トヨタ 2代目センチュリーの乗り心地は?考え抜かれた乗り心地への配慮の数々を解説(DBA-GZG50/TA-GZG50(改)/TA-GZG50/E-GZG50型)

トヨタ 2代目センチュリー

トヨタ 2代目センチュリー(DBA-GZG50/TA-GZG50(改)/TA-GZG50/E-GZG50型)の乗り心地について解説します。

トヨタ センチュリーは半世紀以上、国産最高級乗用車として君臨し続けるクルマです。多くの官公庁で導入されていたほか、皇室御用達のクルマとしても有名で、先に行われた東京オリンピックでは3代目センチュリーがコンセプトカーとしても登場しました。

長い年月を経ても人気を落とすことがないその理由はさまざまですが、センチュリーの人気を語るうえで乗り心地の良さを外して評価することはできません。

今回は、そんな2代目センチュリーの乗り心地について詳しく説明します。

Chapter
トヨタ 2代目センチュリーとはどんなクルマ?
トヨタ 2代目センチュリーのコンセプト「ショーファー・ドリブン」とは?
トヨタ 2代目センチュリーのリアシートの乗り心地
トヨタ 2代目センチュリーのフロントシートの乗り心地は?
トヨタ 2代目センチュリーの乗り心地を支えるその他の機能

トヨタ 2代目センチュリーとはどんなクルマ?

トヨタ センチュリーは1967年に誕生した国産最高級乗用車です。セダンタイプのセンチュリーは日本中の企業のトップや首長、果ては皇室御用達のクルマになりました。

当初から一般大衆向けの乗用車としての開発は想定されておらず、あくまでも上流階級向けのクルマとして開発されています。事実新車価格は1,000万円を超え、その価格に見合った工夫や装備がそこかしこにちりばめられています。

完全受注方式を採用しており、組み上げは手作業という力の入れようです。フロントグリルに装着される小さな鳳凰のエンブレムは完成までに1ヶ月かかると言われており、そのほかの部分も手の込んだ作りとなっています。

5.0L V型12気筒エンジンを搭載しており、見た目やイメージからは想像がつかないような排気量と馬力を誇っています。

センチュリーにそれだけのエンジンが必要かと言われると疑問に思う人もいるでしょうが、実はこれにはれっきとした理由があるのです。センチュリーは万が一エンジントラブルが発生しても残ったエンジンでも運行ができるように、12気筒のうち、半分の6気筒ずつが別々に駆動しています。

仮に片側に異常が発生しても運行が続けられるような独自のメカニズムを持っているのです。

そのほかの細部に関しても手が込んでいます。ボディカラーは何度も人の手で塗られており、熟練の業が光っています。

また、ボディの強度を決定づける溶接もすべて人の手で行われているのです。センチュリーはかつて製造したものをすべてファイリングした「ヒストリーブック」に記録され、徹底した品質管理が行われているのです。

トヨタ 2代目センチュリーのコンセプト「ショーファー・ドリブン」とは?

トヨタ センチュリーのコンセプトは「ショーファー・ドリブン」と呼ばれるものです。

「ショーファー・ドリブン」とは「オーナーはリアシート(後席)に座り、お抱えの運転手がハンドルを握る」ことを想定したクルマです。

同じコンセプトのクルマには、メルセデス・ベンツ Sクラスやロールスロイス ファントムがあります。セダンタイプ以外ではトヨタのアルファードやヴェルファイアも含まれ、総じて新車価格が高額な傾向にあります。

所有者が後部座席のコンセプトは、一般的な乗用車とは一線を画しており、想定する購入者ターゲットも違います。通常の車とは違うことだらけのクルマがセンチュリーであり、乗り心地に関わるシートの性能、特にリアシートの性能は他の追随を許さないレベルでの完成度です。

ほかの「ショーファー・ドリブン」のクルマも同様にリアシートのほうが性能的に優れていることは珍しくありません。

最近は「ショーファー・ドリブン」のクルマであってもフロントシート(前席)周辺の機能の充実や座り心地の改善を図っているクルマもあります。もともと質感が悪いわけではありませんが、オーナー自身がハンドルを握る機会も増えてきたことから徐々に改善されているのです。

本記事で紹介するセンチュリーも、リアシートメインの設計ですが、フロントシートがなおざりなわけではありません。リアシートが居住性重視なのであれば、フロントシートは機能性重視と分けて見るべきでしょう。

トヨタ 2代目センチュリーのリアシートの乗り心地

トヨタ センチュリーの乗り心地を語るうえで外せないのがリアシートの乗り心地です。

テレビのニュースや新聞の写真で、センチュリーのリアシートから手を振る皇室の方々を見て、どんな乗り心地なのか気になる人も少なくないでしょう。

市販されており、一般人でも購入できるクルマですが、なかなか乗る機会まではありません。言わずもがな、センチュリーのリアシートは、乗り心地に徹底的にこだわって作られています。

シート素材はウールファブリックで覆われており、肌触りが抜群なうえ通気性にも優れています。

シートヒーターも標準装備であり、寒い冬でも要人やゲストが快適に過ごせるようになっているのです。暑い夏はシート内部に仕組まれた通気口から風が出てくるため、群れることなく熱を逃がしてくれます。夏・冬に限らず快適なドライブを楽しむことができるのです。

ウインドウガラスも遮熱性・遮光性がある色が採用されているため、夏場の日差しを軽減することができます。

リクライニング機能も画期的です。電動でリクライニングすることはもちろんのこと、リクライニングの角度に合わせて座面が上下に動き、無理のない姿勢を作ることができます。

フットレストはフロントシートのシートバックに付いており、アームレストのボタンで引き出すこともできます。目的地到着後はドアの開閉で自動的にシート位置が初期位置に戻るため、乗っている人が何かをする必要はありません。

とにかくリアシートに座るオーナーや要人、ゲストが快適に過ごせるような工夫が凝らされているのです。

トヨタ 2代目センチュリーのフロントシートの乗り心地は?

トヨタ センチュリーのフロントシートは、リアシートとは違うコンセプトで快適に作られています。「ショーファー・ドリブン」というスタイルである以上、リアシートの居住性の高さは大きな問題になります。

しかし、運転する側の人間を無視してクルマを製造するわけにはいきません。快適にリアシートの人物を目的地まで運ぶために、センチュリーのフロントシートは居住性よりも実用性に特化していると言えます。

運転席は運転手の身体を支えるためにホールド力の高い形状をしています。リアシートのようなリラックスできるようなものではなく、いかに快適に運転できるかに焦点が当たっているのです。

もちろん形状は違えど座り心地は抜群で、長時間の運転でも運転手が疲れにくいようになっています。対する助手席側のシートはホールド力はあまりありませんが、その代わり肩周辺に余裕を持たせているのです。

こうすることで助手席に座った秘書や通訳がリアシートの要人やゲストの方向を向きやすいようになっています。

また、運転席のインパネ周辺も、運転のしやすさに特化しています。ステアリングホイールは標準装備で本革巻きの手触りがいいものを採用し、取り回しをしやすくしているのです。

オプションで本木目と呼ばれる木製ステアリングホイールに変更可能ですが、どちらも操舵性が高いのが特徴です。リアシートの居住性には遠く及ばないものの、フロントシートにはフロントシートの良さがあります。センチュリーは特にこの傾向が強いのです。

トヨタ 2代目センチュリーの乗り心地を支えるその他の機能

トヨタ センチュリーの乗り心地を支える機能はほかにもあります。

大きな排気量を持つセンチュリーなので騒音が気になる人もいるでしょうが、センチュリーのボディ内部には数々の防音設備を有しています。エンジンから乗車スペースまでの空間にも防音壁が設けられており、大きなエンジンに反して静粛性が高いため快適なドライブを楽しむことができるのです。

どうしてもゼロにできない騒音は、できる限り小さくしたり、騒音が騒音のまま車内に響かないような工夫も凝らされています。

運転手やリアシートの同乗者を守るための装備も欠かしていません。エアバッグはフロントシートだけではなくドア一帯すべてに装備されており、前後左右すべての角度から同乗者を守ることができるのです。

高い安全性能は、乗っている時だけではありません。盗難防止システムを搭載しており、キーにはIDコードが登録されています。

センチュリーはこの純正キーでなければエンジンがかからない「エンジンイモビライザーシステム」を採用しており、高い防犯性を実現できています。

気になるトランスミッションの振動ですが、大きな力が生まれるエンジンからの振動を押さえ、かつスムーズなギアチェンジができるようなトランスミッションを採用しているためまったく気になりません。

むしろ排気量に似合わない静かなギアチェンジができるため、快適に車内で過ごすことができるのです。物音や振動を押さえる工夫には、ドアの開け閉めをサポートするモーターが搭載されています。

半ドア状態まで閉まったリアドアとラゲッジゲートは、モーターで自動的にドアに引き込むため、静かにドアを閉めることができるのです。

センチュリーの乗り心地は徹底的に考え抜かれており、他の追随をそう簡単に許すようなものではありません。非常に高い機能を有した、乗り心地を追求した1台と言えます。

今回はトヨタ センチュリーの乗り心地について、リアシートとフロントシートに分けて解説しました。

現在は中古車市場でもそれなりの台数が存在するセンチュリーですが、なかなか乗り心地を味わう機会はないでしょう。

購入して乗ることもできますが、予算や維持費、使用目的が合わなければ購入しても仕方ありません。しかし、もし自分のニーズに叶う車であるならば、センチュリーも購入検討をしてみてもいいかもしれません。

2代目センチュリーも中古車として少なからず存在するので、一度検討してみましょう。

吉田 恒道|よしだ つねみち

1980年代、大学卒業後ファッション・モード専門誌「WWD Japan」編集部勤務を皮切りに編集者としてのキャリアを積む。その後、90年〜2000年代、中堅出版社ダイヤモンド社の自動車専門誌・副編集長に就く。以降、男性ライフスタイル誌「Straight’」(扶桑社)など複数の男性誌編集長を歴任し独立、フリーランスのエディターに、現職。著書に「シングルモルトの愉しみ方」(学習研究社)がある。

吉田 恒道