三菱 eKクロス EVのメリット・デメリットを試乗レビュー【プロ徹底解説】

三菱 eKクロス EV

日本の新車市場において、約40%を占める軽自動車。この軽自動車規格のBEVとして登場したのが、三菱eKクロスEVです。

エンジンを搭載した軽自動車と比較すると割高感がありますが、その実力は一体どうなのでしょうか。上級グレードのPに試乗して検証してみました。

文・写真/萩原 文博

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良い点(メリット)
改善点(デメリット)

良い点(メリット)

今回試乗したのは、三菱eKクロスEVの上級グレードのP。車両本体価格は293万2600円で、メーカーオプションとしてミストブルー×カッパーメタリックの有償色8万2500円をはじめ、先進安全快適パッケージ16万5000円、プレミアムインテリアパッケージ5万5000円 。そしてルーフレール2万7500円を装着。

ディーラーオプションのドライブレコーダー前後で7万8310円、フロアマット2万2352円を装着し合計336万3272円のフル装備車でした。

まず、強調したいのは静粛性の高さとスムーズな加速性能と抜群の乗り心地です。ターボエンジンを搭載したガソリン車のeKクロスは最高出力64ps、最大トルク100Nmです。

一方試乗したeKクロスEVの最高出力は軽自動車のルールに則っているため64psですが、最大トルクは195Nmとターボ車の約2倍となっています。また195Nmというと2Lガソリン車に匹敵するトルクです。

この195NmというトルクをeKクロスEVは0回転から発生します。軽自動車としては車両重量1,080kgと重いeKクロスEVですが、195Nmという最大トルクを発進時から発生するので、これまでの軽自動車では味わえないようなスムーズな加速性能を味わうことができます。

しかも加速しているときや、追い越しを掛ける際でも、小排気量エンジンを搭載した軽自動車特有のうなり音は全く発生しません。したがって走行中の車内は高級セダンに匹敵するほどの会話明瞭度を実現しています。

また、eKクロスEVは重いバッテリーを床下にマウントし、低重心を実現しているので、非常に揺れの少ない走りが特徴です。これは前後の重量配分を56:44と最適化していることも大きな影響を与えているでしょう。

重くて大きな駆動用バッテリーを搭載しているekクロスEVですが、使い勝手や取り回しの良さなどは全くスポイルしていないところは非常に高く評価したいところです。

満充電時の走行距離が180kmのeKクロスEV。エアコンなどを使用すると大体150kmが目安と言えます。今回は日産のディーラーで急速充電を利用しましたが、高速道路を走行した直後の充電でもバッテリーに冷却機能が備わっているため、順調に充電することができました。

一般的な軽自動車の平均走行距離は50kmと言われているので、eKクロスEVの180kmもあれば、物足りないと感じることはないでしょう。

ただし、自宅は充電設備が設置できる一軒家であることはマストな条件です。

高速道路を走行した際に、マイパイロットを使用しましたが、システムの制御は一段と進化していて、先行車に追いついた際のブレーキの掛け方はギクシャク感がなく、まるで自分が運転しているような感覚でした。

改善点(デメリット)

eKクロスEVに対して、現状不満と思う点は見当たりません。軽自動車と考えた時に車両本体価格が高いかもしれませんが、補助金を利用すれば、同じ水準になります。

eKクロスEVは自宅でV2H(ビークルトゥホーム)機器と接続すれば、電力使用量の多い日中に駆動用バッテリーに蓄えた電力を家庭で使用し、夜間に駆動用バッテリーを充電するなど、節電に貢献することができます。

eKクロスEVの駆動用バッテリーに蓄えた電力は一般家庭の約1日分の相当。停電した場合は、V2H機器を介して非常用電源として使用できます。

懸念材料はまもなく55万円の補助金が終了すると言われていることでしょうか。早くBEVをもっと普及させるためには、補助金の延長を早く発表してもらいたいです。

軽自動車本来の街乗り中心であれば、現在ベストバイと言えるモデルでしょう。

一軒家であれば、自宅で充電しておけば100%まで充電可能なので、電気代も安く抑えることができます。

車両本体価格補助金を利用すれば、ガソリン車と変わらないレベルなので、軽自動車の購入を考えているユーザーには選択肢の一つとして入れてもらいたいです。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博