日産 新型エクストレイルのエンジン・ミッション・パワートレーン等のスペックをチェック【プロ徹底解説】

日産 エクストレイル

新型エクストレイルに搭載されているパワートレインは、日産が数多くの車種で導入しているe-POWERと呼ばれるガソリンエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動させ走行するシリーズハイブリッドシステムを搭載しています。

これまでのe-POWERは発電に使うガソリンエンジンは1.2L直列3気筒エンジンでしたが、エクストレイルは、VCターボと呼ばれる新型のエンジンを採用しています。ここでは、新型エクルトレイルに搭載されているパワートレインや駆動方式などについて紹介しましょう。

文・写真/萩原 文博

Chapter
エンジンのスペックを紹介
モーターのスペックを紹介
システムについて紹介

エンジンのスペックを紹介

新型エクストレイルに搭載されている発電用のエンジンは、KR15DDT型の1.5L直列3気筒DOHCガソリンターボエンジンです。最高出力106kW(144ps)、最大トルク250Nmを発生するこのエンジンにはVCターボという新機構が採用されているのが特徴です。

ガソリンエンジンは、シリンダー内に取り込んだ混合気を圧縮したところで点火し、燃焼させます。 このとき、高圧縮にするほど高効率となりますが、温度上昇により異常燃焼(ノッキング)が発生するため、圧縮比には限界があるのです。

巡航時など吸気量が少ないときには限界圧縮比は高く、逆に加速時など吸気量が多いときには限界圧縮比は低くなります。エクストレイルに搭載されているターボエンジンのように、過給された混合気を吸気している状況では、限界圧縮比はさらに低くなります。

このようにエンジンは負荷の状況に応じて、理想的な圧縮比は変えたほうが効率が向上します。しかし、従来のエンジンは、ピストンとクランクシャフトが直接コンロッドでつながる構造のため、圧縮比を変えることはできませんでした。

新型のエクストレイルに搭載しているVCターボエンジンは、コンロッドをかえてマルチリンク機構でクランクシャフトを回転させる構造とし、リンクの端点をアクチュエータで可動にすることにより、ピストンとクランクシャフト間の距離を変化させ、圧縮比を8.0から14.0の間で無段階に自在に変更でき、ドライバーのアクセル操作に対応して、常に最適な圧縮比へ変化することができる可変圧縮エンジンなのです。

VCターボエンジンは、高効率ワイドレンジターボと過給圧をきめ細やかにコントロールする電動ウェイストゲートにより、ターボラグを抑えて高効率に過給し、瞬時に大出力を発生させることが可能です。

また低負荷時には電動VTCによりバルブタイミングを連続的に変化させ、アトキンソンサイクルによりポンピングロスを低減し、高圧縮比による高熱効率の達成と組み合わせることで、WLTCモードで18.3~19.7km/Lという低燃費を実現させています。

モーターのスペックを紹介

新型エクストレイルはVCターボを採用した1.5Lエンジンで発電し、モーターを駆動させて走行させるe-POWERというパワートレインを搭載しています。エクストレイルの2WD車はフロントに一つ。4WD車はフロントとリアに合計2つのモーターを搭載しています。

フロントに搭載されているモーターは、BM46型の交流同期電動機で、最高出力150kW、最大トルク330Nmを発生します。さらに4WD車はリアにMM48型交流同期電動機のモーターを搭載。

こちらの最高出力は100kW、最大トルク195Nmを発生します。アクセルの踏み始めからモーター駆動らしいレスポンスを発揮するとともに、高速道路では余裕ある追い越し加速を、タフなシーンでは高い走破性を実現しています。

システムについて紹介

新型エクストレイルの4WD車にはe-4ORCEと呼ばれる4WDシステムが採用されています。e-4ORCEは、日産が持つ電動化技術と4WD制御技術、さらにシャシー制御技術を融合させ、『走る、曲がる、止まる』性能を飛躍的に向上させた4WDシステムです。

e-4ORCEは、前後に搭載した2基の電動モーターを繊細にコントロールすることで、車体の揺動を抑える制御を行います。

減速時は、通常のフロントモーターの回生ブレーキに加え、リアモーターの回生ブレーキも併せて活用することで車体の姿勢変化を抑制し、乗員の前後方向の揺れを減少させます。また、加速時や凹凸のある路面を通過する時には、モーターを最適にコントロールすることで車体姿勢の変化を抑えるのが特徴です。

また、EVやe-POWERならではである1ペダルの『運転が楽である』という特長のまま、乗る人すべてに快適な乗り心地を提供することが可能です。

例えば、市街地走行における減速時などでは、乗員の前後方向の揺れを減少させます。前後の揺れが減少することで、車酔いなどを抑える効果が見込まれます。また、加速時や凹凸のある路面を通過する時にも、快適な乗り心地を提供します。

また、路面と車両の走行状況によってモーターの駆動力やブレーキをきめ細かくコントロールすることで、各タイヤの性能を引き出すことにより、ドライバーは最小限のステアリング操作で思い通りのコーナリングを楽しむことが可能です。

そして、雪道などの滑りやすい路面状況においても、高いライントレース性能を実現し、ドライバーはどのような路面状況においても、安心してドライブを楽しむことができます。

新型エクストレイルは、モーターで走行するe-POWERと前後2基搭載されたモーターの駆動力配分などを最適化し、どんな路面状況においても高い走行安定性を実現したe-4ORCEという新しい4WDシステムの採用によって、オンロードはもちろんエクストレイルの主戦場となるオフロードにおいても、従来車からはるかにレベルアップした走行性能を実現しているのが特徴です。

価格は高くなりますが、新型エクストレイルは4WD車を選択したほうが、そのポテンシャルの高さを味わうことができます

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博