圧倒的な速さとドライビングプレジャーを追求したホンダ シビックタイプRのパワートレイン【プロ徹底解説】

シビックタイプR

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ホンダが世界に誇るスポーツモデルが“タイプR”です。その最新モデルとなるのが2022年9月に発売となったシビックタイプR。その心臓となるパワートレインを筆頭に、走りを支える様々な技術や特徴を解説します。

文・鈴木 ケンイチ/写真・PBKK

鈴木 ケンイチ

モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)

鈴木 ケンイチ
Chapter
タイプR史上最強のVTECターボ
フィールにこだわった6速MT
強力な旋回性能を実現
3つのモードと6つのパラメーター
細部にこだわった空力性能
走行データーを表示・記録するHONDA LogR

タイプR史上最強のVTECターボ

新型のシビックタイプRに搭載されるエンジンは、2リッターの直列4気筒VTECターボ、K20C型です。先代モデルのエンジンをベースに、ターボチャージャーを一新。出力を7.4kW(10PS)、トルクを20Nm高めて、最高出力243kW(330PS)、最大トルク420Nmを達成しています。FF(前輪駆動)モデルとして世界最高峰レベルのパワーウェイトレシオを実現しています。燃費性能は12.5㎞/l(WLTCモード)となります。
また、痛快なドライビングフィールの実現のためにエンジンサウンドにもこだわっています。エンジン出力にともなう排気流量の13%増加にあわせて、エンジン回転上昇時の中周波数を増強して排気音の迫力をアップ。マフラーの中にアクティブ・エクゾーストバルブ機構を新たに採用し、エンジン回転数に応じてバルブ開度を制御することで、車外騒音規制をクリアしながら、迫力ある排気サウンドも実現しています。普段は静かに走りつつも、意思を持ってエンジン回転数を上げると迫力ある排気サウンドが聞こえるようになります。

フィールにこだわった6速MT

6速MTは、レバーストロークと操作荷重は先代を踏襲しつつも、レバー構造を新設計としました。シフトレバーの高剛性化と横方向のガタつきを減らし、ダイレクト感と節度感を向上。シフトリンク部の形状を最適化することで、4速から5速などの斜めシフト操作時のスムーズ感も高めています。ダイレクトでガタつきがなく、スムーズなシフトフィーリングを実現しました。
シフトチェンジのときに自動でエンジン回転数をあわせてくれるレブマッチシステムも搭載しています。新たに2速から1速へのダウンシフト時にも適用されるようになりました。また、フライホイールの18%の軽量化と慣性モーメントの25%低減により、ブリッピング性能のレスポンスが10%向上。変速することが楽しくなるミッションとなっています。

強力な旋回性能を実現

シビックタイプRの速さの理由は強力なエンジンだけではありません。その性能を使い切るために、車体やシャシーなども特別に鍛え上げられたものとなっています。

ボディは樹脂製テールゲートの採用による軽量化を実施し、構造接着剤の塗布エリアの拡大(先代より3.8倍)などにより、剛性を大幅にアップ。サスペンションには減衰力を変更可能なアダプティブ・ダンパーシステムを採用。サスペンション自体もジオメトリーの見直しに加えてアームの強化などを実施。タイヤにはミシュラン社と共同で専用タイヤを開発。FFモデルとして世界最高峰の旋回時最大Gを実現しています。
ブレーキは先代の2ピースディスクブレーキを継承しながら冷却性能をアップ。サーキット走行などの厳しい環境下でも、優れた耐フェード性能を発揮します。

3つのモードと6つのパラメーター

シビックタイプRはスポーツカーといえども、普段の生活で常にアクセル全開で飛ばしているわけではありません。そこで、用意されたのがドライブモードです。「エンジン」「ステアリング」「サスペンション」「エンジンサウンド」「レブマッチ」「メーター」の6つのパラメーターを変化させるというもの。基本となる「コンフォート」「スポーツ」「+R」の3つのモードに加えて、6つのパラメーターを自由に選べる「インディビジュアル」が用意されています。好みに合わせて、車のセッティングを変更できるのも、最新モデルならではの特徴となります。

細部にこだわった空力性能

パワフルなエンジンを搭載するシビックタイプRは、当然、超高速域での走行も想定されます。そこで重要となるのが空力性能です。求められるのは、高いダウンフォースと、高いスタビリティを実現する前後ダウンフォースのバランスです。フロントバンパーをはじめ、フロントアンダーカバー、サイドシルガーニッシュ、リアスポイラー、リアディフューザーは空力性能を高めるために細部までこだわって開発されています。

走行データーを表示・記録するHONDA LogR

新型シビックタイプRの特徴的な装備となるのが「HONDA LogR」です。これは「パフォーマンスモニター機能」「スコアリング機能」「アプリ」の3つの機能をあわあせたもの。「パフォーマンス機能」は走行中の車の動きや、ドライバーの操作などをリアルタイムに表示するもの。「スコアリング機能」は、自らの走りを記録して、後でチェックできるというもの。一般道向けとサーキット走行向けの2種類が用意されており、自らのドライビングスキルを高めるのに役立ちます。これらのデーターは、サーバーにアップされるので、スマートフォンの専用アプリを使うことで、いつでもどこでも閲覧が可能。SNSなどにシェアすることもできます。
FFスポーツモデルとして世界最高峰の一台となるのがシビックタイプRです。その魅力は、やはりパワフルなエンジンと、それを支える車体と足回りです。また、シビックタイプRは速さだけでなく、ドライビングプレジャーも重視しているのも特徴でしょう。そして新型モデルでは、自らのドライビングを記録し、それを閲覧、さらにはSNSでシェアできる機能まであるのが魅力となります。乗って楽しく、降りた後も楽しいというのが新型シビックタイプRです。
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