どうなる?石油の未来とガソリン車の行方【2025版】

ホンダ ヴェゼル
ガソリン車の未来や今後のエネルギー事情は、普段車を運転する私たちにとって身近で気になる話題ですよね。本記事では、2025年の視点から石油の未来とガソリン車の行方について一緒に考えてみましょう。
Chapter
石油は本当に減っている?2025年の最新資源状況
次世代自動車の普及とガソリン車の未来像
エコカーは本当に環境に優しいのか?
ガソリン車はいつまで乗れる?今後の展望と代替燃料の可能性

石油は本当に減っている?2025年の最新資源状況

石油は有限資源であり、「あと○○年で枯渇する」といった話を耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし実際には、確認されている石油埋蔵量(可採埋蔵量)は年々増加傾向にあります。例えば2020年末時点の世界の確認埋蔵量は約1.7兆バレルで、現在の生産ペースでも約53.5年分に相当すると試算されています。これは1970年代に石油危機で枯渇が心配された頃から比べても増えており、新たな油田発見や採掘技術の進歩で可採年数が延びているためです。また、過去50年で世界の原油生産量は約1.6倍に拡大しており、今後もしばらくは増産傾向が続く見通です。

つまり、「石油がすぐになくなる」という心配は2025年現在、ひとまず避けられています。ただし地球温暖化への対策が求められる中、将来的には資源の枯渇よりも環境問題への対応が石油利用の行方を左右するでしょう。

次世代自動車の普及とガソリン車の未来像

ガソリンなど石油燃料への依存を減らす動きとして、電動化をはじめとする次世代自動車の普及が世界的に進められています。日本では特にハイブリッド車(HV)の普及が著しく、2023年度には国内新車販売の約半数(50%超)をHVが占めるまでになりました。初代プリウス発売(1997年)から四半世紀で、HVは燃費の良さと手頃な価格から主流の選択肢となったのです。

一方、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)は販売が伸びつつあるものの、現時点では日本国内では新車の数%程度にとどまっています。これは充電インフラの整備状況や車両価格などの要因もあり、欧州や中国と比べてゆるやかな普及ペースです。しかし世界全体ではEV販売台数が年々増加しており、日本車メーカー各社も電動車への開発投資を加速させています。

こうした中、日本政府は2035年までに新車販売をすべて電動車(ハイブリッド車含む)に切り替えるという目標を掲げました。これはガソリンエンジンのみの新車販売を事実上終了させる方針で、温室効果ガス排出量実質ゼロ(2050年カーボンニュートラル)の実現を見据えた政策です。世界の動きとして、欧州連合(EU)は2035年以降に販売される新車の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする規制に合意しました。当初はエンジン車の販売が全面的に禁止されると見られていましたが、最終的にはカーボンニュートラルな合成燃料(e-fuel)のみを使用する場合に限り、エンジン搭載車の新車販売を認める例外規定が設けられました。  

ただし日本の場合、新車販売の規制であって既存のガソリン車に乗れなくなるわけではありません。2035年以降も中古車としてガソリン車を購入したり、今持っている愛車に乗り続けたりすることは可能です。このため一般ドライバーの皆さんが直ちにガソリン車を手放す必要はありませんが、新車市場は今後10年ほどで大きく様変わりしていくと予想されます。

エコカーは本当に環境に優しいのか?

次世代自動車が注目される背景には「脱石油」の環境意識がありますが、それらはいわゆるエコカーとして本当に環境に優しいのでしょうか。


ハイブリッド車(HV)はガソリン車より燃費が良く、走行時のCO2排出量を減らせます。燃費向上に比例してCO2排出も削減できるため、エンジンだけの車より環境負荷が低くお財布にも優しいでしょう。

電気自動車(EV)は走行中に排出ガスゼロで「ゼロエミッション車」とも呼ばれます。しかしEVも充電に使う電力エネルギーの発電段階で間接的にCO2を排出しています。特に日本では発電電力量の約7割を火力発電(化石燃料)が占めているのが現状であり、電力供給源によってEVの環境性能は大きく左右されます。

また燃料電池車(FCV)についても、走行時にCO2は出さないものの、その燃料となる水素を製造する過程で化石エネルギーを使う場合がほとんどです。この点から、製造から廃棄まで含めたライフサイクル全体でのCO2排出量が「未知数」であるという見方はできません。実際には自動車メーカーなどによって詳細な分析が行われており、例えばトヨタのFCV「MIRAI」のライフサイクルアセスメント(LCA)レポートによれば、水素の製造方法によってCO2排出量は大きく変動します。天然ガスから作る水素(グレー水素)を使用した場合のCO2排出量は同クラスのハイブリッド車と同等か、わずかに上回る一方、再生可能エネルギー由来の電力で作る水素(グリーン水素)を使用すれば、排出量を大幅に削減できることが示されています。「エコカー」と呼ばれる車種にもこのような課題が残っており、本当の意味で環境に優しいかどうかは一概に判断できません。

ガソリン車はいつまで乗れる?今後の展望と代替燃料の可能性

ガソリン車(内燃機関車)はこれまで自動車の主役であり続け、世界全体で見れば依然として新車販売の大半を占めています。しかし、先ほど述べたように、各国で環境規制を背景とした電動化シフトが進んでいるのも事実です。


今後は、燃費規制や環境対応の観点からガソリンエンジンも一層の効率向上が求められます。同時に、自動車メーカー各社は代替燃料の研究開発にも力を入れています。前述の合成燃料(e-fuel)は、既存のエンジン車やインフラを活用しつつカーボンニュートラルを実現できる可能性を秘めていますが、現状では製造コストが1リットルあたり300円〜700円と非常に高価であるなど、実用化には大きな課題も残っています。  

総じて、ガソリン車の行方は「すぐになくなるものではないが、確実にその姿を変えつつある」というのが2025年時点での展望です。日本のドライバーにとっては、当面はハイブリッド車が使い勝手や経済性で有力な選択肢であり続けるでしょう。そして今後10年~15年で、より多様な電動車の選択肢が当たり前になっていくと考えられます。


最後に、「石油はまだ枯渇しないのに、なぜクルマの世界は変わるのか?」という疑問についてです。シェールオイルなどの開発により、石油の確認埋蔵量は減少していません。しかし、現在のエネルギー転換は資源の枯渇懸念が主な理由ではありません。気候変動対策という世界的な政策目標や、再生可能エネルギーバッテリー技術のコスト競争力向上といった、より大きな構造変化によって駆動されています。時代の流れを見守りつつ、ご自身のライフスタイルに合った次の一台を選んでいくことが大切です。
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