【プロ解説】BMW X3を徹底評価|良い点や欠点などを試乗レビュー!

BMW X3 xDrive30e

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デビュー当初、パワートレインは2Lのガソリン&ディーゼルターボのみだったBMW X3。

現在ではシリーズ初となるPHEVも追加し、多彩なラインアップとなっています。

そのX3の中から、最も新しいPHEVのX3 xDrive30eに試乗したので、レビューします。

文・写真/萩原 文博

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
BMW X3の良い点
BMW X3の改善点

BMW X3の良い点

輸入車プレミアムSUV販売台数No.1を誇るBMWの中でコアモデルとなっているのが、今回試乗したX3でしょう。

2L直4のガソリン&ディーゼル、3L直6のガソリン&ディーゼルそして2LガソリンエンジンのPHEVとBMW SUVラインアップの中でも豊富なパワートレインが、X3がコアモデルであることを表しています。

今回試乗したのは、2020年4月に追加されたPHEVのX3 xDrive30e M Sport Edition Joy+で、車両本体価格は781万円です。
Mエアロダイナミクスパッケージを装着したX3 xDrive30eの外観デザインは、全長4,720mm×全幅1,890mm×全高1,675mm以上の圧倒的な存在感を感じます。

大型化されたキドニーグリルには、アクティブ・エア・ストリームが採用し、エンジンやブレーキの冷却のために空気を取り入れる必要がない時には、内部に組み込まれたエア・フラップを電動で閉じ、エアロダイナミクスと効率性を同時に高めるなど先進性を強調しています。

搭載されているPHEVシステムは、最高出力184psを発生する2L直列4気筒ガソリンターボエンジンと最高出力109psを発生するモーターを組み合わせ、システム合計質力292psを発生します。

モーターのみの走行で満充電時の航続走行距離は44km。

最高速度は140km/hまで走行可能なので、日本国内の道路状況ならば、EV走行ですべてこなせるということになっています。

充電は普通充電のみで34Ahという容量のリチウムイオンバッテリーは、約3.5時間で80%まで充電可能。100%ならば4.3時間必要となります。
見た目ではほとんどガソリン車とは差がないPHEVのxDrive30eですが、ラゲッジを開けると違いがあります。

システム用のバッテリーを搭載したため、燃料タンクをラゲッジルーム下に搭載しているため、床面が高くなっており、ラゲッジ容量は5人乗車時でガソリン車より100L少ない450Lとなっています。

しかし、使い勝手は数値ほど悪くなっていない印象を受けます。

センターコンソールに設置されたeDriveボタンで、純粋な電気走行を行う「MAX eDrive 」、走行状況に応じてエンジンとモーターで最適な駆動方式を選択するいわゆるハイブリッドの「AUTO eDrive 」、そしてドライバーが任意に設定した充電量に達するまでエンジン走行を行う「Battery Control」の3つの走行モードを選択して選ぶことが可能です。
X3 xDrive30eを受け取り、試乗を開始するとバッテリー容量がフルになっているため、「MAX eDrive 」が選ばれてピュアEVで走行します。

X3 xDrive30eの車両重量は2,060kg。試乗車はオプションの電動パノラマガラスサンルーフが装着されているため、2,090kg。そしてドライバーの体重を足せば約2,200kg近いボディを、非常にスムースに加速させます。

秀逸なのはスムースな加速以上に静粛性の高さ。自分の乗っているクルマがSUVであることを忘れてしまうほどの品の良さが際立ちます。

その高級車らしい高い静粛性を誇りながら、操縦性や機敏な動きはまさにBMWという味わい。背の高いSUVながら重心を低く抑えているため、ロール量も抑えられていて、無駄な揺れが少ないのも特徴です。この点からも高級車らしい乗り味が演出されています。

そのうえ、バッテリー搭載による重量増を感じさせないしなやかな乗り味を実現しています。
EV走行を行い、システム用バッテリーの残量が少なくなったら、PHEVらしいエネルギーの地産地消が行える「Battery Control」にチェンジ。

このモードに変えると、ドライバーが任意に設定した充電量までエンジンを使用して充電するモードです。

燃費性能は通常の走行モードより悪化するが、走行しながらシステム用のバッテリーが充電できるPHEVならではのモードと言えます。

このX3 xDrive30eは普通充電しか用意されていないが、個人的には全くネガに捉えていません。

それはエネルギーの地産地消が行える「Battery Control」があるためです。輸入車のPHEVの多くは普通充電しか搭載していないクルマが一般的。

それは急速充電器がEVのためのものであり、PHEVは走行しながら充電すれば良いという哲学を感じられます。

また、先進の運転支援システムも充実していて、さすが輸入車プレミアムSUV販売台数No.1のBMWのコアモデルという実力を体感できました。

BMW X3の改善点

走行性能やユーティリティなどの面で、全くネガな点は見つかりませんでした。

X3の登場が2017年とすでに4年が経過していて、運転支援システムは最新バージョンではありませんが、不満は全くありません。

改善点というと、価格面ではないでしょうか。

2Lガソリンエンジンを搭載したxDrive20i xLineが721万円。

そして xDrive30e xLine Edition Joy+は778万円と価格差は約57万円。

エコカー減税などで価格差はもっと縮みますが、この価格差を大きいと捉えるか小さいと捉えるかです。

自宅が戸建てで充電器を設置できるのであればPHEVのメリットは大きいですが、マンションのような集合住宅ではそのメリットは少なくなっていまいます。

また、購入すると1年間の公共充電器を利用できるサービスを受けられますが、BMWのディーラー普通充電器の設置が少ないというデメリットもあります。

こういったインフラの整備が急務かもしれません。
本文中にも書きましたが、エネルギーの地産地消ができるPHEVなので、普通充電だけで納得です。

また、2Lガソリンターボエンジン車との価格差もエコカー減税や補助金を利用すれば、グッと縮まります。

自宅に充電装置があればメリットが大きくなりますが、カードで1年間提携の充電器は無料となりますし、走行時に充電できることを考えれば集合住宅でも積極的に狙いたいグレードです。
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