【プロ解説】BMW X3を歴史とともに徹底解説

初代 BMW X3 2016 10

初代BMW X3は、2004年7月に日本市場に導入されました。

1999年に導入したX5は5シリーズベースでしたが、X3はE46型3シリーズのプラットフォームをベースとしたSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)として、登場しました。

文・写真/萩原 文博

Chapter
初代モデル
2代目モデル
3代目モデル

初代モデル

初代X3の外観デザインは、長く印象的なエンジンフードを採用し、クーペのように後ろ寄りに位置するキャビンスタイルとなっています。また、ショートオーバーハング、ロングホイールベースのスタイリングが、X3のダイナミックなパフォーマンスと安定感を強調しています。

また力強いアーチを描くホイールハウスは、X3に筋肉質でスポーティな外観を与えており、高く設定された最低地上高とブラックのボディトリムは、X3がオフロードの悪路にも対応する頑丈でタフなクルマであることを示しています。

同時にボディのエレガントなデザインは、プレミアムSUVであるX3の際立つ品位の高さをはっきりと示しています。初代X3に搭載されているエンジンは、デビュー当初、アルミニウムをクランクケースに使用した最高出力192psを発生する2.5L直列6気筒DOHCエンジン。

そして、最高出力231psを発生する3L直列6気筒DOHCエンジンの2種類。この2つのエンジンは、"絹のように滑らかに回転する"ことから、"シルキー6"と高く評価されています。組み合わされるトランスミッションは5速AT。

駆動方式のxDriveとは、電子制御式多板クラッチによって実現させたインテリジェント4WDシステムを全車に搭載しています。

この4WDシステムは、フロントアクスルとリヤアクスルの間に置かれたクラッチが前後の駆動力配分を瞬時に調整・制御するもので、降雨時の低ミュー路面や凍結路での発進、急な登り坂などの悪路走行時にタイヤがグリップを失いそうになると、ほぼリアルタイムで駆動力の配分変更が必要であると判断し、ただちに各タイヤへ適正な駆動力を与える革新的な駆動システムです。

xDriveは、タイヤの空転を検知するホイールセンサーや車体の横方向へかかる重力を測定するヨーレートセンサー、そしてステアリングホイールに入力された角度をモニターするステアリングホイールセンサーから得た情報をもとにタイヤのスリップを感知し、瞬時にグリップしている他のタイヤへ適正な駆動力を配分します。

また、4WD車の場合、オフロードでの走行をメインに考えられているのとフロント部分のパワートレイン・メカニズムの関係でエンジンの取り付け位置が高くなり、重心が高くなりがちです。

しかしBMW X3の前輪の駆動軸はX5と同様、オイルパンを貫通して走る連結軸で左右前輪を連結。こうした斬新なコンセプトによって、十分な最低地上高を確保しつつもエンジンの位置を低くし、X3の重心を低く実現しました。

これによりX3はSUVにありがちなコーナリング時のロールも軽くなり、荒れた路面であっても優れた走行性能を発揮できるようになりました。また、前後の重量配分も理想の50:50近くとし、 さらに新開発4WDシステムxDriveとあいまって、この4WD車の俊敏性と操縦性はかつてないほど高いレベルを実現しています。

2006年10月に初代X3はマイナーチェンジを行い、内外装の変更とともに、パワートレインの変更を行いました。搭載されるエンジンは、マグネシウム-アルミニウム合金製クランクケースを使用した最新の直列6気筒エンジンは重量を軽減しつつ、3Lエンジンは最高出力272ps、2.5Lエンジンは最高出力217psへ向上。

トランスミッションは6速へと多段化され、変速に要する時間が従来のオートマチック・トランスミッションと比べて最大50%短縮され、この上ない変速の素早さ、正確さ、効率の高さを実現しています。

さらに、インテリジェント4WD システム「xDrive」によりオンロードでのダイナミックなハンドリング特性に加え、オフロードでの優れた走破性を実現しています。

2代目モデル

2代目のBMW X3は、7年振りにフルモデルチェンジを行い2011年3月に導入されました。

2代目X3 は、BMW X モデルの様々な特長を備えながら、効率とダイナミズムを高い次元で両立する「よりクリーンに、よりパワーを。」BMW エフィシェントダイナミクスの理念に基づく数々の技術を採用し、さらなるドライビングの歓びと優れた環境性能を実現したのが特徴です。

外観デザインは、直立した大きなキドニーグリルが特徴の2代目 X3 のフロントデザインはボリューム感があり、BMW X モデルに共通した力強さを表現しています。

エンジンフード上には6本のラインを入れることで、エレガントさを表現しています。サイドビューにおいては、ボディサイドのフロントホイールアーチ後ろから車両後方へダイナミックに跳ね上がるウェストラインが大きな特徴。

さらにフロントおよびリヤホイールアーチ上部に入るラインはワイドなフェンダーを強調し、4輪がしっかりと路面をとらえているという視覚的な安定感を与えています。

サイドウインドウには、BMW 伝統のホフマイスターキンクが取り入れられ、BMW らしさを表現すると同時に、サイドビューにダイナミズムを与えています。

インテリアは、モダンなデザインを採用。iDrive用8.8 インチワイド高精度カラーディスプレイが最上部に置かれたインストルメントパネルは連続した流れをもったラインによって構成され、室内の広さを感じさせます。

そして室内空間は先代モデルよりも拡大し、特にリヤシートは足元スペースが先代に比べて約20mm 拡大したことにより、クラス最高レベルとなりました。また横方向においても、リヤシート左右の乗員間隔を20mm 拡大させた事により、5人乗車時にも余裕が生まれました。

ラゲージエリア容量は先代モデルに比べ70L 拡大させ、クラス最大の550L としました。またラゲージには、積載物をフレキシブルに固定できるパーセルレールが先代モデルから引き続き標準装備しています。

搭載されているエンジンはデビュー当初は最高出力258psを発生する3L直列6気筒DOHCと最高出力306psを発生する3L直列6気筒DOHCターボの2種類。

組み合わされるトランスミッションは全車8速ATで、駆動方式はあらゆる路面状況に応じて瞬時に前後のトルク配分を可変制御するBMW特有のインテリジェント4輪駆動システムxDrive を全車に採用。

これによりこのクラス随一の走りの良さに磨きをかけると同時に、乗り心地を向上させています。

2012年には、最高出力184psを発生する2L直列4気筒ターボエンジンを搭載したxDrive20iというエントリーグレードが追加。

そして、3L直列6気筒DOHCエンジンを廃止し、最高出力245psを発生する2L直列4気筒ツインスクロールターボエンジンを搭載しました。

さらに、2012年9月には最高出力184ps、最大トルク380Nmを発生する2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンを搭載したxDrive20d Blue Performanceを追加しました。

高効率なエンジンに加え、エンジンオートスタート/ストップ機能など「よりクリーンに、よりパワーを。」BMW エフィシェントダイナミクスの設計思想に基づいた先進の環境対応技術を数多く採用し、燃料消費率(JC08 モード)は、プレミアムセグメントの4WDモデルにおいてNo.1 となる18.6km/L の圧倒的な低燃費を実現しています。

2014年6月に2代目X3はマイナーチェンジを行いました。変更点は、外観デザインは大型化されたフロントバンパーのエアインテークの採用。そして丸型4灯式ヘッドライトはキドニーグリルへと直接つながるデザインへと変更され、パワフルさを強調しています。

インテリアでは、ハイグロスブラック仕上げのセンターパネルや、随所に配されたクロームインサートにより、これまで以上に上質な室内空間を演出しています。

そして、モデルラインアップは、マットアルミニウム仕上げのデザイン・エレメントにより、BMW X モデルの力強さとスタイリッシュなデザインを主張するxLineを新たに設定し、よりダイナミックな走りとスタイリングを強調するM Sportとともに選択の幅を拡げています。

先進の安全装備として、万が一の事故発生時に、車両の通信機能を介してSOS コールセンターに接続し、救急や消防といった機関の早急な手配が可能となる「BMW SOS コール」に加え、歩行者検知機能付き「衝突回避・被害軽減ブレーキ」、車線の逸脱をドライバーに警告する「レーン・ディパーチャー・ウォーニング」、車両前方と左右の交通状況をパノラマビューで映し出す「サイドビューカメラ」などの革新的ドライバー支援システムや、荷物で両手がふさがった状態でも足元の操作によりテールゲートの自動開閉が可能な「オートマチックテールゲートオペレーション」のスマートオープン/クローズ機能など、数々の機能を標準装備しています。

3代目モデル

3代目となる現行型BMW X3は2017年10月に日本市場に導入されました。

現行型X3の外観デザインは、従来のモデルのスタイルを維持しながらも外装を一新し、よりスポーティでダイナミックなスタイルが特徴。フロントの表情に立体感を与える大型化したキドニーグリルや、サイドボディに新たに採用された存在感あるエアブリーザー、滑らかなシルエットのルーフが組み合わさることで、洗練され、アグレッシブかつ大胆なデザインとなっています。

インテリアでは、Xモデルのアクティブな個性を主張しつつ、よりモダンでラグジュアリーなデザインとなっています。

クローム加飾を効果的に採用し、リヤドアパネルやセンター・コンソール等に「X」や「X3」のエンボス加工を施すことで、X モデルの個性を主張しています。搭載されているエンジンは、2L直列4気筒ガソリンターボと2L直列4気筒ディーゼルターボの2種類で、トランスミッションは8速ATを採用しています。

駆動方式は初代モデル 以来採用されているインテリジェント4WDシステムxDrive によって高い運動性能を実現しています。

それぞれのエンジンに対して、Xモデルのラグジュアリーかつスタイリッシュさを主張する「xLine」、スポーティな面をデザインとドライビングの両面で主張する「M Sport」を設定することで、幅広い個性とニーズに応えるラインアップとなっています。

安全装備では、音声認識やタッチ・スクリーンが搭載された最新のiDrive ナビゲーションシステムや、BMW が提供する総合テレマティクスサービスであるBMW コネクテッドドライブ、最先端の部分自動運転機能や安全機能・運転支援機能が搭載されたドライビングアシストプラスが標準装備となっています。

2018年9月には3L直列6気筒ディーゼルターボを搭載したM40d。

2020年3月には3L直列6気筒ガソリンターボエンジンを搭載したM40iを追加。

そして、同年4月にX3初のPHEVとしてxDrive30eを追加しました。

また、11月の一部改良ではM40dに搭載する3L直列6気筒ディーゼルターボエンジンが48Vマイルドハイブリッド化されています。

現行モデルで3世代となるX3ですが、SUVながら低重心でBMWの「駆け抜ける歓び」を具現化した高いパフォーマンスは初代から継承されています。

そして、2代目のマイナーチェンジから搭載された運転支援システムもアップデートされ、BMWのSUVラインアップの中で最も販売台数の多い中心車種となっています。

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博