新型スカイライン クーペ(Q60)に搭載されるエンジン「VR30」の正体とは?

インフィニティ Q60

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日産スカイラインは北米など高級ブランド「インフィニティ」のある国では「インフィニティ・Qシリーズ」として販売されています。2016年1月のデトロイトショーではクーペ版の新型「Q60」が発表されました。新型エンジン「VR30」など、そのスペックが注目されています。


Chapter
インフィニティQ60、日本名「日産スカイラインクーペ」
ライバルはBMW4シリーズ
今回の目玉は新型エンジン「VR30」
M4対抗馬はGT-RかQ60ハイパフォーマンスモデルか?

インフィニティQ60、日本名「日産スカイラインクーペ」

トヨタの高級ブランド「レクサス」のように国内展開が無いことから、日本では今ひとつ馴染みが薄いものの、海外では日産の高級ブランドとして定評があるのが「インフィニティ」です。

近年では、国内でもスカイラインやフーガに日産エンブレムではなく、「インフィニティ」エンブレムをフロントグリルに採用している事から目にする機会はありましたが、かつてはプリメーラなどインフィニティモデルが存在するクルマのエンブレムを交換している人も結構見かけたものです。

そのプリメーラこと「インフィニティG20」の後継が「G35」すなわちV35スカイラインとなって以降、スカイラインは北米を中心にインフィニティの高級スポーティセダン・クーペとして販売されるようになり、かつてのスカイラインとは性格が異なっていきました。

2013年以降はセダン、クーペともに「Qシリーズ」となり、クーペは3.7Lエンジンを搭載した「G37クーペ」から、「Q60」に改名されて今に至ります同時期にセダンは「Q50」と改名していますので、BMWのようにセダンとクーペで名称を変える方式に移ったわけです。

ライバルはBMW4シリーズ

日本では不評だったV35以降のスカイラインクーペですが、インフィニティブランドで販売されていた北米では好評なため、現在でも日米共に販売継続される原動力となっています。

その北米市場でのライバルはBMW4シリーズ(以前の3シリーズクーペ)で、動力性能などで常にライバルを意識していた事から、排気量の小さい廉価版やハイブリッドモデルが設定されていたセダンよりも大排気量、ハイパワーエンジンを搭載するようになりました。

そうした策が成功して販売台数でライバルを引き離してきましたが、今回セダンのQ50より2年ほど遅れてのモデルチェンジとなったものです。

プロトタイプである「Q60コンセプト」は既に2015年1月に同じデトロイトで開催の「北米国際自動車ショー」に出展されていましたが、それから1年を経て満を持しての登場となりました。

今回の目玉は新型エンジン「VR30」

G37クーペ時代を含めると8年以上にわたり生産、販売されたCV36スカイラインクーペベースの旧「Q60」では3.7リッターV6エンジン「VQ37VHR」を搭載していましたが、新「Q60」では新型の3リッターV6ツインターボエンジン「VR30」を搭載してきました。

エンジン型式はDOHCツインターボなので「VR30DETT」とでも呼ぶところですが、現段階ではまだ「VR30」としか呼ばれていません。

排気量を下げてターボ化するとなると流行の「ダウンサイジングターボ」のようにも思えますが、スペック向上は強烈で、「VQ37VHR」の最高出力333馬力、最大トルク37.0kgf・mから「VR30」では400馬力、48.4kgf・mへと一気にパワーアップしてきています。

これによりライバルであるBMW4シリーズ「435i」が搭載する3リッター直6ツインターボの306馬力、40.8kgf・mを突き放し、さらにそのハイパフォーマンスモデル「M4」の431馬力、56.1kgf・mの背中が見えてきました。

なお、同じ「VR」という事でGT-R用の3.8リッターツインターボエンジン「VR38DETT」との近似性が気になるところですが、VR38DETTのボア・ピッチ(内径×行程)は95.5mm×88.4mmであり、VR30の86.0×86.0とは全く異なります。

他のVRH35AやVRH50Aとも異なりますので、どうやらVR30は全くの新開発エンジンのようです。

M4対抗馬はGT-RかQ60ハイパフォーマンスモデルか?

その他の新型「「Q60」の特徴としては、「ダイナミック デジタル サスペンション(DDS)」と称する電子制御サスペンションが新システムとして登場しましたが、ドライバーが好みのセッティングを選択できる電子制御サスは特に目新しいものではありません。

それより注目なのがQ50(スカイラインセダン)に続き、ステアバイワイヤ(電気式操舵装置)の「ダイレクト アダプティブ ステアリング」を搭載してきた事です。

これもQ50同様に4WS機構の「四輪アクティブステア」への言及が無いのでこのまま廃止される可能性も高く、HICAS以来続いてきた日産4WSの系譜はシーマやフーガで継続されるのみとなり、レクサスやBMW、ポルシェなど4WSの採用車種が拡大している今になって途絶えかける事になりました。

さて、ここまで新型「Q60」に注目してきましたが、従来の「Q60」には「M4」のようなハイパフォーマンスモデルは設定されておらず、あえて言えば「GT-R」がそのポジションにありました。

現行のR35GT-Rがモデル末期の現在、BMWのM4やポルシェ911ターボのライバルとして今後登場するのは、新型GT-Rなのか、それともQ60のハイパフォーマンスモデルなのかが気になるところです。
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