ステーションワゴン中古で買えるおすすめランキング12選【自動車目利き人が厳選】

ジャガーXF

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「車種が多すぎて、どんな基準で買ったら良いのかわからない」「見た目優先で選んでしまうと失敗しそう」「プロがおすすめする輸入ステーションワゴンを中古で買いたい」などなど、アタマを悩ませている方々に向けて、これまで何百車種と乗ってきた自動車ジャーナリストたちが、おすすめする輸入ステーションワゴンを厳選してお届けします。

輸入ステーションワゴンが欲しいけど、車種選びで迷っている、まだどんな車種を買ったら良いのかわからないという方は、愛車選びの参考にしていただければと思います。

文・斎藤 聡/三好 秀昌/小野 泰治/嶋田 智之

嶋田 智之|しまだ ともゆき

エンスー系自動車雑誌『Tipo』の編集長を長く務めた後、スーパーカー雑誌の総編集長などを経て2011年に独立。フリーランスのライター/エディターとして、クルマとヒトを軸に活動している。
自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の豊富さでは業界でも屈指の存在で、世界に数台の超希少スーパーカーから中古の軽自動車までジャンルを問わない雑食性。
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

嶋田 智之

三好 秀昌|みよし ひであき

自動車評論家/ラリードライバー。

日本大学芸術学部写真学科卒業後、某出版社の契約カメラマンとして活躍するかたわら、試乗記事を国内ラリーに参戦。同時に某出版社で試乗記事も執筆するようになる。
国内でラリーの魅力に目覚め、1989年から渡英。同年よりイギリス国内選手権に三菱 ギャラン VR-4を駆って参戦。1991年には、イギリス国内選手権で年間2位の成績を収め、翌年からヨーロッパラリー選手権にステップアップ。当時のライバルには、故コリン・マクレーやトミ・マキネンなどがいた。また、この時期は自身のラリー活動と並行して、WRCに参戦する三菱ラリーアート・ジャパンのチームマネージャーも務めていた。
1995年からは、スバル インプレッサにマシンをスイッチしてWRCに参戦。1995-1996年サファリラリーグループNクラス優勝(※1995年はケニア国内選手権)を遂げ、スバルのサファリラリークラス7連覇に貢献した。
1999年のWRCサファリ参戦後、しばらく活動を休止していたが、2003年に全日本ラリー選手権2輪駆動部門に前年にデビューしたフェアレディZ(Z33)でエントリー。ターマックステージ中心の活動だったが、S30時代を彷彿とさせるカラーリングでも注目を集めた。
2007年になるとアフリカ大陸で開催されるFIAアフリカ選手権に、三菱 ランサーエボリューションで参戦。。翌2008年には、年間チャンピオンを獲得している。
などなど、華々しい経歴を持つ自動車評論家。豊富な経験による的確なドライビングと分析で、数々の自動車媒体に寄稿するかたわら、雪上ドライビングのインストラクターなども務めている。

三好 秀昌
Chapter
【目利き人】斎藤 聡氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
テッパンの輸入ステーションワゴンといえばコレ。アウディ A4アバント
ボルボを買うなら最新モデルがおすすめ。ボルボ V60
プジョーらしい乗り味にこだわるなら先代モデル。プジョー 508SW
【目利き人】三好 秀昌氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
低く構えたフォルムも魅力。ジャガーXFスポーツブレーク
人気のショートワゴンはクロスオーバーがおすすめ。ボルボ V40 クロスカントリー
ただのゴルフ ワゴンじゃない!フォルクスワーゲン ゴルフ オールトラックTSI 4モーション
【目利き人】小野 泰治氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
「エステート」の伝統を受け継ぐ本格派。ボルボ V60
日本では孤軍奮闘のラテン系ワゴン。プジョー 508SW
独自のエレガントさは「アバント」ならでは。アウディ A4 アバント
【目利き人】嶋田 智之氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
100万円台の予算なら…フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント
猫足も魅力のフレンチワゴン。プジョー 508SW
行く場所を選ばないプレミアムワゴン。ボルボ V60 クロスカントリー

【目利き人】斎藤 聡氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3

テッパンの輸入ステーションワゴンといえばコレ。アウディ A4アバント

輸入車ステーションワゴン鉄板の1台が、アウディ A4アバントです。アウディといえばプラミアムブランドのなかでも、スマートなエクステリアデザインと内装のクオリティの高さで定評があります。

A4はアウディの主力モデルの1台で、セダンとアバントと呼ぶステーションワゴンの2枚看板がウリです。

狙い目は、B8と呼ばれる先代のA4。FFの出来も悪くないのですが、アウディらしさを求めるなら、やはりクワトロ=4WDモデルがおすすめ。新車ではなかなか手を出しにくいかもしれませんが、中古になればかなりリーズナブルになりますから、選択の自由度もぐっと広がります。

B8型A4アバント クワトロの4WDシステムは、トルセンLSDを使ったセンターデフ式で、駆動トルク配分は、前後40:60を基本に最大20:80から60:40まで、走行状態に応じて自動的に変化します。ギアのかみ合わせ(や壁面摩擦)によって行われるので、変化が自然なのも魅力のひとつです。

アバントシリーズには、SUV風味を利かせた(走破性も抜群)のA4オールロードクワトロやハイパフォーマンスなS4アバントなども用意されています。

ボルボを買うなら最新モデルがおすすめ。ボルボ V60

欧州車には、もうひとつステーションワゴンの代名詞ともいえるメーカーがあります。それがボルボです。

北欧スウェーデンの自動車メーカーであり、その内装は北欧のスカンジナビアンデザインを引き合いに出されるほどスマートで洗練されています

またボルボは安全に対して積極的に取り組んでおり、世界一安全なファミリーカーと評価されるメーカーでもあります。ちなみに3点式シートベルトは1959年にボルボが発明したものです。

そんなボルボを買うなら、最新型がおすすめです。個人的には古いFRのボルボが好きだったりしますが、すでに博物館行き物件で、日々のアシとして使うには適当ではありません。そして先にも触れましたが、ボルボは安全性をリードするメーカーであり最新こそ最良ですから、現行モデルをおすすめしたいと思うわけです。

現行型V60は、水平基調のすっきりしたラインを核とするスタイリッシュなエクステリアデザインが特徴。

搭載するエンジンは、2.0L直噴ターボ+48Vマイルドハイブリッド(184kW/350Nm、モメンタムは145kW/300Nm)と、プラグインハイブリッド版のV60 リチャージに2.0L直噴ターボ(186kW/350Nm)+前34kW/後50kWのモーターを用意。V60 リチャージのバッテリーは34Ahの容量があり、45.1㎞のEV走行ができます。

プジョーらしい乗り味にこだわるなら先代モデル。プジョー 508SW

乗るとなぜかしっくりくるのがプジョーの不思議な魅力。ボディ剛性や操舵に対する応答の正確さ、操縦安定性など、とくに優れているとは感じられません。だから、自動車工学的な機械の完成度を評価軸にプジョー 508SWを評価しようとすると、それほど高い評価にはならないように思います。

ところがいざ走らせてみると、エンジンの吹き上がり方はしっとりしていて、正確なアクセル操作をしなくても、このくらいかな、とアクセルを踏むとスルスルと必要なスピードに達してくれる。あるいはまわりのクルマに車速を合わせようとしたときに、なんとなくすんなりと車速が合ってくれる。

クルマがやってくれるような書き方ですが、もちろんそういうことではなく、人が操作することに対してプジョーなりの深い洞察があって、ちゃんと考えられて味付けされているのだろうと。

モダンになった現行型も魅力的なのですが、先代モデルのふわっとした乗り味がおすすめです。

【目利き人】三好 秀昌氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3

低く構えたフォルムも魅力。ジャガーXFスポーツブレーク

輸入ステーションワゴンはそれぞれのメーカーや車種によってしっかりと性格付けがなされており、好みや使用目的が明確なら唯一無二の愛車を見つけられます。

今回選んだ3台は、どれもキャラクターがはっきりした優れたステーションワゴンたちです。

まずはジャガーXFスポーツブレークです。ジャガーブランドだけあって低く構えたフォルムはワゴンというジャンルを超えて、スポーティですらあります。メーカーもそのあたりをよくわかっているからこそ、SPORTBRAKE(スポーツブレーク)というネーミングにしているのでしょう。

室内やインパネまわりは曲線と直線をうまく調和させたデザインで、大英帝国の名残を思わせる上質さ。ラゲッジルームは猟犬を乗せて、スコットランドあたりでハンティングをしているハイソなユーザーが目に浮かぶようです。

エンジンは、132kW(180ps)を発生する2.0L 直4ディーゼルターボのD180と、184kW(250PS)の2.0L 直4ガソリンターボのP250という2種類で、D180系にのみAWDモデルを用意。

グレードは、上質なプレステージと、スポーティなR-SPORTの2タイプで、セダンに用意されるエントリーグレードのPURE(ピュア)はありません。

そのなかでおすすめは、2018年10月からラインアップに追加されたD180のAWDモデルです。180psのディーゼルエンジンというと非力な感じもしますが、実際にドライブするとトルクフルかつとても静かで、十分スポーティに走ります。

※D180は、2021年モデルからマイルドハイブリッド版(D204)に進化。グレード体系も、通常モデルのXFとスポーティなR-DYNAMICに変更されました。

人気のショートワゴンはクロスオーバーがおすすめ。ボルボ V40 クロスカントリー

2013年に国内販売がスタートしたボルボ V40は、ショートワゴンに分類されるプレミアムコンパクトです。ハッチバックよりも大きく、ステーションワゴンよりも短いリアまわりが特徴で、その使い勝手の良さと300万円前半〜という価格設定で人気となりました。

そのバリエーションとして用意されたクロスカントリーは、独特のティストが魅力的な1台です。

エンジンバリエーションは、1.5Lと2.0Lのガソリンターボと2.0L のディーゼルターボの3つで、4WDを選ぶとガソリンターボ、FFだとディーゼルターボというのが大まかな分け方になります。冬場の降雪量など生活環境に合わせて選ぶとよいでしょう。

ディーゼルエンジンはややノイズがありますが、緩加速での“カラカラ”といったディーゼリング音は少なく、燃費に優れているのが特徴です。

シンプルながら上品で明るい内装は、北欧デザインをベースとしたもので、センスのいいコックピットに包まれてのドライブは心地よいものです。

またボルボの代名詞でもある安全性も充実していて、うっかり事故を未然に防げるIntelliSafe(インテリセーフ)と名付けられた先進安全・運転支援機能も見逃せません。

本格的なクロスカントリーや荒れたところを走るクルマではありませんが、最低地上高はV40と比べて10mmアップ。微々たるものですが、カチカチに凍ったアイスバーンのワダチ路面などでは、わずかな差がスタックするかしないかの命運を分けるときもあるので大事な要素なのです。

V40、V40クロスカントリーともに、2016年にフェイスリフトを行い、トールハンマー型ヘッドライトを採用。新車販売は、2019年に終了しています。

ただのゴルフ ワゴンじゃない!フォルクスワーゲン ゴルフ オールトラックTSI 4モーション

VW ゴルフ オールトラックTSI 4モーションは、とても不思議なクルマです。

ゴルフと名乗ってはいるものの、そのテイストはまったく異なり、ワゴンボディで4WDですがゴルフ ヴァリアントとも違う、かなりアウトドアを意識したクルマなのです。

ワゴンボディで少し重くなり、4WD機構でやや摺動抵抗が増えたためにエンジンもパワフルなものを投入したようで、日本国内で販売されるゴルフには設定のない1,798㏄の直列4気筒インタークーラーターボエンジンが搭載されています。

組み合わされるトランスミッションは6速DCTと、最新の7速ではないので燃費の面では不利なのですが、車高がヴァリアントより25mmアップされていて、河原にバーベキュー、林道ドライブといったアクティブに遊ぶための相棒にぴったりの1台です。

さらに、オールロード専用の“オフロード“モードを選ぶことが可能なドライビングプロファイル機能を搭載。これの凄さはブレーキのABS制御まで変えているところです。

簡単に言うと、タイヤがわずかにロックしても制御が浅めにしているのです。これのどこが良いのかというと、アイスバーンや雪道といった極端に滑りやすい路面でABSが顔を出すのを減らし、減速域が向上します。

たとえば停止直前などは、タイヤを多少ロックさせてしまった方が止まることが良くあります。そこで制御をわざと荒くして、滑りやすい路面でクルマが止まりやすくしているのです。

こういった細かいところまで作り込まれているのも、ゴルフ オールトラックの魅力なのです。

【目利き人】小野 泰治氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3

「エステート」の伝統を受け継ぐ本格派。ボルボ V60

いまでこそSUV、あるいは電気駆動モデルのイメージが先行しつつありますが、ボルボといえば長らくエステートと名付けられたワゴンモデルが定番でした。その伝統を受け継ぐモデルがミドル級のV60です。

現行型は、SUVのXC90から採用が始まったボルボの主力骨格であるSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)を採用。スタイリッシュなエクステリアが持ち味となっています。

このSPA、純粋な機能だけでなくデザイン性にも配慮して基本構成が決められたというだけに、V60では長いエンジンフードに代表される伸びやかなシルエットが特徴的。輸入ワゴン市場でも大勢を占めるドイツ勢とは、ひと味違う個性の実現にもひと役買っています。

適度にラギッドなディテールはボルボらしくもあり、プレミアム感の演出も十二分。さりげなく豊かさを主張するアイテムとしては、まさに上々の出来映えです。

そんな、“冴え“を感じるデザイン性の高さは室内でも同じ。タブレット風インターフェイスを駆使したインパネ回りは、新しさと上質感を巧みに両立。ここでも、良い意味での非ドイツ的なセンスが存分に活かされています。

また、たっぷりしたサイズのシートは安全性を売りにしてきたボルボらしい仕立て。もちろん、座り心地も申しぶんありません。全長が4.76mのワゴンということで、室内の使い勝手も満足できます。前後席は大柄な大人でもゆとりが感じられる広さ。

荷室容量も通常時で529Lが確保されるだけに、ワゴンをワゴンらしく使いたいというニーズにもしっかり応えてくれるでしょう。

日本仕様は、2.0L 直列4気筒ガソリンターボのマイルドハイブリッド(高効率な48V電装です)+8速ATがベーシック。そのハイスペック版やプラグインハイブリッドの4WDも用意されますが、絶対的動力性能はベーシック仕様でも過不足ない水準。先のSPAはボディ剛性感の高さも魅力のひとつとなるだけに、スポーティにも走らせたいという希有なニーズにもしっかりと応えてくれるはずです。

日本では孤軍奮闘のラテン系ワゴン。プジョー 508SW

先々代にあたる407SWは奇抜、先代(初代)はフランスの保守本流たるプジョーらしい堅実な風情が持ち味だった508SWですが、2018年登場の現行型はスタイリッシュ路線へと転身しています。

ベースとなる508セダンがリアにハッチゲートを備えた、いわゆるファストバックのボディ形態となったことでSWは立ち位置が若干ながら微妙になりましたが、そこはワゴン作りに一家言を持つプジョーの作。外観はスポーティでいながら、ルーフが後方までスラリと伸びるワゴンらしい伸びやかさも両立して独自の世界が構築されています。

いっぽうで室内、とくにインパネ回りは現行プジョーに共通する“攻めた”仕立て。i-Cockpit(アイ-コックピット)と名付けられたインターフェイスは、極端に小径なステアリングと高めにレイアウトされたメーターまわりの組み合わせが最大の特長。

通常はステアリング越しとなるメーター表示がその上から確認できるので、つねにベストな視認性が確保できる点が機能上のメリットとなります。

また、画像化されたメーターのディスプレイ表示は個性的。適度なタイト感を演出する前席まわりもコックピットの名に相応しい出来映えで、エンタテインメント性が高いことも魅力のひとつといえるでしょう。ちなみに見た目上のインパクトが大きい小径ステアリングですが、運転操作上の不都合はありません。

気になる使い勝手は、ミドル級ワゴンらしく秀逸。居住空間は必要にして十分な広さが実現され、荷室容量も530~1,780Lを確保。先代より派手な内外装になった現行508SWですが、合理的なフランス車らしさは受け継がれています。

日本仕様のパワートレインは1.6Lガソリンターボと2.0Lリッターディーゼルターボ、そして最大56㎞のEV走行を可能とするプラグインハイブリッドの3タイプですが、動力性能はベーシックなガソリン仕様でも必要にして十分。

シャシーは往年のフランス車的なクセのある仕立てではありませんが、それだけに非ドイツ車の選択肢としては安心してオススメできる出来映えです。

独自のエレガントさは「アバント」ならでは。アウディ A4 アバント

アウディのアバントシリーズは、ルーフが後方まで伸びるワゴンボディの特長をスタイリング面、たとえばエレガントさなどの演出に利用した草分け的存在です。

現行モデルでその伝統を受け継ぐのはA4とA6ですが、とくに前者は日本の環境にもマッチしたドイツ産ワゴンとして根強い支持を集めています。

2016年に登場した現行型も、先代からスマートな佇まいを継承。同じドイツ産でライバル関係となるBMW3シリーズ ツーリング、あるいはメルセデス ベンツCクラス ステーションワゴンも現行型はスタイリッシュな風情を特長としていますが、A4の伸びやかさ(実際のボディもそれらより大柄ですが)やそれがもたらす上品さは、まさにアバントならではの出来となっています。

また、2020年にはMC(マイナーチェンジ)版も上陸。一見した際のイメージこそ変わりませんが、アクの強かったヘッドライト形状が柔和な風情のラウンド形状に改められ、前後フェンダーはブリスター化。それにともない、全幅は若干ながら拡大されました。

それだけに、実際に並べてみればMC版とその前のモデルにおける外観上の違いは明らかなのですが、だからといってMC前のモデルが古臭く見えるわけではないので、たとえばユーズドのA4アバントを狙う際にも心配は無用といえるでしょう。

MC版のパワーユニットは、ガソリンがマイルドハイブリッド機構を組み合わせた2.0L 直列4気筒ターボ(スペックは2種類)と、番外編となるS4アバントに搭載される3.0L V6ターボ。そして2.0Lディーゼルターボ(こちらもスペックは2種)がラインナップ。

MC前は1.4Lと2.0Lのガソリンターボが導入されていましたが、実際の動力性能は初期の1.4Lでも必要にして十分。2.0Lのハイスペック版ともなれば、スポーツ志向の走りにも対応してくれます。

アウディ自慢のクワトロ、4WD仕様はハイスペック版のみとの組み合わせとなりますが、たとえばリーズナブルな予算でアウディらしい内外装のセンスを楽しみたい、というのであればMC前の良質なユーズドを狙う、という選択もアリかと個人的には思います。

【目利き人】嶋田 智之氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3

100万円台の予算なら…フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント

仮に予算が100万円+αぐらいなら、オススメは問答無用でゴルフ ヴァリアントでしょう。

理由は単純明快。ベースであるVW ゴルフは、このクラスの世界的なベンチマークというべきモデル。その全方位的に隙のない出来映えのよさをそっくりそのままキープしながら大きな荷室まで持ちあわせてる、じつに優秀なモデルだからです。

ゴルフはちょうどいま第7世代から第8世代へと移行しようとするタイミングですが、このくらいの予算でも第7世代のゴルフ ヴァリアントが狙える、つまりさほど古さを感じない、というのも嬉しいところです。

その良さは、走らせてみると即座に解ります。適度なサイズ、軽やかな出足、爽やかな速度の伸び、それにスッキリと素直なハンドリングにピシッと正確な曲がりっぷり。まるでハッチバックを走らせてるかのようなフィーリングです。

さり気なく快適な乗り心地も好印象です。それに通常は605L、後席を倒せば1,620Lの広大な荷室がついてくる、というわけ。

尖ったところはないけれど、おそらく中古で買ってもほとんどなにもガマンする必要がないというのが、ゴルフ7ヴァリアントの凄いところなのです。

猫足も魅力のフレンチワゴン。プジョー 508SW

予算を300万円ほどまで引き上げられるなら選択肢は大きく広がりますが、ここはあえてルックスも乗り味も個性的なフレンチワゴンを選ぶのがいいかも知れません。

その筆頭が、プジョー 508SW。2代目となる現行モデルも、この価格帯に近いところまで降りてきてますが、よりオススメなのは初代のそれもフェイスリフトを受けた2015年以降のモデル。

年次改良が進んで熟成された感がありますし、508がプジョーのフラッグシップであることを思い出させる品の良さと、もともとの優しい印象が上手にバランスしたルックスが魅力的だからです。

なにより素晴らしいのは乗り心地。プジョーはよく“猫足”と表現されますが、まさしくそれなのです。サスペンションが豊かに伸び縮みする様子は、猫科の動物の柔軟な筋肉を連想させます。

柔らかいけどヤワではない。路面の凹凸をしなやかに受けとめて、不快なモノとして伝えてくることがありません。その心地好さは、たとえばドイツの“乗り心地がいい”とは趣の異なる独特な心地好さ。それだけで“買い!”なのです。

荷室容量は通常で560L、後席を倒すと1,598Lと充分なレベル。フレンチらしく長距離を走ってヴァカンスを楽しむには抜群の相棒となるでしょう。

行く場所を選ばないプレミアムワゴン。ボルボ V60 クロスカントリー

予算を500万円+αまで拡大できるなら、プレミアムクラスにまで手が届きます。

そこはドイツ御三家の独壇場で、いずれを選んでも満足できるでしょう。が、ありがちといえばありがちなチョイス。近年ドイツ3強の対抗馬となっているスウェディッシュワゴンなど、いかがでしょう?

ボルボはとりわけ1970年代から、数々の名作といわれるワゴンを送り出したことで知られていますが、現在の2代目V60シリーズはその血筋を色濃く受け継いだモデル。直線の美しさを巧みに活かしたスタイリングや、スカンジナビアンデザインらしいシンプルさが印象的なインテリアなどが高い評価を得ています。

そのV60シリーズのある意味最強ともいえるモデル、クロスカントリーも射程圏内です。

フロアの高さを65mm持ち上げて、最低地上高は210mmという豊かさ。それに電子制御式4WDの組み合わせ。20km/h以下でデフロックも効くオフロードモードも備わります。もちろんオンロードではビシッと真っ直ぐ走りコーナーもスイスイと曲がれ、乗り心地は快適、というV60の美点は変わらず。

つまり、行く場所をまったく選ばないプレミアムワゴン。かなりの傑作です。
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