BMW X3に試乗レビュー!エントリーからプレミアムへの進化
更新日:2024.09.09
※この記事には広告が含まれます
BMWの人気SUV、X3も2017年に発売されたモデルで3代目を迎えた。この3代目を迎えたX3は3シリーズの派生モデルから独立し、新世代の7シリーズのプラットフォームを採用するなどプレミアムSUVとしての性能が向上した。その進化の度合いを鈴木ケンイチがレポートする。
文・写真:鈴木ケンイチ
文・写真:鈴木ケンイチ
写真:BMW X3 xDrive20d M Sport
X3はXシリーズの末弟として誕生
X3の誕生は2004年。BMWの最小SUVとして初代がデビューした。ちなみにBMW自身は、XシリーズのことをSUV(スペース・ユーティリティ・ヴィークル)ではなくSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)と呼んでいる。つまり、BMWのクルマはSUVでもスポーティであることを示したいということであろう。
初代のX3は3シリーズの派生モデルであり、当時のBMWのSUVラインナップも末弟という立場であった。特に初代はSUVというよりもクロスオーバー的な雰囲気をまとっていた。まっ黒な樹脂バンパーが装着されており、実用面でのメリットはあったが、プレミアム感はそれほど強くなかった。
しかし、2009年には弟分であるX1が登場。末弟という立場が変化したこともあり、2011年に登場した第2世代はSUVテイストを色濃くし、さらにプレミアム感も増していた。
X3は3シリーズの派生ではなく独立モデルに
写真:BMW X3 xDrive20d M Sport
現行モデルとなる第3世代は、2017年にデビューしたばかり。日本でも同年12月から発売がスタートしている。最新のX3の特徴は、3シリーズの派生ではなくなったところだろう。プラットフォームは新世代の7シリーズと同じものを採用している。
写真:BMW X3 xDrive20d M Sport
パワートレインは、当初はガソリンとディーゼルの2リッターというラインナップであった。ガソリンが最高出力184馬力/最大トルク290Nm、ディーゼルが190馬力/400Nmとなる。しかし、2018年の秋に最高出力326馬力/最大トルク680Nmの直列6気筒の3リッター・ディーゼルを追加。このエンジンを搭載したX3 M40dが現在のトップモデルとなる。トランスミッションはすべて8ATで、駆動方式もすべてが4WDだ。
ドライバーの前のメーターには12.3インチもの大型のカラーディスプレイが採用されており、インフォテイメント系は最新。もちろん自動ブレーキを含む運転支援システムも充実したものが搭載されている。
X3は高いコンフォート性とプレミアム感に包まれる
写真:BMW X3 xDrive20d M Sport
BMWのSUVといえば、「スポーティで速い」という印象が強い。特に兄貴分となるX5などは、まるでスーパースポーツのような俊敏さとパワフルさを楽しむことができる。
しかし、試乗したX3の2リッターのディーゼル・モデルは、もう少しおとなしかった。もちろん、400Nmものトルクは、X3のサイズには十分以上のものがある。グッとアクセルを強く踏み込めば、スポーツカーのような走りを味わうことも可能だ。
しかし、ドライブを通して、最も強く感じられるのは高いコンフォート性だ。静粛性の高さ、荒れた路面をいなす洗練の足回りは、スポーティというよりも、プレミアム・セダンというレベル。インテリアの質感も非常に高く、良いモノ感をたっぷりと感じることができる。また、サイズで言えば、日本のトヨタ・ハリアーに近く、取り回しに苦痛を感じることはなかった。
SUVというよりも、目線の高いプレミアム・セダン。そんな印象が強く残った。
キビキビとしたスポーティな走りではなく、落ち着いた洗練の走りは、最近に試乗した3シリーズにも相通じるところがあった。これが7シリーズと同じプラットフォームを採用する、新世代のBMWの共通の特徴なのかもしれない。
鈴木ケンイチ
モータージャーナリスト。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。レース経験あり。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)