【プロ解説】BMW X5の歴代シリーズを歴史とともに徹底解説!!

BMW X5 2001

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BMWのSUVラインアップの中で最も歴史のあるX5。経済性の高いディーゼル、先進的なPHEVそして象徴的なバイパワーエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルという風に、ユーザーがSUVに求める要素を投入し進化してきました。今回はそんなX5の歴史を紹介していきます。

文/写真・萩原文博

萩原 文博|はぎはら ふみひろ

1970年生まれ。10代後半で走り屋デビューし、大学在学中に中古車情報誌の編集部にアルバイトとして加入。1995年より編集部員として編集作業に本格的に携わる。中古車の流通、販売店に精通し、「中古車相場師」として活動。2006年からフリーランスの編集者となり、中古車だけでなく、現在は日本で最も多くの広報車両を借り出して取材を行い、新車でもユーザー視点のバイヤーズガイドを中心に、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

萩原 文博
Chapter
BMW X5 初代モデル
BMW X5 2代目モデル
BMW X5 3代目モデル
BMW X5 4代目モデル(現行型)

BMW X5 初代モデル

日本国内だけでなく、グローバル市場でヘビーデューティーなクロスカントリー4WDから乗用車をベースにしたSUVへとユーザーが移行しつつあった2000年。BMWがプレミアムブランドの中でいち早くSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)として、市場に投入したのがX5です。アッパーミドルセダンの5シリーズをベースしたX5はオフロードの高い悪路走破性とセダンと同等のオンロードの乗り心地とハンドリングを兼ね備えた5人乗りSUVとして登場しました。まさにココからBMWのSUVの歴史が始まったと言えるでしょう。

BMWの掲げる「駆け抜ける歓び」をSUVでも味わえるように、FR(後輪駆動)ベースのフルタイム4WDを採用。駆動配分はフロント38%、リア62%と後輪に大きなトルク配分とすることで、BMWらしい走りを実現しました。当初は最高出力286ps、最大トルク440Nmを発生する4.4L V型8気筒DOHCエンジン+5速ATを搭載する4.4iのみでしたが、2001年1月には最高出力231ps、最大トルク300Nmを発生する直列6気筒DOHCエンジン+5速ATを搭載する3.0iを追加。そして2001年10月には最高出力347ps、最大トルク480Nmを発生する4.6L V型8気筒DOHCエンジン+5速ATを搭載したハイパフォーマンスモデルの4.6isを設定しました。

2003年の10月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更に加えて、V8エンジンを搭載する4.4iのATは6速へと多段化されています。さらに採用する4WDシステムを「xDrive」というインテリジェント4WDシステムに変更しました。さらに2004年5月にはハイパフォーマンスモデルである4.6isに搭載されるエンジンが、最高出力360ps、最大トルク500Nmを発生する4.8L V型8気筒DOHC+6速ATへと変更され、名称も4.8isとなりました。デビュー当初から車両の姿勢制御を行うDSCやDBCをはじめ、自動的にブレーキを制御し、時速5~10kmの速度を保ちながら、坂道を下ることができるヒル・ディゼント・コントロールを採用しています。

BMW X5 2代目モデル

2代目X5は2007年6月に日本に導入されました。初代X5の乗車定員は5人乗りしか設定がなかったのに対して、2代目X5はオプションで7人乗りとなる3列シートを選ぶことができるようになったのがポイントです。

搭載されるパワートレインはエントリーグレードの3.0siは最高出力272ps、最大トルク321Nmを発生する3L直列6気筒DOHCガソリンエンジン+6速AT。そして4.8iには最高出力355ps、最大トルク475Nmを発生する4.8L V型8気筒DOHCエンジン+6速ATの2種類でした。トランスミッションは、マニュアル感覚でシフトチェンジが行えるステップトロニック機構が装備され、セレクターレバーは電気信号によって作動し、シフト操作後はセレクターレバーが所定の位置に戻るようになっています。

またサーボトロニック(車速感応式)を備えたアクティブステアリング、アダプティブヘッドライト(コーナリング・ライト付)、サイド・ウォールが硬く強化されたランフラットタイヤを採用するなど大幅な進化を遂げました。2代目X5は2010年5月にマイナーチェンジを行い、ツインスクロールターボやブレーキエネルギー回生システムなどを搭載した高効率の新世代エンジンへとスイッチ。xDrive 35iに搭載される3L直列6気筒ガソリンターボは最高出力306psを発生し、JC08モード燃費で8.5km/Lの燃費性能を実現。xDrive 50iには最高出力407psを発生する4.4LV型8気筒ガソリンターボが搭載されました。

そして2012年1月に追加されたxDrive 35dには3L直列6気筒ディーゼルターボを搭載。最高出力245psを発生しながら、JC08モード燃費で11.0km/Lという低燃費性能を実現しています。

BMW X5 3代目モデル

3代目となるX5は2013年10月より、日本に導入されました。2013年に、2000年に登場した初代以来、全世界で130万台以上のセールスを記録し、X5はこのクラスにおけるベンチマーク的なポジションへと成長を遂げました。BMWエフィシェントダイナミクスに基づいて、ボディにはアルミニウムだけでなく、超軽量で剛性の高いカーボン・ファイバー強化樹脂(CFRP)を採用。また、ヘッドアップディスプレイ、ドライビング、アシスト・プラス アダプティブLEDヘッドライトなど最新の安全装備が充実しています。

先代X5のボディサイズは全長4910mm×全幅1940mm(Mスポーツは1985mm)×全高1760mmとなっています。外観デザインは日本人デザイナーが担当し、逞しくワイドなフロントデザイン、サイドのキャラクター・ラインなど躍動感溢れるダイナミックなスタイリングとなっています。さらにフロント・ホイール・アーチの広報のエア・ブリーザーやリアハッチ横のDピラーに設置されたエア・ブレードなど優れた空力性能を実現させるためのアイテムを採用し、X5はこのクラスで最高レベルのCd値0.31を実現しています。

外観デザインはスタンダードに加えて、ステンレス・フィニッシャーなどを装備することにより、BMWのXモデルらしい力強さとアクティブなキャラクターを強調したXライン、そしてMエアロダイナミクスパッケージや電子制御式サスペンションのアダプティブMサスペンションなどを装備し、よりダイナミックな走りとスタイリングを強調するMスポーツを各グレードに設定しています。インテリアは複数の面を重ねるレイヤリングという手法を採用し、陰影が際立つ立体的なデザインとすることにより、空間の広がりを強調するとともに、モダンで美しい室内空間を演出しています。
ドライバーが最も見やすいダッシュボード最上部に配置された10.2インチ高解像度ワイドコントロールディスプレイは独立型のフラットスクリーンを採用し、スタイリッシュなデザインとともに、室内空間に開放感を与えています。Xライン専用のインテリアデザインパッケージとして、「デザイン。ピュア・エクセレンス・インテリア」と「デザイン・ピュア・エクスペリエンス・インテリア」を設定。それぞれのコンセプトにあった配色のエクスクルーシブ・ナッパ・レザー・インテリアとレザー・フィニッシュ・ダッシュボード(コントラストステッチ付)が高級感溢れる室内空間を異なる個性で主張しています。

デビュー当初設定されていたグレードは3種類で、搭載されているパワートレインはxDrive35iには最高出力306ps、最大トルク400Nmを発生しつつ、JC08モード燃費で、10.3km/Lの燃費性能を実現した3L直列6気筒ガソリンターボ+8速ATをはじめ、xDrive35dは最高出力258ps、最大トルク569Nmを発生し、JC08モード燃費14.0km/Lというハイパワーと低燃費が魅力な3L直列6気筒ディーゼルターボ+8速AT。

そしてxDrive 50iは最高出力450ps、最大トルク650Nmという圧倒的なパワーを発生する4.4L V型8気筒ツインターボ+8速ATを用意。乗車定員はグレードによって5人乗りと7人乗りが選べました。そして2015年9月には、初のプラグインハイブリッドモデル、xDrive 40eを追加。2L直列4気筒ガソリンターボエンジン+モーターのPHEVシステムはトータルで最高出力313ps、最大トルク450Nmを発生。時速120kmまでEV走行が可能で、満充電時で約31kmの EV走行が可能でした。運転支援システムでは、夜間や日中の悪天候の中でも優れた視認性を提供し、走行安全性と快適性を高める「アダプティブLEDヘッドライト」やカメラとミリ波レーダー・センサーにより前方の監視を行い安全なドライビングに貢献する革新的運転支援システム「ドライビング・アシスト・プラス」を全車標準装備しています。

BMW X5 4代目モデル(現行型)

4代目となる現行型X5は2019年2月に日本市場に導入されました。ボディサイズは先代に比べて全長は+25mm、全幅+65mm、全高+10mmそしてホイールベースは+40mm拡大されています。その結果、ゆとりある室内空間を確保しながら、低重心を強調するシルエットとなりました。最も変化を感じるのは、BMWのアイコンであるキドニーグリルで、現行型X5は一体型フレームで縁取られた一体型フレームで縁取られたデザインの大型キドニーグリルとなったことです。これによってアグレッシブな印象を演出しています。先代モデルよりボディサイズは大きくなりましたが、車両前方の骨格に高張力鋼板を多用することにより、強度を高めながら15.5kgの軽量化を実現しました。

サスペンションにはスチール製パーツを採用し、MスポーツモデルにはXモデルとして初めて4輪アダプティブ・エア・サスペンションを導入。各ホイールに装着されたセンサーが常に路面状況および荷重を検知し、必要に応じて上下40mmの間でホイール毎の高さ調整を自動で行うので、安定感のある走りを維持してくれます。
さらに後退時のステアリング操作をサポートするリバース・アシストをはじめ、高性能3眼カメラを搭載したことで、先進の運転支援システムも充実しました。また、AIを活用した音声会話による車両操作機能であるBMWインテリジェント・パートナー・アシスタント、車両をITネットワークに繋ぎ様々な情報にアクセスするBMWコネクテッド・ドライブなど最新のドライバーサポート機能を搭載しています。

そのうえ、現行型X5には3年間の主要メインテナンスの無償提供やタイヤ/キーの破損や紛失の際の費用サポートなどが含まれる「BMWサービス・インクルーシブ・プラス」が全車に付帯されています。グレード構成は3L直列6気筒ディーゼルターボ+8速ATを搭載するxDrive35d、3L直列6気筒ガソリンターボ+モーターのプラグインハイブリッドシステムを搭載するxDrive45e。この両グレードには内外装や装備の異なるスタンダードとMスポーツの2グレードを用意。そのうちxDrive35dMスポーツはオプションでサードシートも装着できる。また4.4L V型8気筒ツインターボ+8速ATを搭載したM50iそしてBMW M社がチューンを施したハイパフォーマンスマシン、X5Mの5種類が用意されています。
BMWのSUVラインアップの中で最も歴史のあるX5。経済性の高いディーゼル、先進的なPHEVそして象徴的なバイパワーエンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルとユーザーがSUVに求める要素を上宿しています。最近のトレンドである3列シート仕様も設定するなどプレミアムSUVのパイオニアとしての自負を感じられます。
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