中古で買える輸入ステーションワゴンのおすすめランキング12選【自動車目利き人が厳選】

「車種が多すぎて、どんな基準で買ったら良いのかわからない」「見た目優先で選んでしまうと失敗しそう」「プロがおすすめする輸入ステーションワゴンを中古で買いたい」などなど、アタマを悩ませている方々に向けて、これまで何百車種と乗ってきた自動車ジャーナリストたちが、おすすめする輸入ステーションワゴンを厳選してお届けします。
輸入ステーションワゴンが欲しいけど、車種選びで迷っている、まだどんな車種を買ったら良いのかわからないという方は、愛車選びの参考にしていただければと思います。
文・斎藤 聡/三好 秀昌/小野 泰治/嶋田 智之
- Chapter
- 【目利き人】斎藤 聡氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
- テッパンの輸入ステーションワゴンといえばコレ。アウディ A4アバント
- ボルボを買うなら最新モデルがおすすめ。ボルボ V60
- プジョーらしい乗り味にこだわるなら先代モデル。プジョー 508SW
- 【目利き人】三好 秀昌氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
- 低く構えたフォルムも魅力。ジャガーXFスポーツブレーク
- 人気のショートワゴンはクロスオーバーがおすすめ。ボルボ V40 クロスカントリー
- ただのゴルフ ワゴンじゃない!フォルクスワーゲン ゴルフ オールトラックTSI 4モーション
- 【目利き人】小野 泰治氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
- 「エステート」の伝統を受け継ぐ本格派。ボルボ V60
- 日本では孤軍奮闘のラテン系ワゴン。プジョー 508SW
- 独自のエレガントさは「アバント」ならでは。アウディ A4 アバント
- 【目利き人】嶋田 智之氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
- 100万円台の予算なら…フォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアント
- 猫足も魅力のフレンチワゴン。プジョー 508SW
- 行く場所を選ばないプレミアムワゴン。ボルボ V60 クロスカントリー
【目利き人】斎藤 聡氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
斎藤 聡|さいとう さとし
モータージャーナリスト。車両のインプレッションはもちろん、タイヤやサスペンションについて造詣が深く、業界内でも頼りにされている存在。多数の自動車雑誌やWEBマガジンで活躍中。某メーカーのドライビングインストラクターを務めるなど、わかりやすい解説も人気のヒミツ。
日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カーオブザイヤー選考委員。
クルマ選びの基準は
クルマとの出会いはとても大切。できれば最初のクルマで、そうでなくてもなるべく早い時期に楽しいクルマ、ワクワクするクルマに出会えると、そのあとのクルマライフがぐっと広がると思っています。適合車がいいクルマじゃないし、売れているクルマだけがいいクルマじゃないという持論のもと、自分が実際に運転してみて、驚いたクルマ、楽しかったクルマ、ワクワクしたクルマを選んでいます。
テッパンの輸入ステーションワゴンといえばコレ。アウディ A4アバント
輸入車ステーションワゴン鉄板の1台が、アウディ A4アバントです。アウディといえばプラミアムブランドのなかでも、スマートなエクステリアデザインと内装のクオリティの高さで定評があります。
A4はアウディの主力モデルの1台で、セダンとアバントと呼ぶステーションワゴンの2枚看板がウリです。
狙い目は、B8と呼ばれる先代のA4。FFの出来も悪くないのですが、アウディらしさを求めるなら、やはりクワトロ=4WDモデルがおすすめ。新車ではなかなか手を出しにくいかもしれませんが、中古になればかなりリーズナブルになりますから、選択の自由度もぐっと広がります。
B8型A4アバント クワトロの4WDシステムは、トルセンLSDを使ったセンターデフ式で、駆動トルク配分は、前後40:60を基本に最大20:80から60:40まで、走行状態に応じて自動的に変化します。ギアのかみ合わせ(や壁面摩擦)によって行われるので、変化が自然なのも魅力のひとつです。
アバントシリーズには、SUV風味を利かせた(走破性も抜群)のA4オールロードクワトロやハイパフォーマンスなS4アバントなども用意されています。
ボルボを買うなら最新モデルがおすすめ。ボルボ V60
欧州車には、もうひとつステーションワゴンの代名詞ともいえるメーカーがあります。それがボルボです。
北欧スウェーデンの自動車メーカーであり、その内装は北欧のスカンジナビアンデザインを引き合いに出されるほどスマートで洗練されています。
またボルボは安全に対して積極的に取り組んでおり、世界一安全なファミリーカーと評価されるメーカーでもあります。ちなみに3点式シートベルトは1959年にボルボが発明したものです。
そんなボルボを買うなら、最新型がおすすめです。個人的には古いFRのボルボが好きだったりしますが、すでに博物館行き物件で、日々のアシとして使うには適当ではありません。そして先にも触れましたが、ボルボは安全性をリードするメーカーであり最新こそ最良ですから、現行モデルをおすすめしたいと思うわけです。
現行型V60は、水平基調のすっきりしたラインを核とするスタイリッシュなエクステリアデザインが特徴。
搭載するエンジンは、2.0L直噴ターボ+48Vマイルドハイブリッド(184kW/350Nm、モメンタムは145kW/300Nm)と、プラグインハイブリッド版のV60 リチャージに2.0L直噴ターボ(186kW/350Nm)+前34kW/後50kWのモーターを用意。V60 リチャージのバッテリーは34Ahの容量があり、45.1㎞のEV走行ができます。
プジョーらしい乗り味にこだわるなら先代モデル。プジョー 508SW
乗るとなぜかしっくりくるのがプジョーの不思議な魅力。ボディ剛性や操舵に対する応答の正確さ、操縦安定性など、とくに優れているとは感じられません。だから、自動車工学的な機械の完成度を評価軸にプジョー 508SWを評価しようとすると、それほど高い評価にはならないように思います。
ところがいざ走らせてみると、エンジンの吹き上がり方はしっとりしていて、正確なアクセル操作をしなくても、このくらいかな、とアクセルを踏むとスルスルと必要なスピードに達してくれる。あるいはまわりのクルマに車速を合わせようとしたときに、なんとなくすんなりと車速が合ってくれる。
クルマがやってくれるような書き方ですが、もちろんそういうことではなく、人が操作することに対してプジョーなりの深い洞察があって、ちゃんと考えられて味付けされているのだろうと。
モダンになった現行型も魅力的なのですが、先代モデルのふわっとした乗り味がおすすめです。
【目利き人】三好 秀昌氏が選ぶ!輸入ステーションワゴンのおすすめトップ3
三好 秀昌|みよし ひであき
自動車評論家/ラリードライバー。
日本大学芸術学部写真学科卒業後、某出版社の契約カメラマンとして活躍するかたわら国内ラリーに参戦。1989年、イギリスに拠点を移し、1995年からはWRCドライバーとして活躍。1995-1996年サファリラリーグループNクラス優勝、2008年FIAアフリカ選手権チャンピオンなど、華々しい経歴を持つ自動車評論家。豊富な経験による的確なドライビングと分析で、数々の自動車媒体に寄稿するかたわら、雪上ドライビングのインストラクターなども務めている。
クルマ選びの基準は
まずは自分が乗って感動したり、驚いたクルマ、いまでもまだ乗りたいクルマを選びました。またすごく古くてもうヒストリックカーに近くても、エポックメイキングなクルマで皆さんに知ってほしいクルマも大切にしたい。そういったクルマは、市場での値段が高いけど、探そうと思えば見つけられる、というのも基準のひとつにしました。

低く構えたフォルムも魅力。ジャガーXFスポーツブレーク
輸入ステーションワゴンはそれぞれのメーカーや車種によってしっかりと性格付けがなされており、好みや使用目的が明確なら唯一無二の愛車を見つけられます。
今回選んだ3台は、どれもキャラクターがはっきりした優れたステーションワゴンたちです。
まずはジャガーXFスポーツブレークです。ジャガーブランドだけあって低く構えたフォルムはワゴンというジャンルを超えて、スポーティですらあります。メーカーもそのあたりをよくわかっているからこそ、SPORTBRAKE(スポーツブレーク)というネーミングにしているのでしょう。
室内やインパネまわりは曲線と直線をうまく調和させたデザインで、大英帝国の名残を思わせる上質さ。ラゲッジルームは猟犬を乗せて、スコットランドあたりでハンティングをしているハイソなユーザーが目に浮かぶようです。
エンジンは、132kW(180ps)を発生する2.0L 直4ディーゼルターボのD180と、184kW(250PS)の2.0L 直4ガソリンターボのP250という2種類で、D180系にのみAWDモデルを用意。
グレードは、上質なプレステージと、スポーティなR-SPORTの2タイプで、セダンに用意されるエントリーグレードのPURE(ピュア)はありません。
そのなかでおすすめは、2018年10月からラインアップに追加されたD180のAWDモデルです。180psのディーゼルエンジンというと非力な感じもしますが、実際にドライブするとトルクフルかつとても静かで、十分スポーティに走ります。
※D180は、2021年モデルからマイルドハイブリッド版(D204)に進化。グレード体系も、通常モデルのXFとスポーティなR-DYNAMICに変更されました。
人気のショートワゴンはクロスオーバーがおすすめ。ボルボ V40 クロスカントリー
2013年に国内販売がスタートしたボルボ V40は、ショートワゴンに分類されるプレミアムコンパクトです。ハッチバックよりも大きく、ステーションワゴンよりも短いリアまわりが特徴で、その使い勝手の良さと300万円前半〜という価格設定で人気となりました。
そのバリエーションとして用意されたクロスカントリーは、独特のティストが魅力的な1台です。
エンジンバリエーションは、1.5Lと2.0Lのガソリンターボと2.0L のディーゼルターボの3つで、4WDを選ぶとガソリンターボ、FFだとディーゼルターボというのが大まかな分け方になります。冬場の降雪量など生活環境に合わせて選ぶとよいでしょう。
ディーゼルエンジンはややノイズがありますが、緩加速での“カラカラ”といったディーゼリング音は少なく、燃費に優れているのが特徴です。
シンプルながら上品で明るい内装は、北欧デザインをベースとしたもので、センスのいいコックピットに包まれてのドライブは心地よいものです。
またボルボの代名詞でもある安全性も充実していて、うっかり事故を未然に防げるIntelliSafe(インテリセーフ)と名付けられた先進安全・運転支援機能も見逃せません。
本格的なクロスカントリーや荒れたところを走るクルマではありませんが、最低地上高はV40と比べて10mmアップ。微々たるものですが、カチカチに凍ったアイスバーンのワダチ路面などでは、わずかな差がスタックするかしないかの命運を分けるときもあるので大事な要素なのです。
V40、V40クロスカントリーともに、2016年にフェイスリフトを行い、トールハンマー型ヘッドライトを採用。新車販売は、2019年に終了しています。
ただのゴルフ ワゴンじゃない!フォルクスワーゲン ゴルフ オールトラックTSI 4モーション
VW ゴルフ オールトラックTSI 4モーションは、とても不思議なクルマです。
ゴルフと名乗ってはいるものの、そのテイストはまったく異なり、ワゴンボディで4WDですがゴルフ ヴァリアントとも違う、かなりアウトドアを意識したクルマなのです。
ワゴンボディで少し重くなり、4WD機構でやや摺動抵抗が増えたためにエンジンもパワフルなものを投入したようで、日本国内で販売されるゴルフには設定のない1,798㏄の直列4気筒インタークーラーターボエンジンが搭載されています。
組み合わされるトランスミッションは6速DCTと、最新の7速ではないので燃費の面では不利なのですが、車高がヴァリアントより25mmアップされていて、河原にバーベキュー、林道ドライブといったアクティブに遊ぶための相棒にぴったりの1台です。
さらに、オールロード専用の“オフロード“モードを選ぶことが可能なドライビングプロファイル機能を搭載。これの凄さはブレーキのABS制御まで変えているところです。
簡単に言うと、タイヤがわずかにロックしても制御が浅めにしているのです。これのどこが良いのかというと、アイスバーンや雪道といった極端に滑りやすい路面でABSが顔を出すのを減らし、減速域が向上します。
たとえば停止直前などは、タイヤを多少ロックさせてしまった方が止まることが良くあります。そこで制御をわざと荒くして、滑りやすい路面でクルマが止まりやすくしているのです。
こういった細かいところまで作り込まれているのも、ゴルフ オールトラックの魅力なのです。