AT車のシフトにある2、1速レンジ…最近見かけなくなってきたのはなぜ?

AT レバー

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少し前のオートマ車(以下AT車)のシフトには、Dレンジの他に、2、1といったレンジがありましたよね。しかし、最近のモデルでこうした表記を見ることは、ほとんどありません。これはなぜでしょうか?
Chapter
絶滅した!? 2、1速レンジ…
2速レンジを駆逐したのはCVTか?
多段化が進むAT事情も理由か?

絶滅した!? 2、1速レンジ…

AT車で走る際に、下り坂などで少しでもエンジンブレーキを活用するために2速レンジにいれて…なんて走り方をした方は、ある程度の世代になっているかもしれません。というのも、最近のAT車で、シフトゲートに2速、1速レンジがついてる車をほとんど見かけないからです。

かつてのAT車は、ほぼトルコンAT仕様となっており、3速、オーバードライブ付き4速AT、といった状況でした。

いまから思えば非常にプアな機構であり、環境性能の面やシフトショックが大きいことから、乗り心地でも難がありました。この時代は、MT車の方が様々な面で優れていたといえます。

しかし、90年代後半頃にAT車にも大きな技術革新の波が押し寄せます。CVTの採用です。

2速レンジを駆逐したのはCVTか?

2017年現在でも、多くのATモデルに採用されているのが“CVT=Continuously Variable Transmission”。つまり、無段変速機です。

これはギアを持たず、ベルトと2つの可変径プーリーを組み合わせることで変速させるシステムであり、メリットとしては特定のギアを持たないことからスムースな加速が得られるというところです。

技術としては相当古く、第二次大戦前からあったといわれていますが、ベルト強度の問題やロスが大きく、採用にいたらなかったそうです。

しかし2017年現在では、改良を重ね、多くの車種で採用されています。

そして、お気づきのようにこのCVTには、特定のギアがありません。となると、シフトレバーの表記としてDレンジの下が2速、とはなりえないわけで、他の表記に変わっています。

CVT車の多くは、かつての2速レンジの代わりに「S」あるいは「B」といった表記になっています。Sは、スポーツという意味合いが多いでしょう。エンジン回転数を高めに設定するようにして、エンジンブレーキを効きやすくする、またより高回転をつかって加速するような設定になっています。

またハイブリッド車の多くは「B」となっていると思います。これはブレーキの意味のようで、ハイブリッド車特有の回生ブレーキを活用するレンジになっており、やはり下り坂等で積極的に使いたいところ。ハイブリッド車やEVにとって下り坂は、充電ポイントとも言い換えることができるわけで、回生ブレーキを積極的に使うべきですよね。

いずれにせよ、まず90年代に普及したCVTが、2速レンジを駆逐したのだと考えます。

多段化が進むAT事情も理由か?

2017年現在、CVTに対抗する勢力が存在します。それはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)です。欧州車に多く、MTのクラッチ操作を機械にやってもらう、2ペダルMTといったほうがわかりやすいかもしれませんね。

DCTは、MTとATの良いところどりともいえる機構で、ドライバーはクラッチ操作が必要もなく、多段MTをオートでもマニュアルでも操作できるという優れモノといえます。

また、既存のトルコンATも現在では5速はあたりまえで、8速や10速といったものも存在します。となると2速を設けた場合、坂道でエンジンブレーキを使うために2速を選択すると、強いエンジンブレーキが発生するばかりか、トップからギア比が離れすぎているために、2速にシフトダウンが行われないことも起こりえます。

そんな理由もあって、走行状況に応じてドライバーがギアを選択できるように、パドルシフトやシフトボタンが装備されるようになったのではないでしょうか。

こうした進化が、シフトゲートから「2」や「1」を消滅させたと考えることもできるでしょうね。とはいえ、これは歓迎すべき進化の証なのです。

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