KF-VETターボ搭載のキャスト スポーツ…圧倒的な応答性を持つ「7速CVT」の実力とは?

3種類が用意されていた「ダイハツ・キャスト」の3番目のモデル「キャスト・スポーツ」は、7速CVTをはじめとした「走り」のモデルです。
積極的に宣伝されていないとはいえ、「ソニカ」以来の「軽グランツーリスモ」であるキャスト・スポーツの魅力に迫ります。

Chapter
「キャスト」はダイハツの欠けたピースの集合体
それぞれに欠けたピースを当てはめた「キャスト」
10年以上前からのダイハツが取り組む「一人何役」
キャスト・スポーツの最新エンジンとMTが無い理由
MT無しを補って余りある7速CVTの制御
まとめ

「キャスト」はダイハツの欠けたピースの集合体

まず「キャスト」の根本的なコンセプトは、「ミラジーノ」から「ミラココア」に至る軽レトロ調ファミーカーがまず一つです。次に「リーザ」「オプティ」に続き、「ソニカ」で一旦途切れた軽GTスペシャリティカー路線が二つ目になります。

さらに「ミラTR-XX」に始まり、新規格以降も「ミラAVY」や「ミラカスタム」として存続していた軽スポーツハッチバック路線が三つ目です。そして最後に、テリオスキッド一代で途絶えたヘビーデューティー軽SUVと、ネイキッド一代で途絶えたソフト軽SUV路線を統合した四つ目、これらを全て一つの車種でまとめ、廃盤などで欠けていったパズルのピースを集めたのが「キャスト」です。

それぞれに欠けたピースを当てはめた「キャスト」

完成した「キャスト」には、それぞれ一つか二つ、欠けたパズルのピースがある3台のモデルがありました。
「キャスト・スタイル」には「ミラココア」や「ムーヴラテ」のピースを。
「キャスト・アクティバ」には「テリオスキッド」と「ネイキッド」のピースを。
「キャスト・スポーツ」には「ソニカ」や「ミラカスタム」のピースをはめ込んだのです。
そして、はめこまれたピースがそのまま、各モデルの特徴になりました。

10年以上前からのダイハツが取り組む「一人何役」

これに関してはどこのメーカーも同じですが、ダイハツも徹底的なコストダウンと、それで得られた余剰リソースの全てを投じて、高品質化・高機能化を図ってきています。
数多くあったエンジンも新規格以降時と新世代のKFエンジンに世代交代した時、ターボ(KF-DET)とNA(KF-VE)の二種類だけになり、軽トラからコペンまでこの2種類のどちらかになりました。さらに二代目コペン以降は可変バルタイターボの「KF-VET」への入れ替えが進んでいる状態です。

同じようにボディの集約も進んでおり、「コペン」やこの「キャスト」のように、同じ車で仕様の異なるキャラクター違い車を出すようになりました。当然「キャスト・スポーツ」も基本的な姿は一緒でも、他の「アクティバ」や「スタイル」とは全くキャラクターの異なる仕様となっています。

キャスト・スポーツの最新エンジンとMTが無い理由

キャスト スポーツ

カタログでもあまり宣伝されていないのが惜しいところですが、「キャスト・スポーツ」のエンジンは、2代目コペンに搭載されているのと同じ可変バルタイターボ「KF-VET」です。スポーツカー用エンジンという事でチューニングノウハウもそれなりに積み重ね始まっており、今後が実に楽しみなエンジンであります。

燃費と走行性能を両立した良いエンジンなのですが、「キャスト・スポーツ」において惜しいのがMT(マニュアルミッション)の設定が無いところです。ダイハツではMTにアイドリングストップ機能を組み合わせていないのが、その理由になります。

他社ではNAであればMT車にもアイドリングストップを組み合わせていますが、それでもターボ+MT+アイドリングストップという例は無いので、何かよほど相性が悪いのかもしれません。アイドリングストップが無いと燃費がガタ落ちするのは現行の「コペン」で明らかなので、ダイハツとしても二の足を踏んでいるようです。
12月にスズキが発売する新型アルトワークスのMT車はどうなのか、気になりますね。

MT無しを補って余りある7速CVTの制御

MTが無いとはいえ、「キャスト・スポーツ」には熟成の進んだパドルシフト付き7速CVTがあります。2006年デビューのソニカで「7速CVT」が登場、スポーツ走行時の操作性は今ひとつでしたが応答性は最高で、素早い上にクラッチが切れる空走時間も無い事から、「これならMTはいらないかもしれない」と思えたほどです。

しかもシフトダウンの際に瞬間的に回転を上げ、スムースな変速を行う「ブリッピング制御」を組み込んでいますが、MT車でスポーツ走行を行う時と同様の制御を自動で行ってくれるので、楽なだけでなく「速さ」にも直結します。元々持っている素早い応答性に加え、パドルシフトで操作性も改善された事で、「オープンスポーツのコペン」に対し、「箱スポーツのキャスト・スポーツ」として、高い評価を得られる事は間違い無いでしょう。

まとめ

せっかくダイハツもスポーツモデルを投入したので、「もっと宣伝していれば!」と思うポイントを推してみました。

間もなく発売される新型アルトワークスとは違い、「ソニカ」後継の高速長距離走行に適したGTモデルなので、誤解を招かないようにという配慮なのかもしれませんが、カタログやHPを見ていると少し寂しい感じもします。

とはいえ、「キャスト・スポーツ」が、販売台数こそ少なかったものの、今でも根強いファンを持ち中古車価格も高めに推移している「ソニカ」に近いクオリティを持った軽GTである事は間違いありません。事情により「コペン」をチョイスできないけど、スポーツ走行は通勤快速的な用途を考えている方には、本当にオススメです!