トヨタ「ランドクルーザー(300シリーズ)」は新規エンジンを採用!エンジンやミッション、パワートレーン等のスペックを解説【プロ徹底解説】

トヨタ ランドクルーザー

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トヨタで最も古くから続くモデルであり、SUVのトップモデルとなるのが「ランドクルーザー(300シリーズ)」です。2021年に登場した最新の現行モデル。その車の心臓となるパワートレインと、骨格となるプラットフォームの内容を解説します。

 文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
2つのエンジンと1つのトランスミッション
3.5リッターV6ツインターボ・ガソリン・エンジン
3.3リッターV6ツインターボ・ディーゼル・エンジン
新しくなったGA-Fプラットフォーム
新開発されたサスペンション
パワーステアリング等の進化
GR SPORT専用のサスペンション・システム

2つのエンジンと1つのトランスミッション

「ランドクルーザー(300シリーズ)」に用意されたパワートレインは、2つのエンジンと1つのトランスミッションです。

エンジンは、ガソリンとディーゼルの2種類でどちらもV6ツインターボ。ガソリン・エンジンは、新開発された3.5リッターV6ツインターボ。そしてディーゼルは、改良された3.3リッターV6ツインターボです。
トランスミッションはDirect Shihy-10AT。10速の、いわゆるトルコン式AT。10速もの多段化により、各ギヤ比の幅を小さくしつつも、全体としてのギヤレシオ拡大を実現。発進時をのぞく、ほぼ全域でのロックアップを実現したことで、ダイレクト感もアップ。リズミカルで小気味のよい変速と、発進加速向上、高速燃費向上などを同時に果たします。

また、駆動方式は、すべてが4WDとなります。
また、新型「ランドクルーザー(300シリーズ)」の採用にあたり、オイルパン形状とオイルストレナー吸い口位置を最適化。45度の登坂性能実現に貢献しています。さらに、オイルシールの防水/防塵性能を強化し、電装部品の防水処理を施したことで、水位700mmの渡河性能実現に貢献しています。

3.5リッターV6ツインターボ・ガソリン・エンジン

新開発された3.5リッターV6ツインターボ・ガソリン・エンジン。その型式は「V35A-FTS」。マルチホール直噴インジェクター付D-4STの採用、ロングストローク化、バルブ挟角最適化による高速燃焼を特徴とします。最高出力305kW(415馬力)/5200rpm、最大トルク650Nm/2000~3600rpmを発揮。燃費性能は、上位グレードで7.9km/l(WLTCモード)、エントリーグレードの「AX」「GX」で8.0km/l(WLTCモード)となっています。

3.3リッターV6ツインターボ・ディーゼル・エンジン

3.3リッターV6ツインターボ・ディーゼル・エンジンの型式は「F33A-FTV」。従来型から、ピストン燃焼室、吸気ポート、インジェクターの最適化という改良が施されています。可変採用されたノズル付き2ウェイツインターボにより、走行状況によってターボをシングルとツインに切り替え、低速域から高速域までレスポンス良く、それでいて伸びやかな加速を実現します。

最高出力227kW(309馬力)/4000rpm、最大トルク700Nm/1600~2600rpmを発揮。燃費性能は9.7km/l(WLTCモード)となっています。

新しくなったGA-Fプラットフォーム

「ランドクルーザー(300シリーズ)」の走りを支えるのが、新しく採用されたGA-Fプラットフォームです。これは伝統のラダーフレームを刷新したもので、最新の溶接技術を活用するなどによって、従来型よりも剛性を20%アップさせつつ、軽量化も実現。さらにボディについては高張力鋼板の拡大採用や、ボンネット/ルーフ/すべてのドアパネルをアルミ化。これらによって、車両重量は先代よりも約200kgも軽くなっています。
また、エンジン+トランスミッションのパワートレインの搭載位置を、車両後方に70mm後退させ、さらに下方に28mm移動。前後重量配分の最適化と低重心化を果たしました。

新開発されたサスペンション

プラットフォームの刷新にあわせて、サスペンションも新たに開発されています。フロントにハイマウント・ダブルウィッシュボーン式、リヤにトレーリングリンク車軸式を採用。リヤのサスペンションは、ショックアブソーバーの位置を最適化することで、乗り心地と操縦安定性をアップ。サスペンションアームの配置変更により、ブレーキ時の姿勢が安定し、悪路走行時のタイヤの浮きづらさ(ホイールアーティキュレーション)も向上しています。

また、ショックアブソーバーには、減衰力を4輪ばらばらに変更できるAVS/NAVI-AI-AVSが採用されています。

パワーステアリング等の進化

パワーステアリングは、耐久性・信頼性を重視して、従来と同じ油圧式を継承。ただし、電動式の操舵アクチュエーターを追加。これにより、低速走行時の取り回しがよくなり、悪路走行時のキックバックも小さくなっています。

ブレーキには、電子制御ブレーキシステムを採用。ブレーキペダルの操作をセンサーで検出し、油圧ブレーキのブレーキ力を最適化し、よりリニアなブレーキ・フィーリングを実現します。

最上位の「ZX」グレードにはトルセンLSDが採用されています。

GR SPORT専用のサスペンション・システム

スポーティグレードとなる「GR SPORT」にはE-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)が世界初採用されました。

これは電子制御によってスタビライザーの効き目を変化させることができるもの。舗装路での走行安定性と、悪路での走破性という両極端の性能を求められる状況にも対応するというシステムです。

また、他グレードではリヤだけの電動デフロック機能を、「GR SPORT」ではフロントにも同機能を登載。より優れた悪路走破性を備えます。
新型「ランドクルーザー(300シリーズ)」の走りを支えるのが、パワートレインとプラットフォームです。2つあるエンジンのうち、ひとつは新開発され、もうひとつも大きく改良されていました。そしてプラットフォームも新開発されたもの。新型「ランドクルーザー(300シリーズ)」には、トヨタの最新技術を結集したパワートレインとプラットフォームが採用されていたのです。
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