ホンダ 新型ヴェゼルの心臓部。パワートレーンをプロが徹底解説します。

ホンダ ヴェゼル  e:HEV Z 2代目 2021

初代に続き、新型も国産コンパクトSUVのベストセラーモデルになりそうな完成度のホンダ ヴェゼル。2代目に進化するにあたり、ハイブリッドモデルをメインに据え、ガソリンモデルは1つだけというグレード展開になりました。ここでは、ハイブリッドとガソリンモデルのパワートレインについて解説します。

文・写真/萩原 文博

Chapter
ガソリン、ハイブリッドともに新開発エンジンを搭載
トランスミッションは全車CVTに
安定した走りを生み出すリアルタイム4WD

ガソリン、ハイブリッドともに新開発エンジンを搭載

新型ヴェゼルのエンジンは、ガソリン、ハイブリッドともに新開発の1.5L直列4気筒DOHC i-VTECを搭載していますが、それぞれ異なるエンジンです。

まずGグレードに搭載されるL15Z型1.5L DOHC i-VTECエンジンですが、インテークマニホールドとレゾネーターの最適化をはじめ、吸気脈動効果による吸気効率の向上、連続可変バルブタイミングコントロール機構(VTC)、さらに燃料噴射をポート噴射式とすることで、街乗りなど普段使いの使いやすさを追求

10.6:1の圧縮比から、最高出力87kW(118ps)/6,600rpm、最大トルク142Nm/4,300rpmをそれぞれ発生する1.5Lエンジンは、ドライバーの操作に素直に反応し、リニアで扱いやすい加速と高い静粛性を獲得しました

いっぽうハイブリッドのe:HEV は、発電用と走行用の2つのモーターに1.5L直列4気筒DOHC i-VTECを組み合わせたシステムで、エンジンは高精度バルブコントロール技術によるアトキンソンサイクルです。

ハイブリッドシステムは、リチウムイオンバッテリーと制御用ECUなどを一体化したIPU(インテリジェントパワーユニット)内にあったPCU(パワーコントロールユニット)をエンジンルームに移動し、空いたスペースにバッテリーセルを増設。SUVに相応しい大きなモータートルクを獲得しました。

同時にPCUは、水冷化や新構造のスイッチング端子、システム電圧を昇圧するボルテージユニット(VCU)を搭載し、出力密度の向上を図っています。

エンジンとモーターのスペックは、エンジンが最高出力78kW(106 ps)/6,000-6,400rpm、最大トルク142Nm/4,500-5,000rpm。モーターが最高出力96kW(131 ps)/4,000-8,000rpm、最大トルク253Nm/0-3,500rpmです。

トランスミッションは全車CVTに

トランスミッションは、ハイブリッドシステムの進化によって全車CVTになりました。

ただし、ガソリンとハイブリッドで内容が異なっており、1.5Lガソリンモデルには、新型フィットに搭載された新開発のCVTをヴェゼルに適したチューニングを施して搭載。

フィットに比べて増加した車両重量とタイヤサイズに合わせて、ギアレシオをローレシオ化。また軸支持ベアリングのボール/ローラー化によって伝達効率を3%向上。電動オイルポンプの出力を拡大するとともに、電動オイルポンプで走行中のCVT油圧を制御することで、機械式オイルポンプの仕事を軽減しCVT単体での燃費を向上させています。

通常はなめらかな変速が特徴のCVTですが、アクセル全開などで強い加速を行う場合、エンジン回転数を段階的に制御することで、有段トランスミッションのようにリズミカルなエンジン回転数の変化とエンジン音の変化をドライバーに提供する、全開ステップアップシフト制御を採用。

さらに、一般道や下り坂などで、一定以上強くブレーキを踏み込んだ際、エンジン回転数を高く保ちながら段階的にシフトダウンを行い、エンジンブレーキによる制動力を確保するブレーキ操作ステップダインシフト機能も搭載しました。

これはカーブを曲がる際に横Gを判断して、エンジン回転数を高くキープし、立ち上がりでのスムーズな走りも支援します。

e:HEVは、2モーターを内蔵した電気式CVTを搭載しています。

この電気式モーターのステーターは、従来の集中巻きステーター製法から、角断面ワイヤーを密集させて容積効率を高めたセグメント巻線ステーター製法を採用。さらに、角断面ワイヤーの被膜圧低減させたホンダ独自の技術を導入し、ワイヤーの容積効率を6%向上。これによって出力密度を高めています。

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安定した走りを生み出すリアルタイム4WD

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博