メルセデス・ベンツ Cクラスをプロが徹底解説!

メルセデス・ベンツ Cクラス

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メルセデス・ベンツの基幹モデルといえるCクラスは、セダンをはじめ、ステーションワゴン・クーペ・カブリオレという多彩なボディバリエーションを擁する。さらに、AMGも含めると多彩なパワートレーンやグレード展開が特徴になっている。ここでは、「基本」といえるCクラスセダンの装備や性能などについて解説する。

文・塚田 勝弘

塚田 勝弘|つかだ かつひろ

自動車雑誌、モノ系雑誌の新車担当編集者を約10年務めた後に独立し、フリーランスライターとしても10年が経過。自動車雑誌、ライフスタイル雑誌、Web媒体などで新車試乗記事やカーナビ、カーエレクトロニクスなどの記事を展開している。

塚田 勝弘
Chapter
メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|5ナンバーサイズの「190クラス」から3ナンバーになった初代
メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|涙目ヘッドライトで個性を打ち出した2代目
メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|48Vマイルドハイブリッド仕様を設定
メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|ひと言でCクラスといっても多彩

メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|5ナンバーサイズの「190クラス」から3ナンバーになった初代

簡単にCクラスの歴史を振り返ると、初代Cクラス(W202)はメルセデス・ベンツ W201の後継モデルとして、1993年10月にデビュー。先代となる190クラス(W201)は、1982年に登場し、狭い道路や駐車場事情を抱える日本でも扱いやすい5ナンバーサイズが特徴だった。メルセデスらしい安全性の高さや堅牢なボディなどにより人気を集めたモデルだ。

初代Cクラス(W202)は、全幅が1,720mmと、3ナンバーサイズ化されたものの、全長も4.5mを切り、現在からすると十分にコンパクトで、取り回しのしやすさが美点だった。エンジンは、ガソリンが1.8Lから4.3Lまで小刻みに用意され、ディーゼルエンジンは、2.0L・

2.2L・2.5Lと設定されていた。また、この当時はグレード名(数字上2桁)が排気量を表すなど、バッチですぐにグレードの格が分かりやすかった。

メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|涙目ヘッドライトで個性を打ち出した2代目

2代目となるW203は、2000年9月に登場した。190クラス時代も含めて四角いヘッドライトから、「涙目」の丸目2灯になり、かなり盛り上がったのを記憶している方も多いはずだ。それまでのスクエア(四角い)フォルムから、抑揚が効きながらも流麗さを増したエレガントな線と面の構成になっている。

1.8Lガソリン・2.0Lガソリン・2.6Lガソリン・3.0Lガソリン・3.2Lガソリン・5.4Lガソリンエンジン。2.0Lディーゼル・2.2Lディーゼル・2.7Lディーゼルエンジンなど、多彩なエンジンバリエーションがモデルサイクルを通して用意されていた。デビュー当時は5ATだったが、後に上位モデルには7ATが搭載された。
記憶に新しい3代目(W204)は、2007年6月に日本に上陸している。先代の涙目ヘッドライトと別れを告げ、遠目でみるとSクラスと見まがうスタイルやディテールが与えられた。ダイナミックなデザインの「アバンギャルド」、メルセデスらしい威厳あるフロントグリルが際立つ「エレガンス」という2ラインを設定していた。

エンジンは、1.8Lガソリン・2.5Lガソリン・3.0Lガソリン・3.5Lガソリンエンジン。2.1Lディーゼル・3.0Lディーゼルエンジンを搭載していた。なお、2011年のマイナーチェンジでは「メルセデス・ベンツ史上、最高傑作のC」を謳い、2,000ヶ所以上に及ぶ改良が施されている。
2014年7月に発表された現行の4代目モデル(W205)は、上級のEクラスとプラットフォームが共通化されていることもあり、全長が4.7m前後になり、全幅も初めて1.8mを超えている。歴代モデルは1.8mに収まっていたため、わずかとはいえ、マンションの規定などで機械式立体駐車場などに入庫できないという声もある。

また、シフトレバーがコラム式になり、右ハンドル(ウインカーが右側)に慣れた日本人だとウインカーと間違いやすい、という指摘もデビュー時には多かった。
現行Cクラスは、2018年7月にビッグマイナーチェンジを受けている。Sクラスと同等レベルの「インテリジェントドライブ(ドライバーサポート機能)」を備えたほか、パワートレーンの高効率化が図られている。

メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|48Vマイルドハイブリッド仕様を設定

「C 200 アバンギャルド」には、1.5L 直列4気筒ターボエンジンと「BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)」48Vシステムが組み合わされたマイルドハイブリッドを設定。

実際の乗り味は、ハイブリッドというキーワードから想像するよりもエンジン主体ではあるが、回生ブレーキが減速エネルギーを回収し、ターボラグの「間」をモーターが埋めるなど、とくにストップ&ゴーの多い街中などでその効果が感じられる。

エンジンパワーは、184PS/280Nmというアウトプットを得ていて、加速フィールは至極普通という印象。それでも、超スムーズな変速マナーを披露する9ATのおかげで、上質な走行フィールが得られる。
さらに、同じ1.5Lエンジンを積む「C 180」は、156PS/250Nmというスペックで、モーターアシストがない分、動力性能はそれなりに控えめという印象だ。都市部や街中などであれば、必要十分なのは間違いないものの、山岳路や高速道路ではモアパワーを抱かせるシーンもある。

一方、ディーゼルエンジンを積む「C 220 d」は、Eクラス譲りの2.0Lディーゼルターボで、194PS/400Nmとディーゼルらしい分厚いトルクを発揮する。音や振動などディーゼルならではの課題もかなり抑制されていて、ロングドライブの機会が多い人はぜひチェックしてもらいたい仕様に仕上がっている。

さらに、「C 350 e」というプラグインハイブリッドも設定。車両価格は、679万円という設定で買い手を選びそうだが、完成度は高い。211PS/350Nmの2.0L直列4気筒ガソリンターボに、122PS/440Nmのモーターを組み合わせる。

システム全体で320ps/700Nmという圧倒的なトルク感に加えて、バッテリー状態によっては130km/hまでモーターのみでスムーズに加速していく。航続距離は54kmなので、買い物など街中中心であれば、ほぼEVとして使うことも可能だ。
ただし、Cクラスの美点であるアジリティ(俊敏性)の高さは、駆動用バッテリーを積むなどの重量増などもあり薄まっている。そう、メルセデス・ベンツというと、ひと昔前までは「重厚感があって、静かで、快適な乗り心地」というイメージもあったかもしれない。

一度、ステアリングを握ってみると、Cクラスは、先代あたりから想像よりも軽やかなフットワークを披露してくれるのだ。ビッグマイナーチェンジ後のCクラスからは、走りに古さを感じさせることはない。

一方で、運転席の足元スペース、とくに左足は窮屈に感じられる。オーナーになれば慣れるのかもしれないが、時々乗る身にとっては、下半身を右側にひねるような運転姿勢になるのは、少々残念に感じられるのも事実だ。

Cクラスに限らず、高効率化が不可欠な現在にあって「AMG 43シリーズ」「AMG 63シリーズ」は、別格といえる走りを堪能できる。動力性能は、「43」でも必要十分以上といえるもので、3.0L V6ツインターボエンジンは、390PS/520Nmというアウトプットを得ている。

駆動方式はハイパワーを受け止めやすい4WD。とくに、走行モードを「スポーツ+」モードにすると、発進性も加速性も強烈そのもので、足まわりもかなり引き締まったものになる。

さらに上を行く「63」は、4.0L V8ツインターボを搭載し、476PS/650Nmというスペックを得ている。最も激辛といえる「63 S」は、510PS/700Nmというアウトプットで、1,790kgという車両重量を軽々と加速させる。AMGモデルは、「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」を搭載。

乗り味は引き締まっていて、路面によっては身体が上下、左右に揺すぶられる。一方、高速域のロードフォールディング性能は抜群で、高速域での圧倒的な旋回性、スタビリティの高さにも貢献しているように感じられる。パワーフィールと乗り味共にAMGモデルはやはり格別といえるドライバビリティが得られる。

メルセデス・ベンツ Cクラスを解説|ひと言でCクラスといっても多彩

Cクラスは、標準系グレードでもパワートレーンにより動力性能の恩恵が異なり、AMGとなると、スポーツカーと表現できるほどの豹変ぶりを見せる。予算はもちろん、好みやニーズ、使い方を見極めて選ぶことが満足できるグレード選びになりそうだ。
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