スマートキー&スターターボタンが一般化した背景には一体何があるのか?
更新日:2024.09.09
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クルマに乗るときにはズボンのポケットからキーを取り出し、ドアのキーシリンダーに差し込んで…というのはもう過去の「儀式」になりつつありますね。今はキーレスエントリーが当たり前のように備わり、さらにはスマートキーも普及し、クルマに触れるだけで開錠、ボタンを押すだけでエンジン始動状態(あるいは走行可能状態)になるという時代です。
こうした変化を遂げたのもここ二十年ほどの間です。その間、どのような変遷と経緯、背景があったのかに迫ってみます。
こうした変化を遂げたのもここ二十年ほどの間です。その間、どのような変遷と経緯、背景があったのかに迫ってみます。
キーを回す、エンジンが目を覚ます…
一台一台異なる溝の彫り込まれた金属のキーをシリンダーに差し込んで回す。愛車とのファーストコンタクトはもしかするとこのキー操作と言えるかもしれません。それは自分と愛車を繋げる唯一の証明であり、絆の証し、なんていうとちょっと大げさでしょうか。
しかしドアキーを開錠する際に手がふさがっていたり、雨に降られて急いでいたりするときにこのキーをポケットやカバンから探し出し、しかも慌ててキーシリンダーを回したりするとうまく開錠できなかったりして面倒なんですよね。そこでキーレスエントリーという便利なアイテムが誕生するわけです。
自分の買った愛車に初めてキーレスが付いてきたときは、けっこう喜べたものです。人前で自慢げにキーレス操作をして開錠施錠をしてみたりして…。思い出すとちょっと気恥ずかしい、時代を感じさせる光景ですが、懐かしい記憶の一部です。
しかしドアキーを開錠する際に手がふさがっていたり、雨に降られて急いでいたりするときにこのキーをポケットやカバンから探し出し、しかも慌ててキーシリンダーを回したりするとうまく開錠できなかったりして面倒なんですよね。そこでキーレスエントリーという便利なアイテムが誕生するわけです。
自分の買った愛車に初めてキーレスが付いてきたときは、けっこう喜べたものです。人前で自慢げにキーレス操作をして開錠施錠をしてみたりして…。思い出すとちょっと気恥ずかしい、時代を感じさせる光景ですが、懐かしい記憶の一部です。
金属製「鍵」ではない電子キーの登場
90年代後半、メルセデスベンツのエレクトロキーは日本で初めて金属の鍵を必要としないキーだったのではないでしょうか。日産にカードエントリーシステムなどもありましたが、あくまでドアの開錠にとどまり、このエレクトロキーのようにエンジン始動までを金属の鍵なしに、電気信号により完結できてしまうものはなかったと記憶しています。
これはもちろんセキュリティの観点から必要に迫られたものです。金属製のキーは頑張っても窃盗犯の手にかかるとあっさり開錠されてしまう。様々トライがなされましたが、イモビライザー機能を搭載しても効果が上がらず、結局は完全な電気信号による暗証という手法に出る他なかったわけですね。
またこのタイプで特徴的だったのは、イグニッションキーを回すという行為はあくまでもスターターモーターの電源オンでしかなく、手を戻してもスターターモーターがエンジン始動まで自動的に回り続けてくれる仕組みとなっていたことです。
キーを回すという行為、操作ロジックでありながら、じつは現代のスターターボタンに等しい「作動」をしていたわけですね。
エンジンマネージメントシステムの高度化もかなり進んでいたと言えます。
これはもちろんセキュリティの観点から必要に迫られたものです。金属製のキーは頑張っても窃盗犯の手にかかるとあっさり開錠されてしまう。様々トライがなされましたが、イモビライザー機能を搭載しても効果が上がらず、結局は完全な電気信号による暗証という手法に出る他なかったわけですね。
またこのタイプで特徴的だったのは、イグニッションキーを回すという行為はあくまでもスターターモーターの電源オンでしかなく、手を戻してもスターターモーターがエンジン始動まで自動的に回り続けてくれる仕組みとなっていたことです。
キーを回すという行為、操作ロジックでありながら、じつは現代のスターターボタンに等しい「作動」をしていたわけですね。
エンジンマネージメントシステムの高度化もかなり進んでいたと言えます。
ドア開錠からエンジン始動まで、タッチアンドゴーのスマートキー
一言にスマートキーと言っても、完全に金属のキーを使わずに完結するものもあれば、エンジン始動には金属のキーを差し込んで、というものまで、車格やグレードによって様々です。
ポケットやカバンの中にこのスマートキーを忍ばせておけばドアスイッチで開錠、始動用のスイッチでエンジンをかけることができる、もはやキーのことなど忘れていていいという代物になりました。しかも同時に高いセキュリティも確保できるという一石二鳥。ま、何事も万全、完全はありませんが、今のところ標準採用されるキーとしては最善の選択と言えるでしょう。
実はこれ、日本車が採用する前にやはりメルセデスが「キーレスゴー」と名づけて採用していたものが、日本の電波法などの問題から日本仕様には採用できなかったという経緯があったといいます。日本では三代目セルシオあたりから広まり始めたスマートキー。当時も今もペースメーカーを使用される方への注意書きがありますから、このあたりの法解釈やら各方面への「調整」があったものと思われます。
ポケットやカバンの中にこのスマートキーを忍ばせておけばドアスイッチで開錠、始動用のスイッチでエンジンをかけることができる、もはやキーのことなど忘れていていいという代物になりました。しかも同時に高いセキュリティも確保できるという一石二鳥。ま、何事も万全、完全はありませんが、今のところ標準採用されるキーとしては最善の選択と言えるでしょう。
実はこれ、日本車が採用する前にやはりメルセデスが「キーレスゴー」と名づけて採用していたものが、日本の電波法などの問題から日本仕様には採用できなかったという経緯があったといいます。日本では三代目セルシオあたりから広まり始めたスマートキー。当時も今もペースメーカーを使用される方への注意書きがありますから、このあたりの法解釈やら各方面への「調整」があったものと思われます。
ではなぜスターターボタンが普及したのか?
一言で言うと、現代のクルマはほぼすべての領域で電子制御されています。それによりエンジンスタートも電波による暗証とスイッチ操作で行なうことができるようになりました。
さらにはエンジンの始動もエンジンマネージメントの高度化が後押しし、ドライバーが任意でスターターモーターを回す時間を調整する必要さえなくなったという面もあって、キーシリンダーに金属のキーを差し込んでエンジン始動、という方式がどんどん減っているという状況にあると言えそうです。
端的に目立つスイッチを一回押すだけでエンジン始動できたほうが操作としてイージーですし、ちょっと未来的ですよね。
なによりクルマが電気に支配されている現代では、こちらのほうが自然なカタチかもしれません。
事実、電気自動車やハイブリッドカーなど、走行開始にエンジンの始動を必要としない「Ready」状態を持ってエンジン始動と同じ意味を持つ車種も増えつつあり、今後スターターボタンによる「起動」というスタイルが一般化することは間違いなさそうです。
ちなみにS2000など、初期の頃のスターターボタンによる「始動」は、ボタンを押し続けていないとエンジンが掛からない仕組みでした。これは、セキュリティとか電子暗証というよりもむしろ、これが「スポーティで格好良かったから」という全く異なる理由で採用されたものでした。ポンと押せば勝手にエンジンがかかるものと思い込んでいたら、かからなくて、何度か押してしまった、というのは、ちょっと恥ずかしい記憶です・・・。
さらにはエンジンの始動もエンジンマネージメントの高度化が後押しし、ドライバーが任意でスターターモーターを回す時間を調整する必要さえなくなったという面もあって、キーシリンダーに金属のキーを差し込んでエンジン始動、という方式がどんどん減っているという状況にあると言えそうです。
端的に目立つスイッチを一回押すだけでエンジン始動できたほうが操作としてイージーですし、ちょっと未来的ですよね。
なによりクルマが電気に支配されている現代では、こちらのほうが自然なカタチかもしれません。
事実、電気自動車やハイブリッドカーなど、走行開始にエンジンの始動を必要としない「Ready」状態を持ってエンジン始動と同じ意味を持つ車種も増えつつあり、今後スターターボタンによる「起動」というスタイルが一般化することは間違いなさそうです。
ちなみにS2000など、初期の頃のスターターボタンによる「始動」は、ボタンを押し続けていないとエンジンが掛からない仕組みでした。これは、セキュリティとか電子暗証というよりもむしろ、これが「スポーティで格好良かったから」という全く異なる理由で採用されたものでした。ポンと押せば勝手にエンジンがかかるものと思い込んでいたら、かからなくて、何度か押してしまった、というのは、ちょっと恥ずかしい記憶です・・・。