なぜ日本車の内装は安っぽいと言われるのか?【2025年最新事情】
更新日:2025.10.29
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日本車は世界的に信頼性や性能で高い評価を受けています。しかし一方で、日本車の内装は安っぽいという声を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。実際、海外メーカーと比べて内装デザインや質感で遅れをとっていると言われることがあります。本記事では、その理由を素材・デザイン・コストの観点から掘り下げ、具体例や豆知識を交えて解説します。さらに2025年時点での最新動向や、今後の日本車インテリアの展望にも触れていきます。
日本車の内装が「安っぽい」と言われる主な理由
コストダウンと素材選びの問題
日本車の内装がチープに感じられる大きな理由の一つが、コストダウンの徹底にあります。日本の自動車メーカーは機能や安全性を維持しつつ価格を抑えるため、内装には低コスト素材を多用しがちです。
特に硬質プラスチック(ハードプラ)の多用は代表的で、ダッシュボードやドアパネルに硬い樹脂素材が使われていることが「安っぽい」という評価につながっています。
また、コスト削減だけでなく環境対応も素材選択に影響しています。最近ではトヨタをはじめ各社がエコプラスチック(植物由来の樹脂)を内装材に採用するケースが増えました。
その結果、メッキ調の加飾パーツや木目調パネルが減少し、表面のツヤや質感が落ち着いたものになる傾向があります。これはリサイクル性向上には寄与する一方で、見た目の高級感が削がれて「チープ」に映ってしまう要因にもなっています。
特に硬質プラスチック(ハードプラ)の多用は代表的で、ダッシュボードやドアパネルに硬い樹脂素材が使われていることが「安っぽい」という評価につながっています。
また、コスト削減だけでなく環境対応も素材選択に影響しています。最近ではトヨタをはじめ各社がエコプラスチック(植物由来の樹脂)を内装材に採用するケースが増えました。
その結果、メッキ調の加飾パーツや木目調パネルが減少し、表面のツヤや質感が落ち着いたものになる傾向があります。これはリサイクル性向上には寄与する一方で、見た目の高級感が削がれて「チープ」に映ってしまう要因にもなっています。
デザイン哲学とユーザーの感性の違い
デザイン哲学の違いも、日本車の内装が地味に見られる理由です。日本車は伝統的に「実用性とシンプルさ」を重視しており、運転のしやすさや機能性を優先したインテリアづくりがなされています。
例えば、操作ボタンの配置や視界の良さなど、人間工学に基づいた“使いやすさ”を重視するあまり、装飾やデザイン上の華やかさが控えめになりがちです。結果として、「地味だけど実用的」な内装になり、ヨーロッパ車のようなぱっと目を引くおしゃれさに欠けると感じる人もいるでしょう。
実際、海外メーカーが上質な革や木材トリム、間接照明などでインテリアに高級感を演出するのに対し、日本車は落ち着いた色調とプラスチック中心の質実剛健な仕上がりが多い傾向です。
一方で、日本のメーカーにセンスが無いわけでは決してありません。最近のレクサス車などではエアコンの吹き出し口ひとつとっても特徴的なデザインが見られますし、日本車も独自の美意識を持って改良を重ねています。
ただ、日本のユーザーは内装デザインよりも機能や燃費、価格に価値を置く傾向が強く、メーカーもそうしたニーズに合わせてきた歴史があります。その結果、「デザインで驚かせる」欧州車に対し、「使い勝手を重視する」日本車という図式が生まれ、内装の評価に差が出ている面もあるのです。
例えば、操作ボタンの配置や視界の良さなど、人間工学に基づいた“使いやすさ”を重視するあまり、装飾やデザイン上の華やかさが控えめになりがちです。結果として、「地味だけど実用的」な内装になり、ヨーロッパ車のようなぱっと目を引くおしゃれさに欠けると感じる人もいるでしょう。
実際、海外メーカーが上質な革や木材トリム、間接照明などでインテリアに高級感を演出するのに対し、日本車は落ち着いた色調とプラスチック中心の質実剛健な仕上がりが多い傾向です。
一方で、日本のメーカーにセンスが無いわけでは決してありません。最近のレクサス車などではエアコンの吹き出し口ひとつとっても特徴的なデザインが見られますし、日本車も独自の美意識を持って改良を重ねています。
ただ、日本のユーザーは内装デザインよりも機能や燃費、価格に価値を置く傾向が強く、メーカーもそうしたニーズに合わせてきた歴史があります。その結果、「デザインで驚かせる」欧州車に対し、「使い勝手を重視する」日本車という図式が生まれ、内装の評価に差が出ている面もあるのです。
製造コストと価格帯のバランス
日本車は価格帯ごとに明確なコストバランス戦略をとっています。限られた予算内で最大の価値を提供するため、どうしても内外装のどこかでコスト配分のメリハリを付ける必要があります。
多くの場合、外観(エクステリア)やパワートレイン、安全装備など「目立つ部分」に予算を割き、ユーザーに直接触れる内装部分は後回しになりがちです。外から見えるデザインや最新のハイブリッド技術には投資する一方、車内インテリアは機能さえ満たせば十分と考えられてきた背景があります。
例えば、高級車ブランドのトヨタ・クラウンですら、最新モデルでは内装にハードプラが増えプラスチック素材の多用が指摘されています。ドアパネルやセンターコンソール周りに硬質プラスチックを使った結果、触れたときの質感が以前のモデルと大きく異なり、高級感が薄れたと感じる人がいます。
従来型クラウンはウッドパネルや金属調加飾で視覚・触覚的にリッチな演出をしていただけに、この違いは顕著です。価格帯据え置きで最新技術や大型ディスプレイを搭載した裏には、こうした内装コストの削減努力があるわけです。
多くの場合、外観(エクステリア)やパワートレイン、安全装備など「目立つ部分」に予算を割き、ユーザーに直接触れる内装部分は後回しになりがちです。外から見えるデザインや最新のハイブリッド技術には投資する一方、車内インテリアは機能さえ満たせば十分と考えられてきた背景があります。
例えば、高級車ブランドのトヨタ・クラウンですら、最新モデルでは内装にハードプラが増えプラスチック素材の多用が指摘されています。ドアパネルやセンターコンソール周りに硬質プラスチックを使った結果、触れたときの質感が以前のモデルと大きく異なり、高級感が薄れたと感じる人がいます。
従来型クラウンはウッドパネルや金属調加飾で視覚・触覚的にリッチな演出をしていただけに、この違いは顕著です。価格帯据え置きで最新技術や大型ディスプレイを搭載した裏には、こうした内装コストの削減努力があるわけです。
外国メーカーの内装との比較:何が違うのか?
素材と仕上げの違い
欧州車の多くはソフトパッド素材や本革、木目パネル、メタル加飾などを惜しみなく使用し、高級感を演出します。例えばBMWやアウディはステッチ入りの本革シートやアルミニウム装飾を用いており、手に触れる部分の質感にこだわりがあります。
一方、日本車は同じ価格帯でも布シートや合成皮革が中心で、樹脂パーツの質感もシンプルです。高級車ブランドのレクサスでさえ、「触れる部分の素材感ではマツダのCX-60より劣る」という声もあるほどで、この点において欧州勢が一日の長があります。
一方、日本車は同じ価格帯でも布シートや合成皮革が中心で、樹脂パーツの質感もシンプルです。高級車ブランドのレクサスでさえ、「触れる部分の素材感ではマツダのCX-60より劣る」という声もあるほどで、この点において欧州勢が一日の長があります。
デザイン哲学の違い
ヨーロッパ車のインテリアは「見た目の美しさ」や「新しさ」を重視する傾向があります。イタリア車はファッション業界から着想を得た華やかなデザイン、ドイツ車は精巧で堅牢かつ上質なデザインなど、各社が強い個性と美的感覚を打ち出しています。
それに対し日本車は前述の通り実用性重視で、デザインは控えめ・保守的になりがちです。「シンプルで扱いやすい」反面「地味でワクワクしない」と映ることもあり、ここが評価の分かれ目になっています。
それに対し日本車は前述の通り実用性重視で、デザインは控えめ・保守的になりがちです。「シンプルで扱いやすい」反面「地味でワクワクしない」と映ることもあり、ここが評価の分かれ目になっています。
ユーザー嗜好の違い
欧州では車の内装はステータスや自己表現の一部と捉えられる傾向があります。「インテリアが快適で魅力的であること」が購買決定にも大きく影響するため、メーカーも内装品質に力を入れます。
一方、日本では「車は移動手段」と割り切る向きも強く、「内装よりリセールバリューや燃費」といった実利面を重視する購買者も少なくありません。このユーザー側の意識差も、各国メーカーの内装づくりに表れていると言えます。
一方、日本では「車は移動手段」と割り切る向きも強く、「内装よりリセールバリューや燃費」といった実利面を重視する購買者も少なくありません。このユーザー側の意識差も、各国メーカーの内装づくりに表れていると言えます。
こうした違いから、同じ価格帯でも日本車のインテリアは海外車に比べて質感で見劣りすると評価されることがあります。しかし近年は日本車も海外市場で戦う中で、この差を埋める努力を加速させています。
モデル別に見る日本車内装の進化例
トヨタ・クラウン:高級セダンですら指摘される質感
「いつかはクラウン」と謳われたトヨタの高級車クラウンでさえ、最新世代では内装が安っぽいと批判される場面がありました。
2022年登場の現行クラウン(クロスオーバーSUVタイプ)は、従来のセダン型クラウンに比べデザインコンセプトを大転換しています。重厚で落ち着いた高級感から、シンプルでモダンなスポーティ路線へ舵を切った結果、従来ファンから「クラウンらしさがない」「高級感が足りない」と感じられたのです。
特に指摘が多いのが素材面の変化です。従来は至る所に本木目パネルや本革が使われ、「役員車」に相応しい品格を湛えていました。対する新型ではドア内張やコンソールにプラスチック素材を増やし(軽量化とコスト面の理由と推測されますが)、触れたときの質感が明らかにチープになりました。
また標準グレードのシート表皮に合成皮革を用いた点も議論を呼び、「クラウンなのに合皮?」と不満を漏らすユーザーもいました。上位グレードでは本革シートが奢られるものの、グレード間の質感ギャップが大きく、高級車としての一貫性を欠いた印象を与えてしまったようです。
もっとも、新型クラウンの内装がすべて悪いわけではありません。シンプルで機能的なコクピットデザインや先進的なデジタルインターフェースは「時代に合っている」という評価もあります。
物理ボタンを減らしタッチパネル化した操作系は賛否ありますが、高級車に求められる直感的なユーザーエクスペリエンスを模索した結果とも言えます。クラウンの事例は、日本車メーカーが伝統とモダンデザインの狭間で試行錯誤している象徴と言えるでしょう。
2022年登場の現行クラウン(クロスオーバーSUVタイプ)は、従来のセダン型クラウンに比べデザインコンセプトを大転換しています。重厚で落ち着いた高級感から、シンプルでモダンなスポーティ路線へ舵を切った結果、従来ファンから「クラウンらしさがない」「高級感が足りない」と感じられたのです。
特に指摘が多いのが素材面の変化です。従来は至る所に本木目パネルや本革が使われ、「役員車」に相応しい品格を湛えていました。対する新型ではドア内張やコンソールにプラスチック素材を増やし(軽量化とコスト面の理由と推測されますが)、触れたときの質感が明らかにチープになりました。
また標準グレードのシート表皮に合成皮革を用いた点も議論を呼び、「クラウンなのに合皮?」と不満を漏らすユーザーもいました。上位グレードでは本革シートが奢られるものの、グレード間の質感ギャップが大きく、高級車としての一貫性を欠いた印象を与えてしまったようです。
もっとも、新型クラウンの内装がすべて悪いわけではありません。シンプルで機能的なコクピットデザインや先進的なデジタルインターフェースは「時代に合っている」という評価もあります。
物理ボタンを減らしタッチパネル化した操作系は賛否ありますが、高級車に求められる直感的なユーザーエクスペリエンスを模索した結果とも言えます。クラウンの事例は、日本車メーカーが伝統とモダンデザインの狭間で試行錯誤している象徴と言えるでしょう。
ホンダ・ヴェゼル:コンパクトSUVに見る割り切り
ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル(海外名HR-V)」もまた、「内装がチープ」と言われることがあるモデルです。現行ヴェゼル(2代目以降)は水平基調でシンプルな内装デザインが特徴で、一見スタイリッシュです。
しかしその反面、ダッシュボードやドアの一部に硬質プラスチックが多用されており、「触ると安っぽい」「チープだ」との評価につながりました。実際のオーナーからも「価格の割に内装の質感が今ひとつ」との声が聞かれます。
とはいえヴェゼルの場合、これはある意味で割り切りの産物でもあります。クーペのように流麗な外観デザインや最新安全装備を与えつつ、車両価格は抑えるという難題を両立するため、内装の一部では高価な素材を避けた面があるのです。
要するにユーザーが手に触れる部分よりも、見た目のデザインや実用性にコストを振った結果と言えます。それでも「総合的に見れば満足度は高い」と感じるオーナーも多く、内装の質感だけが車の価値を決めるわけではない好例でしょう。
ヴェゼルは大衆向けSUVとしてデザイン・走行性能・燃費・価格を高次元でバランスさせたモデルであり、突出した高級素材こそ使わないものの、そのぶん手頃な価格と実用性で支持を集めています。
しかしその反面、ダッシュボードやドアの一部に硬質プラスチックが多用されており、「触ると安っぽい」「チープだ」との評価につながりました。実際のオーナーからも「価格の割に内装の質感が今ひとつ」との声が聞かれます。
とはいえヴェゼルの場合、これはある意味で割り切りの産物でもあります。クーペのように流麗な外観デザインや最新安全装備を与えつつ、車両価格は抑えるという難題を両立するため、内装の一部では高価な素材を避けた面があるのです。
要するにユーザーが手に触れる部分よりも、見た目のデザインや実用性にコストを振った結果と言えます。それでも「総合的に見れば満足度は高い」と感じるオーナーも多く、内装の質感だけが車の価値を決めるわけではない好例でしょう。
ヴェゼルは大衆向けSUVとしてデザイン・走行性能・燃費・価格を高次元でバランスさせたモデルであり、突出した高級素材こそ使わないものの、そのぶん手頃な価格と実用性で支持を集めています。
豆知識:内装素材に関する意外な歴史
高級車の代名詞といえば本革シートですが、実は歴史的に見ると「革より布の方が高級」だった時代がありました。馬車の時代、御者(馬を操る人)の座席には耐久性重視で本革が使われましたが、肝心の客席シートは布製が定番。当時は布の方が高級な素材だったのです。
やがて自動車の時代になり、本革の希少性や風合いが珍重され逆転現象が起きましたが、現在でも高級車の一部にあえて上質ファブリック内装を採用する例があります。例えばメルセデス・ベンツがかつて設定していた合成皮革/布シートは、本革と見紛う質感とメンテナンス性で名車の逸話として語り継がれています。内装素材の世界も奥が深いですね。
やがて自動車の時代になり、本革の希少性や風合いが珍重され逆転現象が起きましたが、現在でも高級車の一部にあえて上質ファブリック内装を採用する例があります。例えばメルセデス・ベンツがかつて設定していた合成皮革/布シートは、本革と見紛う質感とメンテナンス性で名車の逸話として語り継がれています。内装素材の世界も奥が深いですね。
日本車インテリアの未来展望:これからどう変わる?
2025年現在、日本車各社も内装面での巻き返しを図りつつあります。今後のキーワードは質感向上と独自性の追求でしょう。
まず質感向上の面では、マツダを筆頭に国産各メーカーが内装素材やデザインにこだわり始めています。マツダは近年「走りだけでなく内装の上質さでも欧州プレミアム勢に負けない車づくり」を掲げ、CX-60やMazda3で本木目や本革、職人技を感じる加飾を取り入れ高評価を得ました。
トヨタも新型プリウスでカラフルな内装や上位グレードに合皮スエード調素材を採用するなど、従来より質感を意識したモデルが増えています。
ホンダや日産も国内外のユーザーニーズを踏まえ、ソフトパッドの採用範囲拡大やアンビエントライト演出など高級車的な要素を徐々に取り入れてきています。
次に独自性の追求という点では、日本独自の美意識や先進技術を活かしたインテリアが増えるでしょう。
例えば日産のEV「アリア」は和のテイストを盛り込んだ内外装デザインが評価され、海外のアワードでも高評価を獲得しました。組子細工をモチーフにした間接照明や、フラットなフロアによる開放的空間づくりなど、「まるで高級ラウンジのよう」と評される上質なインテリアは国産車として異例とも言える出来栄えです。
このようにEV化・電動化の波に乗って車内レイアウトの自由度が増す中、日本車も伝統美と最新技術を融合させた新しいインテリア体験を打ち出し始めています。
まず質感向上の面では、マツダを筆頭に国産各メーカーが内装素材やデザインにこだわり始めています。マツダは近年「走りだけでなく内装の上質さでも欧州プレミアム勢に負けない車づくり」を掲げ、CX-60やMazda3で本木目や本革、職人技を感じる加飾を取り入れ高評価を得ました。
トヨタも新型プリウスでカラフルな内装や上位グレードに合皮スエード調素材を採用するなど、従来より質感を意識したモデルが増えています。
ホンダや日産も国内外のユーザーニーズを踏まえ、ソフトパッドの採用範囲拡大やアンビエントライト演出など高級車的な要素を徐々に取り入れてきています。
次に独自性の追求という点では、日本独自の美意識や先進技術を活かしたインテリアが増えるでしょう。
例えば日産のEV「アリア」は和のテイストを盛り込んだ内外装デザインが評価され、海外のアワードでも高評価を獲得しました。組子細工をモチーフにした間接照明や、フラットなフロアによる開放的空間づくりなど、「まるで高級ラウンジのよう」と評される上質なインテリアは国産車として異例とも言える出来栄えです。
このようにEV化・電動化の波に乗って車内レイアウトの自由度が増す中、日本車も伝統美と最新技術を融合させた新しいインテリア体験を打ち出し始めています。
おわりに
日本車の内装が安っぽいと言われる背景には、コストや文化、戦略上の理由が複合的に存在しました。しかし2025年現在、その評価を覆すべく各メーカーが動き出しています。素材へのこだわりやデザイン革新、そして日本ならではの感性を取り入れながら、世界に通用する魅力的なインテリアが今後ますます登場してくるはずです。「安っぽい」と言わせない、日本車の逆襲にこれからも注目していきましょう。