ECUを変更していくと何が変わるのか?ROMチューン、フルコン、サブコン

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最近のクルマはコンピューターが1台と言わず何台も搭載されているので、「ECUを変更する」あるいは「ECUを書き換える、後付けサブコンで制御する」というのも容易ではありませんが、一時期は結構流行ったものです。
Chapter
最近のクルマはもうコンピューターだらけ
一昔前までは結構流行ったROMチューン
一番手軽なサブコンやリミッターカット
リスクも難易度も高かったが、効果てきめんのECU書き換え
一番手軽な社外ECU交換
赤ん坊から育てるようなフルコン制御
ECUを使ってこんな遊びもできる

最近のクルマはもうコンピューターだらけ

世の中「自動運転」に関するニュースも多く、そうなるとドライバーなど不要!クルマに行き先をインプットして後は寝ていればいい!と考える人も多いと思いますが、実は今でも市販車はそれに結構近いところまで来ています。

昔ながらのエンジン制御を行うコンピューターだけでなく、ATやCVTの制御、パワステの制御、ABSトラクションコントロールの制御、エアコンの制御と何でもコンピューターがやってくれます。

アクセルは当然電子制御スロットル、危険回避の自動ブレーキ、スピンしそうになればスイッチを切っても介入してくるトラクションコントロールスタビリティコントロールです。これで非常時にはクルマが勝手にステアリングを切って回避してくれる自動ステアリングがあれば完璧で、国土交通省が各メーカーへの早期実用化を促しています。

こうなるとドライバーの役割といえば「クルマに命令する」だけで、実際にクルマを操作するのは命令を受けたコンピューターがやっているようなものです。

そのコンピューターも大昔のようにエンジンを制御するECUの基板1枚というわけでは無いようで、社外品メーカーなどはメインECUを交換しても、どこからかフィードバックされてくる信号にカスタムECUがキリキリ舞いしてうまくいかない、など結構苦労しているようです。

一昔前までは結構流行ったROMチューン

そうなる前の割と単純なECU、あちこち電子制御ではあるけども、統合制御ではないのであらぬところから指令が来たりする事も無く、書き換えやセッティングのためのアクセスが容易だった時代には、「ROMチューン」と呼ばれるコンピューターチューニングが流行りました。

とういうより、規制緩和でクルマのチューニング自体が自由になると、さまざまなアフターパーツ、それもエンジンの性能に関わるものの装着にはコンピューターチューンが必須で、それを行わないと最悪の場合エンジンが壊れるわけです。

そこでいろいろなクルマのECUが解析され、さまざまな種類のコンピューターチューニングが開発されたのでした。

一番手軽なサブコンやリミッターカット

コンピューターチューニングで一番手軽なのが、本体には手をつけずに何らかの外部装置を取り付けるパターンです。

ECUを「騙して」スピードリミッターやレブリミッターを作動させなくするリミッターカットなどは基本中の基本で、わりと昔のエンジンをECUで制御し始めた頃からの定番でした。

ECUとエンジンの間に信号を割り込ませる「サブコン」が登場したのはもうちょっと後の話で、サブコン本体にあらかじめセッティングされたデータを、本体の操作で呼び出す事でエンジンセッティングを変える比較的単純なものから、パソコンを接続してサブコンにアクセスするものまでありました。

パソコンの画面でサブコンの操作を行うというのは結構面白いもので、画面上に表示されたエンジンデータのログを見ながら、キーボード操作ひとつで回転を上げたり下げたりできたのです。

電子制御スロットルでも無い限りスロットル操作はできませんでしたが、それで燃調を自分で行い、濃くしたり薄くしたり、車検の時は車検用データを呼び出して通したりと、昔はいろいろやりました。

リスクも難易度も高かったが、効果てきめんのECU書き換え

一方、純正ECUそのものにアクセスを試みる猛者も、ショップは元より個人でもいました。

リミッターカットやサブコンによるエンジン制御に対し、ECUが「あれ?何か指示と違う事をしている気がする」と気づくような制御が入るようになると、ECUそのもののプログラムを書き換えた方が良くなります。

一番手軽な社外ECU交換

細かいセッティングや面倒なハッキングを経ずに、サクっとECUを社外品に交換してしまうのもひとつの手段です。

ECUが変わったとしても他のコンピューターが気にしませんでしたし、社外ECU自体もそのメーカーで入念な開発が行われたものでしたから、想定されたチューニンングの範囲内であれば安心して使う事ができたのです。

ただ、最近ではECU自体が別人になると「あなた誰?何言ってるか意味不明なんだけど?」と、他のコンピューターからクレームがついたり、基本的には純正ECUを下敷きにして開発されているので、解析しきれていない部分から思わぬ動作をしたりと、開発は大変だと聞いています。

赤ん坊から育てるようなフルコン制御

ここまでは純正ECUを生かした形のチューニングでしたが、コンピューターそのものを完全に新規で立ち上げるようなものなのが、フルコン制御です。

実際には新しいコンピューターを組んでイチからOSを作るようなものでは無いのですが、制御そのものをまっさらのイチから始めて、実際にエンジンを動かし、走りながらデータを取って調整してを繰り返すので、コンピューターだけでなくハード面の調整まで入ってきます。

どんなクルマでもこれならコンピューターチューニングできる!という反面、無茶苦茶な手間と時間がかかるために、自分でできるならともかく依頼すると非常に高額です。

普通はレーシングカーやラリーカー、完全自作のクルマなど元から手間暇かかるクルマでしかやらないのですが、たまに「このATしか設定の無い軽自動車を何としてもMT化したい」というだけの理由で、その軽自動車があと2台ほど買えそうな資金をつぎ込んでフルコン制御化する人もいます。

カネにモノを言わせられる立場なら、一番手軽で近道なのは間違いありませんが。

ECUを使ってこんな遊びもできる

ちなみに、コンピューターでエンジンを操作できるという事で、こんな遊びをしちゃう人もいます。

ルノーのF1エンジンでかき鳴らす、文字通りのF1サウンドというかF1ミュージックと言いますか…何とも贅沢ですね。

それでは昔のベネトンルノーF1チームがお届けする、Queen「We Are the Champions」をお聞きください。
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