BMW 523d M Sport・523d xDriveツーリングM Spirit試乗!機能美あふれるエアロダイナミクスやインテリアに脱帽!【新型車インプレッション】

BMW 5シリーズ

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先代のBMW 5シリーズ(E90型)と、エクステリアデザインに違いはあまりありませんが、インテリアデザインはデジタルメーターやヘッドアップディスプレイなどの新技術によって大きく進化をしています。

高級感だけにとどまらず、機能的にも考え抜かれたデザインは、さすがBMWと言わざるを得ません。今回は、BMW 5シリーズのセダンとツーリングについて、エクステリアとインテリアの特徴や、気になる点をご紹介していきます。

文・吉川 賢一/写真・鈴木 祐子

吉川 賢一|よしかわ けんいち

モーターエンジニア兼YouTubeクリエイター。11年間、日産自動車にて操縦安定性-乗心地の性能技術開発を担当。次世代車の先行開発を経て、スカイラインやフーガ等のFR高級車開発に従事。その後、クルマの持つ「本音と建前」を情報発信していきたいと考え、2016年10月に日産自動車を退職。ライター兼YouTube動画作成をしながら、モータージャーナリストへのキャリア形成を目指している。

吉川 賢一
Chapter
空気の力をコントロールするエアロダイナミクスが多く織り込まれている
ドライバーの視線移動を最小にする運転席まわりの視界設計
自在に変形するコンフォートパッケージのシートは秀逸な出来
2,975mmのホイールベースの恩恵大!リアシート居住性は抜群に良い

空気の力をコントロールするエアロダイナミクスが多く織り込まれている

BMW 5シリーズには、燃費性能向上のため、様々な対策が施されています。フロントグリルのシャッターはもちろんのこと、BMW 5シリーズには、驚きの低燃費アイテムが備わっていました。 

フロントのサイドグリルに幅15mmほどのわずかな隙間があり、タイヤハウス側へと貫通しています。さらに、フロントタイヤ後端からAピラー下側へのエア抜きも施されており、これらによって走行中にタイヤハウス内で発生する空気の乱れを後ろへ流し、空気抵抗を弱め燃費性能を向上させる、という構造がつくられています。

また、リアサスペンションのロアアームにも整流板が設置されており、燃費と空力調整には余念がありません。ただ、サイドのエア抜き穴のプラスチック製カバーがデザイン上、浮いているように見えるのは、少し残念な点です。また、空気抵抗に大きく影響するリアタイヤまわりの空気の整流にもチャレンジしてほしかった、と感じます。

ドライバーの視線移動を最小にする運転席まわりの視界設計

デジタルメーターとヘッドアップディスプレイ、ナビ画面の位置関係が絶妙です。ダッシュボードのデザインも水平基調で、視界移動時に視界を遮るものが無く、運転に集中できます。メルセデスでは採用されていないタッチパネル式の液晶画面も、操作がしやすく好印象です。

BMW 5シリーズには、デジタル液晶メーターが標準採用されており、先進的なイメージをもたらしています。液晶表示はきれいで、昼間でも夜間でもしっかりと見えることはありがたいですが、それ以上の恩恵が筆者には見出せないのです。

デジタル液晶メーターにナビを表示させたところで、前を見ていないことには変わりませんし、それが便利だとはあまり思えず、針で示してくれる通常の表示にしかしません。

走行モード変更時に、ガラッとメーター表示が変わるのは面白いのですが、その効果だけでウン十万ものコストがかかっていると考えると、むしろ高価なアナログ時計の様な、従来の針メーターの方が心躍るのは、筆者だけでしょうか。

自在に変形するコンフォートパッケージのシートは秀逸な出来

座面が硬いのはBMWのシートの特徴です。5シリーズの標準シートは、サイドサポートが大きく張り出し、ラウンド形状で背中を支えてくれます。この形状により背中の面圧が一定になり、座面の硬さによって姿勢も崩れにくいため、長時間ドライブでも血行不良になりにくく、身体が疲れにくいです。

また、M Sportにオプション設定されているコンフォートパッケージ(37.3万円)では、フロントシートの各部形状を自在に調整することができます。特に、バックレスト上部の角度が調整可能となっているため、腰のあたりと肩のあたりで身体への当たりを調整できるほか、サイドサポートの強さも自在に調整が可能。

それぞれ調整できる幅も大きく、どんな体系の方にもマッチする形状を作り出すことができます。ちなみにマッサージ機能もついています。しかし、「自由度が高い」ということは、裏を返せばシートポジションをドライバーが自分で適切な形状を見つけなければならない、ということ。

ドライバーが適切な形状を見つけられればいいですが、見つけられなければ(もしくは調節しなければ)、運転姿勢が崩れて少しのドライブでも腰が痛くなる、という「逆の結果」ともなりかねません。

シートに取りつけたセンサーで面圧を測り、ドライバーの体形を瞬時に把握してシート形状を決めてくれるような機能が登場すると、「さすがBMW!」といっそう感動したかもしれません。

2,975mmのホイールベースの恩恵大!リアシート居住性は抜群に良い

リアシートはさすがの居住性を誇っています。膝前にコブシ2個以上、頭上にはこぶし1個半程度の余裕があります。ツーリングはなおのこと広く、頭上にコブシ2個は入ります。座面がフロントシートよりも少し高く、またウインドウエリアも広いため、リアシートからも前方の視界がよく、狭さを感じさせません。

座面の硬さはフロントシートと同じくらいに硬めで、背もたれ側も少し硬く、形状もフロントシートと同じくラウンド形状になっており、背中がすぽっと収まり、しっかりとサポートしてくれます。また、明るいカラーの本革表皮は雰囲気もよく、長距離移動でも快適です。

また、リアシート乗り込みの際、気になるサイドシルの段差ですが、この5シリーズは、サイドシルは太いものの、長いホイールベースのおかげで幅があるため、3シリーズと比べると格段にリアシートへの乗り込みがしやすくなっています

あえて課題を挙げるならば、リアシートにシガーソケットはありましたが、USBの充電端子がなかったところです。昨今の状況を考えると、左右に一つずつ欲しい所です。
BMW 5シリーズには、意味のある形状に設計されている部位がたくさんあります。クルマの本質を「安全に長距離移動する」ことと捉え、そのために必要なデザインや形状がしっかりと与えられており、運転に必要な要素以外が視界に入る機会を減らし、運転に集中させてくれるデザインとなっているのです。

遊び心はありませんが、この無駄のないクルマ作りは、これまで多くのファンに支持されてきました。次回は、収納スペースや荷室の使い勝手について、さらに詳細なレポートをしていきます。
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