コンセプトを踏襲しつつ、より進化を果たしたホンダ シビックタイプR!先代と新型との違いを紹介【プロ徹底解説】

シビックタイプR

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ホンダの誇るスポーツモデルがシビックタイプRです。2022年9月に、その最新モデルが登場しています。最新モデルは、先代と比べると、どこが違うのでしょうか。同じところ、進化したところなどを解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
圧倒的な運動性能と快適性を高い次元で両立させる
デザイン手法は踏襲しつつ、よりロー&ワイドに
パワートレインの違い
ボディからサスペンションまで幅広い進化
安全装備とデータを記録するシステム

圧倒的な運動性能と快適性を高い次元で両立させる

ホンダはF1をはじめとするレーシングフィールドに挑戦してきました。そんなレースの現場で培われたチャレンジングスピリッツとレーシングテクノロジーを量産車に注ぎ込んだモデルとしてタイプRは誕生しています。目指したのは「速さ」と「圧倒的なドライビングプレジャー」です。
初期のタイプRは、ベースモデルが先にあり、それをメーカーがファインチューニングを行うという手法がとられていました。そこでは目指すべき「速さ」と「圧倒的なドライビングプレジャー」のためには、快適性は少々犠牲になっても仕方ないという側面もありました。しかし、2017年に登場した先代のシビックタイプRからは、そうした方針が変更となります。運動性能と快適性を高い次元で両立することが目標となったのです。そして、その実現のために、ベースモデルができた後ではなく、ベースモデルと同時にタイプRの開発を進めることになりました。

そうした方針は、2022年に登場した最新のシビックタイプRにも踏襲されています。つまり、新型シビックタイプRもベースモデルと開発は同時進行となり、目指すものは、「速さ」と「圧倒的なドライビングプレジャー」と「快適性」のすべてを実現するというものであったのです。

デザイン手法は踏襲しつつ、よりロー&ワイドに

新型シビックタイプRのエクステリアデザインは、チャンピオンホワイトのボディカラーをメインのイメージカラーとし、ブラックのリップスポイラーやリアウイングといった追加パーツで引き締めるという手法がとられています。そうしたデザイン面の特徴は、シビックタイプRの伝統ともなるものでもあります。当然、先代モデルも同様のデザインを採用していました。
しかし、先代と新型モデルでは、ベースとなるシビックの世代が異なるため、そのサイズは微妙に異なります。

先代モデルの寸法は、全長4560×全幅1875×全高1435mm、ホイールベースが2700mm、トレッドがフロント1600/リア1595mmでした。一方、新型は全長4595×全幅1890×全高1405mm、ホイールベース2735mm、トレッドがフロント1625/リア2735mm。新型は、より長く幅広く、そして低くなっています。タイヤサイズは、先代の245/30R20から265/30R19とワイドになっています。

パワートレインの違い

パワートレインは、先代も新型も同じ2リッターのVTECターボ。型式も同じKC20型です。ただし、スペックは新型が勝ります。旧型は最高出力235kW(320PS)・最大トルク400Nmでした。一方、新型は最高出力243kW(330PS)・最大トルク420Nmと、馬力もトルクも上回っています。
パワーアップは、ターボ、吸気排気系、制御系の進化が理由です。軽量で抵抗の少ないスクロールのターボチャージャーを採用し、吸入抵抗を低減し、冷却性能を高め、排気系も流量がアップしています。パワフルなだけでなく、優れたレスポンスも新型エンジンの特徴となります。ボディからサスペンションまで幅広い進化


ボディからサスペンションまで幅広い進化

新型となっての進化ポイントはエンジンにとどまりません。ボディは樹脂製テールゲートの採用などにより軽量化が進み、構造用接着剤の使用拡大などにより、より強固になっています。空力パーツも進化しており、ダウンフォースとスタビリティのバランスもより最適化され、冷却性能も高まっています。

足回りのトピックは、FFモデルとして世界トップレベルの旋回時最大Gを実現する専用タイヤの採用です。これはミシュランとホンダによる専用開発品となります。
また、サスペンションのアーム類の強化やジオメトリーの最適化、EPS(エレクトリック・パワー・ステアリング)の改良、アダプティブ・ダンパー・システムの進化などにより、コーナーリング時の一体感とダイレクト感が増しています。

6速MTも改良されており、変速フィーリングは、よりダイレクトでガタつきがなく、そしてスムーズなものとなりました。また、変速時にエンジン回転数を自動で調整するレブマッチシステムの適用範囲を拡大。1~2速の変速でもレブマッチシステムが作動するようになりました。

安全装備とデータを記録するシステム

新型シビックタイプRは、最初から先進運転支援システムであるHonda SENSINGが標準装備となっています。先代モデルでは、2020年のマイナーチェンジから採用となっていました。
また、新型シビックタイプRでは、欧州モデルで採用されていた機能が日本仕様にも導入されました。それがHonda LogRです。これは、車の走行状態やドライバーの操作内容を見えるようにし、しかも記録できるという機能です。走行中に表示する「パフォーマンス機能」、走行後に内容を確認できる「スコアリング機能」、そしてスマートフォンなどで確認し、SNSなどでもシェアできる「アプリ」が用意されています。
新型となったシビックタイプRですが、その基本的なコンセプトは先代から継承されています。また、デザインの手法も先代同様です。ただし、中身は、パワーから走り、デジタル的な機能までが進化を果たしていました。
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