ドアの開閉音はなぜ車によって違いが出るのか?

ドア

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高級車や欧州車の違いのひとつに、ドアの閉まり音があります。「ドスッ」や「バフッ」など、擬音にすると難しいですが、あの高級感を感じさせるドアの閉まり音、妙に説得力がありますよね。建て付けがしっかりしている、作りがいい、安全性が高いなど、あの音ひとつでクルマとしての資質を語りかけてきます。
Chapter
ドアの開閉感はクルマの印象の最初と最後
大きく重くなっていくドア
内張り脱着だけで音質変化?

ドアの開閉感はクルマの印象の最初と最後

もちろん見た目というものはありますが、実際に手を触れ、身体の感覚がそのクルマを認識する、ドアはその意味での第一印象になります。ドライバーに限らず、その車にのる人間は、ドアノブを引いてロック機構が解除される手応えを感じつつ、ドアの重さ、スムーズさ、こうしたあたりを無意識に感じているはずです。

そして降車してドアを閉めるときというのは、そのクルマの最後の印象、余韻ですから、これも頭に残るわけです。このドアの開閉感ひとつ取っても、クルマによってまったく異なります。

しかしそれは実際に触れてみなければわからない…。皆さんもそのことを知っているから、展示車のドアを開け閉めして確かめているのでしょう。また、そんなシーンをよく見かけるのは、それだけ無意識ながら重要視しているのでしょうね。

たとえばこんな比較も

VW ゴルフはヨーロッパの実用車。トヨタ クラウンは日本の高級車。

それぞれのドアヒンジは、ゴルフが鋳鉄と思われるゴツいもの、クラウンは板金をプレスしたもの。こうしたあたりの考え方の違いは、小さくないですよね。

ゴルフは小さくても高品質と、以前から言われてきたひとつの証がこんなところからも見えてくるようです。

大きく重くなっていくドア

衝突安全性向上のためにクルマのドアは年々大きく重く、分厚くもなっています。ゆえに重厚な音がしてあたりまえなのかもしれません。

しかし、それだけではなく、ヒンジにかかる荷重が増えていることもあり、ドアを支える仕組みというのも重要になってきます。また、大きく重たいものが閉まった時に、それを受け止める側のボディやピラーの強度も関係してきます。

ドアをとりまくパーツの一部に剛性が不足していると、場所によってはどの開閉で共振してしまったり、スムーズな開閉にならなかったりと支障が出てしまいます。

ドアの開閉ひとつ取っても、さまざまな調整が必要になってくるわけです。

内張り脱着だけで音質変化?

カーオーディオにこだわる方は、自分でドアの内張りを剥がしてスピーカーを交換したり、あるいはデットニングなどを施して音質向上のチューニングをされることもあると思います。

そんな時、ドアの開閉音に変化があったなんてことはありませんか?

デットニングはドア内部の共振を抑える目的なので、開閉音にも影響することは想像できるのですが、ただスピーカーを変えただけ、なのになんか違う…。これは筆者も経験があります。

以前工場のラインで組み立てのお仕事に従事されていた方に伺ったところ、興味深い回答が返ってきました。いわく、ネジの締め付けトルクやファスナー、グロメットのはめ込み順がちょっとでも狂うだけで「ドアの開閉音が変わってしまう」というのです。

他にもヒンジやキャッチャーも含め、ていねいに調整することで、逆に良い音にすることも可能だということです。いい部材、ゴツい構造を持ってさえいればいいというものではないのですね。

最初と最後、始まりと締めくくりを印象付けるドアの開閉音。また、その調整にはけっこうデリケートな感覚が無いと良いチューニングにはならないようです。

ここにきちんと意識がおよんでいるかどうか、そういう点ひとつ取っても作る側の丁寧さが推し量れる部分でもあるといえそうです。
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