なぜ旧車は復刻されないの?人気の旧車もリメイクされない理由
更新日:2024.09.09
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ヒストリックカーの人気が年々高まっているようです。それは現代のクルマに満足していない人が、多く存在しているからなのでしょうか…。では旧車のリバイバルを、メーカーは検討しないのでしょうか?
現在人気の高まるヒストリックカー
国産車、欧州車問わずヒストリックカーの人気が高まっているといえます。都市部、地方でのヒストリックカーイベントも、愛車を展示するものから実際に走らせて腕を競うものまで、さまざまな形で楽しむことができます。
こうしたエンスーと言われる人々が、そうしたヒストリックカーにお金を投じている状況に、メーカーサイドはどういった思いでいるのでしょうか。考えてしまうところですよね。
もちろん、フェアレディZの現行モデルは存在しますし、ロングノーズショートデッキ、FR駆動といったフェアレディZのアイデンティティーは守られています。
また人気漫画やアニメの後押しもあって登場したトヨタ86の事例もあります。もちろんそれらは現代の車として、ふさわしい性能を与えられていますし、現在の状況においてスポーツカー好きには魅力的な選択肢となっています。
しかしそれでは満足できない、という方も多いのが事実でしょう…。
こうしたエンスーと言われる人々が、そうしたヒストリックカーにお金を投じている状況に、メーカーサイドはどういった思いでいるのでしょうか。考えてしまうところですよね。
もちろん、フェアレディZの現行モデルは存在しますし、ロングノーズショートデッキ、FR駆動といったフェアレディZのアイデンティティーは守られています。
また人気漫画やアニメの後押しもあって登場したトヨタ86の事例もあります。もちろんそれらは現代の車として、ふさわしい性能を与えられていますし、現在の状況においてスポーツカー好きには魅力的な選択肢となっています。
しかしそれでは満足できない、という方も多いのが事実でしょう…。
ヒストリックカーを愛する人に訴求できるクルマづくりとは…
ヒストリックカーを愛する理由はさまざまです。その方のノスタルジーもあるでしょうし、ワイヤーでつながったアクセル、キャブレター、電子制御のないアナログな感覚、またマフラーから排出されるオイルの臭いがいい、という方もいるでしょう。
こうした価値観と、常に先進・先端を目指すメーカーは、それぞれ相容れないものがある、といえるわけです。では過去のクルマをそのままリバイバル、ということはできないのでしょうか。
こうした価値観と、常に先進・先端を目指すメーカーは、それぞれ相容れないものがある、といえるわけです。では過去のクルマをそのままリバイバル、ということはできないのでしょうか。
旧車を復刻する事はできるのか?
20年ほど前でしょうか、筆者はいすゞのクルマに乗っていたのですが、ディーラーのメカニックから「117クーペの再発の話があったのだけど、消えてしまった」ということを聞きました。
それが、1970年代の117クーペをそのまま再発しようとする動きだったのか、それとも117の後継(ピアッツァではないモデル)を示唆していたのか、今となっては判断しにくいところです。
しかしそれだけ再販を望む声が、多く届いていたのは間違いないのでしょう。
それが、1970年代の117クーペをそのまま再発しようとする動きだったのか、それとも117の後継(ピアッツァではないモデル)を示唆していたのか、今となっては判断しにくいところです。
しかしそれだけ再販を望む声が、多く届いていたのは間違いないのでしょう。
2輪の世界では、旧車を再販した事例があります。ご存じの方も多い、スズキ カタナです。
ヨーロッパ向けのGSX1100Sが1981年、国内向けのGSX750Sが1982年のそれぞれ販売開始されたモデルで、国内向けは1984年にデビューした3型よりスタイリングが変更、80年代後半に絶版となりました。
その一方で、初期のスタイルを守り続けたGSX1100Sは、ヨーロッパで継続販売されており、逆輸入車が高値で取り引きされていました。
そんな市場のニーズに応える形で、スズキは1990年に国内向けとして逆輸入車を投入、さらに二輪車の排気量上限制限が撤廃された1994年からは、同型のモデルが国内仕様として販売されるに至りました。
足回りやブレーキ等、リファインを受けたものの、750ccモデルとはいえ一度変更されたスタリングを戻して、ほとんど初期のスタイルで再販された稀有なモデルです。また中型クラスの250cc(1991年)と400cc(1992年)も、初期を踏襲したスタイルで新型が投入されています。
ヨーロッパ向けのGSX1100Sが1981年、国内向けのGSX750Sが1982年のそれぞれ販売開始されたモデルで、国内向けは1984年にデビューした3型よりスタイリングが変更、80年代後半に絶版となりました。
その一方で、初期のスタイルを守り続けたGSX1100Sは、ヨーロッパで継続販売されており、逆輸入車が高値で取り引きされていました。
そんな市場のニーズに応える形で、スズキは1990年に国内向けとして逆輸入車を投入、さらに二輪車の排気量上限制限が撤廃された1994年からは、同型のモデルが国内仕様として販売されるに至りました。
足回りやブレーキ等、リファインを受けたものの、750ccモデルとはいえ一度変更されたスタリングを戻して、ほとんど初期のスタイルで再販された稀有なモデルです。また中型クラスの250cc(1991年)と400cc(1992年)も、初期を踏襲したスタイルで新型が投入されています。
立ちはだかる現代のレギュレーション
カタナのようなリバイバルモデルが乗用車で出るケースは極めて稀といえます。
なぜならば、年々厳しくなる「衝突安全性」「排気ガス規制」といった要件に対して、旧車をそのままリバイバルしても、まずクリアすることができないからです。
また、かつてと同じ素材、作りをしてしまうと、金属パーツが多くコストが上がるなどのネガも考えられます。
なにより、工場の設備が違うため、旧型車1台を作るためにとんでもないお金が掛かってしまうことになり、販売する価格も想像を絶するものになってしまうでしょう。
なぜならば、年々厳しくなる「衝突安全性」「排気ガス規制」といった要件に対して、旧車をそのままリバイバルしても、まずクリアすることができないからです。
また、かつてと同じ素材、作りをしてしまうと、金属パーツが多くコストが上がるなどのネガも考えられます。
なにより、工場の設備が違うため、旧型車1台を作るためにとんでもないお金が掛かってしまうことになり、販売する価格も想像を絶するものになってしまうでしょう。
メーカーにもユーザーの声は届いている…
しかしながら、こうしたユーザーの嗜好というのは間違いなく、メーカーにも届いていると考えます。たとえば東京モーターショー2015でジャパンプレミアとして登場したルノートゥインゴ。
その佇まいは、かつてのルノー5を感じさせる要素がありましたし、リアエンジン・リアドライブというメカニズムは、ルノー5ターボを想起させます。実際にルノー5を意識したデザインともなっていたようですし、現代と過去のレガシーを上手く結びつけるものを感じさせてくれました。
その佇まいは、かつてのルノー5を感じさせる要素がありましたし、リアエンジン・リアドライブというメカニズムは、ルノー5ターボを想起させます。実際にルノー5を意識したデザインともなっていたようですし、現代と過去のレガシーを上手く結びつけるものを感じさせてくれました。
また、スズキ イグニスは、1970年台の主力車種だったフロンテ/セルボを彷彿させるモチーフがそこかしこに散りばめられていました。
さらに前出の日産IDxコンセプトなどは、当時のSCCAで走っていたレーシングカー的なカラーリングに、逆スラントっぽいフロントマスクなど、もうまんま510ブルーバードでした。
メーカーサイドも現代のクルマ作りに加え、そうした過去へのオマージュも漂わせ、若い世代には新鮮に、またある世代には懐かしさを覚えさせる、そんなデザインコンセプトを盛り込む努力をしているのは間違いありませんね。
さらに前出の日産IDxコンセプトなどは、当時のSCCAで走っていたレーシングカー的なカラーリングに、逆スラントっぽいフロントマスクなど、もうまんま510ブルーバードでした。
メーカーサイドも現代のクルマ作りに加え、そうした過去へのオマージュも漂わせ、若い世代には新鮮に、またある世代には懐かしさを覚えさせる、そんなデザインコンセプトを盛り込む努力をしているのは間違いありませんね。