します。
バイクのすり抜け事故を防ぐ!ドライバーの安全対策
死角を見逃すな!目視とミラーでバイクを確認
車線変更や左折時はミラーに加え、必ず目視でも後方のバイクを確認しましょう。
バイクを妨害しない!幅寄せ行為は逆効果
渋滞中にバイクが横をすり抜けても、意図的に車体を寄せて妨害するのは危険です。このような行為は「あおり運転」(妨害運転)と見なされる可能性もあります 。
車間距離の確保が事故予防のカギ
前の車との距離に余裕を持てば、バイクが入り込んできても慌てず対処できます。
渋滞でも心にゆとりを持ち、無理なすり抜けや意図的な妨害を避けてお互いに思いやりを持ちましょう。そうすればミラーに“忍者”が現れても慌てず対処でき、双方が安全に目的地へたどり着けるはずです。